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「気分は、下克上。」~お見舞い~最終回

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 無事に母を病室まで送り届けた。母の病室には彼の心づくしのお見舞いである薔薇のアレンジメントがほのかで上品な香りを放っている。お正月だけあっていつものスタッフは半数以上がお正月休暇なのだろう。祐樹が息子ということはバレてしまったが彼が「香川教授」と見破られることはなかった。もともと前髪を下ろして普通の格好をすれば、祐樹よりも年下に見えるのだから。
「お忙しいと思うけれども…こちらにお仕事でいらした時は顔を見せて下さいね。身体もくれぐれも大切にして下さいね。愚息の代わりは居るでしょうが、聡さんの代わりは居ないでしょうから…それと愚息の我が儘が過ぎる時は遠慮せずに電話して下さいね。私が叱りますから」
 母は、実の息子の祐樹よりは彼のことを慮っているのがありありと分かる。確かに一時帰宅ではぼうっと座っていただけの祐樹などとは比べ物にならないくらい彼は良く気を遣っていた。そのことに関する感謝の意も込めているのだろう。
「携帯電話は持っていなかったのだけれども…聡さんとの連絡用に買うことにしました。これまでは愚息への連絡には病院の公衆電話で十分だったけれども…聡さんとの連絡は携帯電話の方がいいものね。買ったらイの一番に番号を教えますから、聡さんの携帯電話番号を教えて貰えるかしら?」
 母は眩しそうに彼を見る。不肖の息子だと自覚してはいるが少しばかり面白くない。
「母さん、俺の携帯の番号は聞いてくれないの?」
 冗談交じりで言ってみたが、返ってきたのは蔑みの眼差しだった。
「祐樹の携帯に何回かけたと思っているんだい?もちろん、番号は暗記していることぐらい分からないのかねぇ…」
 これ見よがしの溜息混じりの言葉だった。
「そうだよね…そう言えば電話貰っていたよね。ははは…すっかり忘れていた」
 母が呆れたように祐樹を見てから視線を彼に移す。
「こういういい加減なバカ息子ですが、末永く付き合って下さればとても嬉しいです」
「私も、祐樹はもちろんのこと、お母様とも末永くお付き合いして戴ければと願って止みません」
 真摯な口調と真剣な眼差しに、母の笑顔が一段と濃くなる。
「ええ、この年になって素敵な息子をもう一人持てたかと思うととても嬉しいですよ」
 食事が運ばれたのを機に病室を出ることにする。
「ええ、もちろんです。くれぐれもお大事になさって下さいね。このお節のノート大切にしますから…」
 そう言う彼の口調は職業上何度も聞いてきたセリフだったが、この時ばかりは親身のニュアンスが色濃く漂っていた。名残惜しげに何度も振り返って病室を出た。祐樹は早く二人きりになりたいなと不埒なことを考えていた。
「旅館に戻る前に、家に寄って私の部屋で…」
 意味ありげに語尾を濁す。彼の頬が僅かに紅くなる。ここが病院の廊下であることを考えてのことだろう。
 曖昧に頷く動作だったが、その頭と首の動きにすら匂うような色香が宿っている。
 実家の近くでスカイラインを停めた。実家前でも良かったのだが、母が留守を頼んでいる人が不審に思って鍵を開けたら大変だ。
 過疎化のせいか元旦のせいかは祐樹には分からないが辺りはしめやかな黄昏の闇に支配されつつある。
 祐樹の子供の頃は――といっても元旦の昼間だが――羽根つきなどで遊ぶ女の子や初詣帰りの晴れ着姿の子供や大人が居たが、昼間帰って来た時もそんな姿は見ていない。やはり、過疎化のせいだろうな…と思う。
 道に人が居ないのを幸いに彼の手を取って、指をしっかりと絡め合わせた。彼も街灯のほのかな明かりで他人が居ないこと、そして家々が雨戸をしっかりと閉めていることを確認してから祐樹の肩に頬を預けた。
 この辺りのならわしでは、元旦は日が暮れるとすぐに雨戸を閉める。
 祐樹の鼻腔に彼のシトラスの香りが仄かに香る。
「ご近所の方が在宅かどうか分からないので…そっと鍵を開けて下さい」
 囁くと、彼は驚いたように身じろぎをする。
「祐樹の家なのだから…祐樹が開けるべきだろう?」
 実は祐樹は家の鍵を持っていない。が、正直に申告することも何となく憚られた。
「いえ、母から聡に託された合鍵…使いたくありませんか?私は使って欲しい」
「それもそうだな…」
 彼はいそいそとキーホルダーをポケットから取り出した。
 彼の器用さは今に始まったことではないが、旧式の鍵を事もなげに開ける。当然、家の中は真っ暗だ。だが、伊達にこの家で長い間暮らしてきたわけではない。整理整頓好きの母は廊下に物なども置いていないので、暗くても迷わずに歩くことが出来た。
「何だかドキドキする。親御さんの留守に恋人の家に上がり込む高校生の気分だ」
 彼が密やかな、それでいて楽しそうな声で祐樹に告げる。
「そうですね。高校生ではないけれど、シュチュエーション的にはその通りだ」
 手を繋いで祐樹が先に立って歩く。職場では常に彼が前を歩くのがポジション的にも当たり前なので、祐樹が前というのも新鮮だった。
「階段は少し急なのでしっかりと手を繋いでいて…踏み外して手に怪我をされたら病院の損失なので」
 下手に明かりを点けるとご近所の目が気にかかる。暗闇の中で密やかな情交も悪くない。
 彼の細くしなやかな指が付け根まで祐樹のそこと絡まりあう。
「階段は、ここまでで…部屋のドアはここ。聡が開けて…」
 絡めた指先をそのままにドアの取っ手に彼の手を導く。繋いだ手はそのままで彼は器用にドアを開けた。
「部屋が暖かい…な。何だかとても緊張してドキドキしていた」
「ええ、母を送る前にエアコンを入れておいたので。私もドキドキしている。この部屋で情交をするとは思いも寄らなかった」
「私だってそうだ。祐樹とこういう関係になってから…そういうことはホテルか私の寝室で…だけだっただろう?ホテルは、そのための部屋みたいなものだし、私の寝室も、ベッドしか置いてない。こういう日常生活の香りがする部屋での…そういった行為は初めてだ。本当に高校生が恋人の家に逢瀬のために忍び込んでいるような気がしてならない」
 彼をベッドにゆっくりと横たえた。着衣はそのままで。その細い肢体の上に力を加減して身体を重ねた。
「いつもよりも聡の身体が硬いのは緊張のせい?」
「そうだ…祐樹が高校生の時に使っていたベッドで…それに本棚や祐樹の高校時代が詰まっている部屋でこういう行為をするのは、嬉しいが、その半面とても緊張している」
 彼は情交の際にはいつも小さな声を――それが嬌声であれ――出すのが常だったが今の彼はもっと音量が低い。
「こう考えてみて。ここで聡を抱くのは、私の高校時代の想い出も聡の身体の奥底に刻印したいからだと。聡の高校時代のあまり良くない経験を、私の何の変哲もない高校時代の想い出に上書き保存させて。私は自分の性癖をおぼろげながら悩んだけれども、それ以外はおおむね幸せだった。その幸せを聡の秘められた場所に教えてあげたい」
 彼は紅色の吐息を吐くと、祐樹のダウンジャケットごと抱きしめた。
「有難う。そうだな…ここで祐樹の高校時代までの生活を私も共有したい。本棚もCDプレイヤーもパソコンも…そしてベッドも…祐樹の高校時代のものだ。ここで行為をすると祐樹の高校時代の記憶が私の身体の奥底に流れ込んでくるような気がする」
 彼の白い指が祐樹の着衣を丁寧に脱がしていく。祐樹も負けじと彼の着衣を脱がす。エアコンが効いているので寒くはない。彼の白い肢体が暗闇の中に幽かな光を放っている。
 色香の他には何もまとっていない彼のしなやかな幾分細身の身体を抱きしめる。
 彼は艶めいた吐息をとめどなく零している。
 暗闇の中にお互いの呼吸音が響いている。
 
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 こっそりFC2ブログで過去の赤面モノ(と言っても、そんなに文章力も上がっていないような…)の過去小説をアップしていますが、「教えて」と言って下さった方で、ブログ持ちさまでない場合はどうやってお教えすればいいのか悩み中。
 今回は、「ああ、書きたい」との衝動で、ツイ祐樹の母のお見舞い編の最終回を書いてしまいました。リンクも貼りたいのですが、じ、時間が…
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プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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