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「がんじがらめの愛」3章-17

 数メートル越しに視線を絡ませ合っていると、三條の笑いを含んだしかし真剣な口調が鼓膜に届いた。
「そちらは順調そうで何よりだ。で、僕の意向は先に片桐君に伝えて置きたいのだが、僕が言おうか。それともお前から伝えるか」
 片桐は妹君をとても可愛がっているのは知っている。彼からすれば華子嬢の求婚の相手が出てきた事を喜ばしいと思う反面、寂しいとも思うだろう。その時、自分が居て彼の気持ちを直接聞きたいと思ったし、もし反対するなら三條に取り成す事も可能だ。片桐家の様子は自分の家と同じく、いや自分の家よりも昔の事に拘泥していると思われる。表面上は同じ爵位だが、かつては陛下に逆らった家柄なので肩身は狭い事は片桐の言動でも察する事が出来る。
 片桐は、表面上は快活に振舞える男だが、心の底は容易には覗かせない。学友とも一歩引いて交際して居る。その例外が自分で有る事に、心の底から震えが来る程嬉しく感じている自分が居た。三條の事も大分打ち解けて来てはいるが、良く観察していると透明な壁を築いているのが分かる。と言っても他の学友よりもその壁は薄い様に思えるが。
「今日も運が良ければ逢える筈だ。お前と華子嬢の事は俺の口から伝えたいが、構わないだろうか」
 熟慮の末そう言った。三條は心持ち頬を上気させた。
「未来の兄君に当る可能性の有る片桐君に僕の気持ちを直接話すのは、少し躊躇を感じる。お前が話してくれれば有り難い」
「分かった。そうする事にする。しかし、未来の義兄君とは些か気が早いぞ」
 そこで予鈴が鳴り、教室に戻った。片桐は平静な雰囲気を纏って着席していたが、背中で自分の気配を感じて居るのが、肌を合わせた人間の敏感さだろうか…分かってしまった。
 大変喜ばしい事の様に思える。
 放課後、片桐は一瞬視線をこちらに流すと直ぐに教室を1人で出て行った。直ちに追いかけたい衝動に駆られたが、腕時計を見てきっちり五分後教室を後にした。三條が意味ありげにそして真剣な表情を浮かべていた。
 市電に乗り、ニコライ堂を目指す。逸る気持ちで扉を開けると最後尾の席に片桐の姿が有った。マリア像の近くでは露西亜の少年が聖歌を練習して居るらしく、ドームから零れる太陽の光ものんびりとした雰囲気だった。建物は荘厳だったが、練習中の寛いだ雰囲気が室内を満たして居る。 
 気配に気付いたのか、片桐の視線が扉に向けられた。彼の印象的な瞳を暫く見つめた後、おもむろに彼の隣席に座った。片桐の手の甲が自分の手の甲に伸ばされた。誰にも気付かれない様に振舞う彼の行動が言葉にならない程に嬉しい。
 幸い聖歌を練習中の少年達のせいで室内は程良く騒がしく話しをしても誰にも聞き咎められそうに無い。
「重大な話が有るのだが…」
 深刻そうな口調で切り出すと、片桐の瞳が動揺するのが分かった。手の甲も強張った。
「華子嬢の事だ」
 そう言うと、彼は安堵したかの様に身体の力を抜いた。


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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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