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「がんじがらめの愛」3章-22

 自分も覚悟を決めて居る筈だったが、彼の覚悟の程は自分よりも上のようだった。思い当たる事があって、周囲の人々がこちらに注意を払ってないのを確かめてから囁いた。
「だから、行為の場所も…あそこだったのか?個室ではなく」
「……ああ、全部見て置きたかった。晃彦の顔も表情も…そして網膜に焼き付けておきたかった。いつ露見するか分からない。だから」
 ぽつりと話した。
 だから個室ではなく、鏡の前での行為をせがんだ…と続けたかったのだろう。
「そうか」
 胸が詰まってありきたりな返事しか出来なかった。
 多分、片桐の暗い瞳は、喪失への予感なのだろう。景色に見入って居るふりをしながら、お互いの気配だけを感じていた。
 どうすれば露見せずに居られるか。それが一番の重要事だった。
 逢瀬に使う場所…今のところは、ニコライ堂が安心だとは言えるが度々訪れると矢張り不審を買うだろう。
 自分の屋敷は両親が不在でもキヨやマサが目を光らせて居る。しかし、キヨとマサ、この二人はどちらも両親に多大な信頼を勝ち得て居るが、マサの方がどちらかと言えば重宝されている。キヨがそれに対して不満を持っているのではないかと、ふと思った。屋敷の中の事を良く把握しなければならない。今までは気に留める事などなかったが、秘密を持った以上は屋敷の中で自分の味方に着いて呉れる使用人を探さねばならない。
 学校では三條以外にはこの事を悟っている人間は居ないはずだ。片桐家は、程度は分からないが華子嬢しかこの関係は知らないはず。
 まさか屋敷で逢瀬などは出来ないだろうが、自分の家の事は調べておいて損は無いと思った。
 隣で思いに沈んでいた様子の片桐は、唇を開く。
「欧羅巴に行きたい。晃彦と」
「そうだな…外国へ出てしまえば、こんな窮屈な思いはしないで済むだろうからな。どこの国が好きなのだ?」
「仏蘭西も捨て難いが、家庭教師の先生によると、全く英語が通じないそうだ。だから矢張り英国だろうな、行くのなら」
「テムズ川のほとりを二人で散歩するのもと楽しいだろうな・・・」
 その返答に片桐は透明な微笑を浮かべた。
「一緒に行こう、きっと。片桐さえ居ればどこでも良いから」
「ああ、オレも行きたいと願っている。・・・・・・もともと英語に興味が有ったのは外国に行きたかったからだ」
「そうなのか」
 単に勉学が好きなだけかと思っていた。
「ああ、外国へ出てしまえば、家の事も何も考えなくて済む。そう思ったら無性に憧れが募った。我が家は過去の因縁に囚われているからな…」
 繋いだ手を強く握って断言した。
「俺と一緒に行くと約束して欲しい」
 片桐は澄んだ目を見開いて儚げに笑った。
「ああ、約束する」
「きっと、いつか一緒に行こう」
「いつか・・・きっと…」
 しかし、その口調は寂しげだった。 


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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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