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「がんじがらめの愛」4章-10

「ああ、かなり疲れている様だな」
「そうか…華子嬢も心配していたが、やはり彼は屋敷では家長代理をソツ無くこなして居る上に、勉強も今まで通りしているそうだ。倒れない方が不思議かも知れないな。
 終業時間まで寝かせてやれよ」
 三條の眉が曇る。
「ああ、その積もりだ」
「これ以上の無理はさせるなよ」
 意味深な笑みを浮かべて三條は立ち去った。
 確かに彼の姿にどきりとした事は事実だが、彼の負担を考えると無体な事は出来ない。三條もそういう意味で言ったのだろうと思うと、いささか心外だった。
 鞄を静かに室内に置き、彼の寝顔を飽かず眺めていた。
 食事も満足に摂ってない彼に何を食べさせれば良いのだろうかと考えていた。精養軒で仏蘭西料理か…それとも伊豆栄での鰻料理か…ホテルは知人に出くわす可能性が高いので危険だ。しかし、ホテルに知人が来るとしたら、もっと後の時間の筈だ。帝国ホテルのグリルでも良いかと考えていた。
 時計を見ると、終業時間10分前だった。教官に帰宅する旨を伝えようと、枕元に手帳を破った紙片を起き、教官室に行った。
 自分も片桐も教官には好かれているので許可は直ぐに下りた。急いで部屋に戻ると、枕元の紙片はそのままで安らかな寝息を立てて片桐は眠っていた。起こす事は忍びなかったが、終業時間になると、級友達も帰宅するので騒がしくなる。
 今のうちに下校した方が良さそうだと判断し、布団から出ている彼の手を強く握った。彼の目蓋がぴくっと動き、ゆるゆると目が開いた。自分の姿が目に映ったと同時に、彼が柔らかく微笑んだ。
 その唇に魅了されて、軽い接吻を送る。薄目を開けて彼の様子を窺うと彼は幸せそうに薄く笑んでいた。
「今、何時だ」
「そろそろ下校の時間だ」
「そんなに眠っていたのか」
 片桐は目を見開き、驚いたように寝起きのせいか幾分掠れた声で言う。
「ああ。気持ち良さそうに眠っていたから起こさなかった」
「父上が倒れられて以後、こんなに熟睡出来たのは初めてだ」
「…そうか。それは良かった」
「晃彦には授業をさぼらせてしまってすまない。しかし、時々は感じていた。髪を梳いてくれていただろう。あれはとても気持ちが良かった。眠りが浅くなった時もあのお陰でまた眠れた」
「授業は後で取り返せるが、お前の看病は取り返せないから、気にするな。それよりもそんなに眠りが浅いのか」
「…ああ、父上の一件以来、寝たと思っても直ぐに起きてしまって、それから一睡も出来なくなる事が続いていたから、どうやら癖になったみたいだ」
「良くないな…それは」
 思わず低い声になる。しかし、ここで会話して時間を潰してしまうと級友達の下校時間にぶつかってしまう。
「学校から出るぞ」
 そう言って、彼の上体をゆっくり助け起こした。

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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