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「がんじがらめの愛」4章-7

 級友達も口々に、「手伝おうか」と声を掛けてくれる。しかし、彼の身体は誰にも触らせたくなかったので謝絶した。
 横抱きにされた片桐は掠れた囁き声で言う。
「晃彦…自分で歩ける」
「そんな顔色の人間が言うと説得力に乏しいな。それにこんな機会は滅多にないからじっとしていろ」
 そう諭す様に言うと、片桐は力を抜いて抱かれやすいように首に手を回した。相当恥ずかしいのか、気分が悪いのか――おそらくは両方だろう――彼は目を閉じて居た。
 救護室の前に到着すると、三條が鍵を持って扉の前に佇んでいた。教官室に寄ってからこちらに回った筈なのだ。
 しかし、彼は恐らく普段は禁止されているが…廊下を走っただろうし、教官も三條の訴えを聞き、直ぐに鍵を渡しただろうから、片桐の身体を抱く事によりゆっくりしか歩めなかった事を思えば、三條が先回り出来たのは当たり前の様な気がする。
 そんなことをぼんやり考える事が出来たのは、片桐が顔色こそ悪いが、病気という程でもないと判断したためだ。熱も触った感じでは普段と同じ程度だろう。
「『保健医が出勤するまでは休んで様子を見ていろ』と担任が言って居た」
 鍵を開けながら三條が言った。扉を開いて貰い、寝台の掛け布団をずらして貰った。自分は片桐を抱き上げているため両手が使えない。
 三條は気を利かせてカーテンを開ける。 
 寝台にそっと片桐を下ろし、腰掛けさせる。学生服のままでは窮屈だと思ったので、敢えて事務的にボタンを外す。 その様子を見ていた三條は「僕に出来る事は有るか」と聞いてきた。
「大丈夫だから授業に戻ってくれ。有り難う」
 片桐が言ったのをしおに、
「じゃあ、僕はこれで。お大事に」
 との挨拶を残し静かに扉を閉めて立ち去った。
「大丈夫なのか。苦しい処はないか」
 気遣いながらも、眉間に皺が寄るのを感じていた。制服の上着を脱がし、皮のベルトを外した。ベルトを外すと胴周りに余裕が出来る事は知っていたので、それ以上の事はせずに寝台に横たわらせて掛け布団を掛けた。
「あの騒動から、夜眠れなくなってしまって…この体たらくだ。情けない」
「睡眠不足が祟ったのか…では寝る事がが一番だな」
「多分、睡眠を取れば治るとは思うのだが…明るい所で眠るのは慣れて居ない」
 ハンケチで顔の汗を優しく拭う。青い顔をしてそう言ったので、カーテンを皆閉めた。しかし、布地越しにもで初夏の陽光は容赦なく降り注ぐ。
 枕に沈んだ片桐の顔の上半分を右手で覆う、目隠し鬼をしているかの様に。
「これで、暗くならないか」
「ああ、丁度良い」
 そう言いながら、片桐の右手は掛け布団から出て、唇をなぞっていた。



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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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