スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「がんじがらめの愛」4章-13

「三日後なのだが…」
 辺りに人が居ないのを見計らって切り出した。
「夜、何時でも良い。時間が取れないか」
「何故、三日後なのだ」
 片桐が不思議そうに言った。
「その日は宮城で晩餐会が有るのを知っているな」
「ああ、知っている。オレの家は知っての通りだから出席出来ないが」
 正式な晩餐会は家長夫婦で行くものだ。確かに片桐家の現状からすると断るしかないだろう。
「主だった使用人も俺の父母に従って付いて行く、仮に付いていかなかったとしても準備疲れで自分の部屋に引き取るだろう。だから俺の屋敷に来る絶好の機会だ」
「しかし、晃彦付きの女中は関係ないだろう。傍に控えているはずだ」
「静さんという人を覚えているか」
「どんな人だ」
 思い当たらないのか不審そうな顔だった。
「没落した武士の妻だった人だ。その人がお前の事を知っていた」
 片桐は、ああという顔をした。
「その人が今、俺の部屋付きなのだ。だから彼女なら信頼出来る。晩餐会の後も父上達は社交で忙しいはずだ。だから帰宅も遅い。だから来て……欲しい」
 真率な口調で頼み込むと、片桐は儚げな笑顔で小さく頷いた。
「ただ何時になるのかは分からない。それでもいいか」
「来てくれるのなら・・・」
「オレだってお前に逢いたいのを我慢していた。だから行く」
 きっぱりとした返事に安堵した。
「それにしても鰻が来るのが遅いな」
 今までは片桐の事しか頭に無かった。店内には鰻の焼く匂いが立ちこめ食欲を煽る事に初めて気づく。昼御飯を抜いたことも有ってかなり空腹だった。
「『鰻は急かすな、焼きを入れるほど旨くなる』と言われている。だからもう少しの我慢だ」
「そうなのか」
「ああ、昔からの江戸っ子はそう言ったらしいと聞いて居る」
 彼が平民の暮らしを良く知っているのは知っていたが、これほどまでとは思わなかった。
 鰻が来た。飴色に焼かれた美味そうな鰻だった。かなりの空腹を感じていたので、早い速度で食べた。片桐も自分に煽られたのか残さず平らげる。和食の食事中に会話をするという躾は受けて居ない。
「晃彦、あのご婦人はお前の知り合いか」
 片桐が小声で囁く。片桐の視線の方に顔を向けると初老の婦人がちらちらとこちらを見ていた。少し眺めたが見知った顔ではない。
「いや、違うと思うが」
「そうか、先程から晃彦とオレの顔を見ていたから…」
「誰かと間違えたか、この制服が珍しいのだろう」
「そうか…それなら良いが」
 片桐は訝しげに眉を顰めた。
 その時、自分の判断が最大の過ちになるとは思いも寄らなかった。




ブログランキングに参加させて戴いています。宜しければクリックお待ちしております~!とってもとっても励みになります!!!コメントも熱烈歓迎中です!!!
 ポチっとお願い致します!!!



スポンサーサイト

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。