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「がんじがらめの愛」3章-9

 三條家が用意した、ダイムラーが自分の屋敷に着いた。車中では三條家お抱えの運転手が居た為、両親も三條家を褒め称える事しか話さなかったが、こちらへ向ける視線は厳しかった。
 何時もよりは簡単な食事が終わると、父の私室に呼び出された。母もその場に居る。二人からの叱責は覚悟の上だ。「いつぞやの鮎川公の園遊会ほどでは無かったが、片桐の息子と親しそうにしていたではないか。『公の場所で親しくするな』という言葉を忘れたのか」
 母上は、この前の怒りの形相ではなく困ったような、表情の選択に困ったようなお顔をされていた。
 この5月の季節、暖炉には形ばかりの火が入れられ、時折赤く輝いていた。
「ええ、学校では親しくしていますが、今回の件は主催者の子息の三條君が誘ってくれましたし、絢子様の御意向も有ってあのような事になりました。
「それは分かって居る。しかし、二人で主賓室に戻って来たのはどういう訳だ」
 眉間に皺を寄せて父が言った。
「あれは…三條が片桐君の妹とお話しがしたいと言ったので、お邪魔しては困るだろうと二人で席を外しました」
 普段から思っている事が顔に出ないで済む、自分の性格に感謝して言った。
「私は父上を尊敬しています。父上のご意向に逆らうことは致さないでいる積もりです」
 そう言い置いて退出の許可を得る。両親の無言の眼差しに堪えながら父の私室を後にして、ぶらぶらと歩いて自室に戻る。いつもよりも歩調を緩めて考える。
 父上を尊敬しているのは事実だったが、現在自分の心中の一番上を占めているのは片桐だ。
 自分が男性に欲情する異常性欲の持ち主とはついぞ思っていなかったが、実際はそうだったらしい。自嘲の笑みが零れる。片桐はどうなのだろうと思った。彼もそうなのだろうか。
 ただ、自分が見ている範囲に限られるが、特別に親しい友人は居ない様だったし、先輩との噂が立ったとも聞いた事が無い。それに何より自分との情交の際の様子を思い出してみると、初めてなのが良く分かった。女性の事も、絢子様の御求愛を退けたのもひとえに自分のことが原因と思われる。
<彼にとって自分だけが特別>
 そう思うと、心臓の辺りが熱くなった。
 翌日、片桐の事を考え、睡眠不足のまま登校する。片桐はもう登校して来て、三條と話していた。すっかり親しくなったと見え、黒田に接するように快活に話している。他の級友達とも片桐は話すが、表向きは快活そうでも実際はそうでないという事は、数ヶ月の密かな観察の結果だった。自分の方にはちらりと視線が流されるが、彼特有の静かな湖のような瞳だった。
 授業が終わると、片桐は直ぐに下校した。自分も後を追いたかったが、担任に用事を頼まれ、その用事で幾分時間が掛かってしまった。
 心の中では、<片桐、ニコライ堂>という固有名詞が頭を離れなかった。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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