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「がんじがらめの愛」4章-4

 屋敷内は、何時もよりも浮き立っていた。主人夫婦の仇敵とも言える片桐家の不幸が伝わったのだろう。家長の意向は使用人達には敏感に伝わる。自分付きの女中も噂話で盛り上がっているのか、自室には遣って来ない。格別に用は無い上に、自分にまで「片桐家の不幸」に対する喜びの顔を見せられては堪らないので、それはそれで良い。
「失礼致します」
 全く平静な声で扉越しに声を掛けられた。返答すると、以前目を付けていた女中が静かに入って来た。
「確か、静さんだったね。今日は君が俺の世話を?」
 そう尋ねると、静かに頷く。
「お屋敷の中の使用人は皆、旦那様からも奥様からも咎められない噂話でもちきりですので、晃彦様がご不自由をなさっているかと思いまして」
「それは有り難い。しかし、静さんは噂話には興味がないのか」
「然様でございます。私はあまり噂話を好みませんし、こちらのお屋敷に奉公出来るだけで幸せですから」
 噂話を好まない使用人が居たのは驚きだった。主人の事、社交界の事、そういった話をするのが使用人の常だからだ。
「この屋敷に来る前は、何処に勤めていたのか聞いても構わないか?」
 ふと気になって聞いてみる。
「私は旧士族です。しかし、時代も変わり・・・晃彦様もご存知の様に食べて行くには働かなければなりません。途方に暮れて居た時、片桐様のご子息がいくばくかの金子をさりげなく渡して下さいました。ですから余計に片桐家の事は気になっております」
 彼は没落士族に思い入れが有る事は知っていたが、そんな事までしていたとは知らなかった。
 静は信用出来る。そう思った。片桐と自分の関係は女中にまでは知られていない筈だ。屋敷中が片桐家の不幸を噂している今、片桐家の事を嫡男である自分に言ったのは彼女にとって一種の賭けの様なものだ。片桐と恋仲になる前だったとしたら自分も不快に思っただろうし、静を遠ざけた筈なので。
「他言は無用だ。それは誓えるか」
「はい。私も落ちぶれたとはいえ、武家の娘です。それなりの矜持は持ち合わせて居ます」
 確かに武士の娘に相応しい品格と教養の持ち主の佇まいだ。
「…そうか、実は、家族にも使用人にも明かして居ないが、俺は片桐君とは親密な仲だ。静さんさえ良ければ俺付きの女中になってくれないか」
「然様で御座いましたか。片桐様にもご恩が有りますので謹んでお受け致します」
 静は端然と微笑みながら礼儀に適ったお辞儀をする。
 今なら父母の機嫌が良い筈だ。これ位の我が儘は聞いて下さるだろうと、早速掛け合いに行った。案の定自分の要望は恙無く許可された。
 三條の家からは電話が来なかった。やはり、電話の回線が混み合っているのだろう。
 明日、片桐は登校してくるのだろうか…
 それも気に掛かる。
 視線だけでも絡めたい。、可能ならなら、彼の不安や重圧を少しは取り除いてやりたかったが、学校では無理だ。
 三條経由でしか、片桐家の様子を知る事が出来ない事が余計に焦燥感を煽る。
 逢って、話がしたい…出来ればそれ以上の事も…それが偽りのない気持ちだった。



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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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