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「がんじがらめの愛」3章-24

 今までは使用人を単に部屋を掃除したりする人間だと思って居た。舞台の黒子のように。
 片桐は身分を問わず困っている人間をためらいなく助けたにも関わらず、自分は彼の行動を他人事の様に把握していたのが悔やまれてならなかった。
 それとなく観察していると仕事振りは真面目だが、使用人とは仕事の話しかしない女中が居た。無駄口を利くのが嫌な性格なのか見極めようと思った。自分の部屋付きの女中ではないが、今の部屋付きの女中は縁談が整って縁付日も近い。もう直ぐ暇乞いをする予定だ。
 もう少し様子を窺ってから彼女が信頼出来そうだと判断するに足りれば、自分の部屋付きにしてもらおうと決意した。
 翌日いつもの時間に校門を潜ると、三條が喜色満面で挨拶をして来た。片桐の姿はなかった。歩きながら話をする。「昨日、家の執事を片桐家に遣わした。正式な返事はまだだが、悪くない感触だったと。片桐君はどう言っていた」
 自分達の階級以外でも婚礼の申し込みの返事は数日間ほど掛かるのが普通だ。それに三條家との縁組は片桐家に取ってこの上ない良縁だと思われる。
 それに、片桐の両親は絢子様からの御求婚が有った事は知らない筈だ、片桐が機転を利かせて御辞退してくれたお陰で。もしご存知だったら、何としてでも纏めたかった事だろう。
 ただ、それは片桐の将来を闇で包むのと同じ事なのだ。もし絢子様御降嫁ともなれば片桐伯爵家の家格が段違いに上がるにも関わらず自分の求愛のせいで。だから、余計に彼に対して生涯守る義務が有ると思った。
「『兄として三條君なら申し分の無い相手だ』とか何とか。彼自身異存は無さそうだった」
 三條の笑みが深まったが、ふと眉間に皺を寄せる。
「お前の方は色々と大変そうだな。交際は順調か」
「悩みは尽きないが、順調は順調だ」
「そうか、それならば良い。協力は惜しまない」
 いつもながらの親友の暖かい言葉に礼を述べて自席に座った。
 やがて片桐も登校して来た。いつもの様に視線だけを絡めて彼も着席する。しかし、心なしか顔色が優れない。
 自分が昨日無理をさせてしまったからなのか…と心配しながら授業を受ける。授業に集中する振りをしてそれとなく彼を見ていた。
 時間が経つにつれて、彼の様子がますますおかしくなっていった。得意な英語の授業でも、彼らしくない平凡な間違いをし、教員にまで心配される始末だった。
 昼休みに弁当を使っていると血相を変えた教員が教室に入って来る。
 級友達が何事かと皆注目する。
「片桐君、直ちに院長室に来たまえ」
 その言葉を聞いて血の気が引いた。教室のざわめきをどこか遠いものに感じた。

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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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