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「がんじがらめの愛」5章-6

 学校へは行けないので、自分で勉強していると、母が靴音の高く部屋を訪れた。勿論マサを伴って居る。
「おはようございます。晃彦さん。頭は冷えましたか」
「おはようございます。生憎、昨日の言葉は頭に血が上って申し上げたことでは無いので、冷える筈はございません」 母は怒った口調で言った。
「それ程、片桐家の子息の事が大切ですの。晃彦さんは、次期加藤家の当主に相応しく、人格や識見に優れていると愚考しておりましたが、どうやらそうでは無いようですね。ただ、片桐家の子息から、お手紙が参っておりますのよ。勿論父上宛ですが」
 片桐からの手紙…。
「その手紙はお持ちですか」
 母は勝ち誇った様に言った。
「勿論ですわ。でもこの書簡で晃彦さんに非が無い事は明らかです。晃彦さんも謹慎が早く解けるのではありませんかしら」
「拝見しても宜しいですか」
 母は先ほどとは打って変った上機嫌な表情で手紙を差し出した。
 何時もの彼の手紙と違って、毛筆で書いて有る。毛筆の方が正式とされる為、父宛の手紙には筆を使ったのだろう。 何時もの彼の筆跡はペンでしか見た事が無いが、間違いなく彼に筆跡だった。
 破らない様に気を付けて、文面を読む。
 要点を把握して絶句した。
「全ては、私の陰謀です。貴家と我が家の確執はご存知の通りです。たまたま加藤君が私に興味を持って近付いて来た。それを私が利用したのです。
 加藤君と逢って居たのも、彼が私との関係のせいで、加藤家から廃嫡されれば良いと思って居たからです。全ては貴家を貶める為でした。
 途中で謀が露見し、全ては烏有に帰しました。そこで私も片桐家の嫡子を遠慮し、市井の人間として生きて行く所存です。加藤君には全く落ち度が有りません。その旨を貴家に伝える為にこの書簡をしたためました。全ての責任は私に有ります。下世話な言葉ですが、加藤君の私への気持ちを弄んだのです。罪は私が一身に背負います」
 恐らく片桐は自分の為にこの手紙を書いたのだろう。積極的に近付いて行ったのは自分だ。しかも逢瀬を望んだのも自分だ。片桐は敢えて自らが悪者になり、自分を廃嫡の危機から救おうとこの書簡をしたためたに違いない。
 しかもその代償が片桐家を継がないという意思表明だ。
 早く、片桐を救わなければ…と思った。
「ほら御覧なさい。晃彦さんには罪は有りませんのよ。片桐の子息が全てを企んだと書いて有りますでしょう。早く目をお覚ましなさい。・・・この分では謹慎も早く解けますわね」
「しかし、本当に私を陥れるのが目的なら、この手紙はおかしくありませんか。私の廃嫡が彼の狙いだったのなら、この様な手紙を送って来る筈はない」
 母は苛立ったように言った。
「ご自分の立場をわきまえなさい。貴方は次期加藤伯爵なのですよ。この書簡の通り、片桐の子息が貴方を誑かしたのですわ」 
 吐き捨てる口調で断言すると靴音も高く部屋を出て行かれた。
 片桐が廃嫡覚悟でこのような手紙を書いて来たからには、自分も行動を起こさなければと噛み締めたで思う。口の中に血の味が広がった。


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テーマ : 自作BL連載小説
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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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