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「がんじがらめの愛」3章-6

 不自然に成らない様に気をつけながら、三條の屋敷の最も大きな主賓室に向かった。
 それにしても…と、晃彦は思った。自分の生まれた家や階級などを嘆くのは贅沢が過ぎる。いつの日に片桐が言って居たように、貧困に喘いでいる庶民は沢山居るのだ。まかり間違えば、自分もその様な家に産まれたかも知れない。だから、この考えは自分でも不遜だと思っていたが、その思いは変わらない。自分達の屋敷の仕来たりとして、大きな屋敷を構え、使用人が大勢居る。特に部屋付きの女中は、ベットメイクもするので情交の跡などは直ぐに分かるだろう。 自分の屋敷の場合、マサが目を光らせているのでそんな痕跡を見つけられたら報告が入るはずだ。
 片桐の屋敷には、マサに当る様な使用人が居ないようだったが。けれども、情事の痕跡は片桐付きの女中は目敏く発見するだろう。以前、片桐の屋敷で情交に及んだ時、片桐の協力を得てそういった痕跡を上手く隠せたとは思うが、いつ気付かれるかは分からない。信用出来る女中を探すしかなさそうだ。 庶民から見れば、羨望の暮らし振りで有る事は分かって居る。それでも、片桐の熱に直接触れたいと切実に思う今、その暮らしさえもが疎ましく思えた。学校もそうだった。学校では片桐を敵視する人間が存在し、また自分の家の繁栄を心良く思っていない人間が居るはずで、彼とは学校でも親しく口をきく機会など無い。いっその事、慶応や一高に入学して居れば、また話が変わったかも知れない。慶応は華族が通う学校ではないので、片桐との事が露見しても学校内の醜聞で収まるだろう。一高なら尚更だ。それに一高は全国の秀才達が下宿を借りてでも集まって来て居ると聞く。下宿先を逢引の場所として提供してくれる友人が出来るかも知れない。三條とは知り合えなかったかも知れないが。
 自分が今、一番大切な存在は片桐だ。
 その彼と逢瀬もままならない状況が、泣きたくなる程切ない。
 そんな事を考えていると、隣を歩いていた片桐が、右手の甲をそっと自分に当てて来た。手の甲が当って居るくらいは不自然では無い。そう思って自分も左手の甲をずっと、片桐に委ねた。それだけの接触でも、彼の熱を感じるのは望外の喜びだった。
 主賓室に着く。そこには、自分の両親や三條の御両親と三條、そして華子嬢が居た。一番上座にお座りになられているのは絢子様だった。
 二人して入って来た事に対してだろう、父上は、片桐に対して憎悪を宿した目を向けた、一瞬だったが。こちらにも咎める目配せを送って来る。気づかないふりでやり過ごしたが。母も冷たい眼差しで片桐を一瞥すると、自分の方にたしなめる様な視線を送って来た。
 敏感な片桐がそれを見逃す筈は無かった。しかし、彼は何も見なかったように、華子嬢に話しかけている。
「三條君と話しは弾んだのか」
 三條が、自分と片桐を二人きりにしたいが為に華子嬢を誘ったという意図は分かっていたらしい。
「ええ、お兄様、三條様はお優しい上にとても良い方ですわ」
 片桐に良く似た顔が紅に染まった。三條を見ると、その言葉に表情を変えている。自分が見た事が無い表情だった。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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