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「がんじがらめの愛」5章-10

 部屋に居ても落ち着かないが、部屋を出る事も出来ない。自分の蒔いた種では有るが、波紋の大きさには想像を絶していた。
 今は、片桐をどうにかして救いたい。だが自分が行動出来ないのが胸が焦げる程苦しい。
 時計ばかりを見ていた。針が進むのが遅く感じられてならない。
 夕食の時間になった。マサに先導されてシズさんが食事を運んで来る。彼女の表情をちらりと窺うと明るい顔をしている。少しは心が軽くなった。
 自分の視線を感じたのか、シズさんは意味ありげに肉の皿へと目を走らせた。視線だけで感謝の意を伝える。
「1人で食べたい。下がってくれ」
 冷たい口調で命令した。
 シズさんと話したかったが、彼女だけを置いてマサを下がらせる上手い口実が見つからなかった。シズさんと2人きりになる機会が増えれば、それだけ彼女にもマサの不審を被る切っ掛けとなるだろう。それに、マサに部屋をしげしげと観察されると掃除の行き届いていない事も気付かれる可能性も有る。
「承りました」
 マサはやや切り口上で言い、シズさんを促して共に出て行った。
 扉を閉めるや否や、肉の皿を取り上げた。下には封書は二つ有った。三條と華子嬢からの物だ。
 華子嬢の手紙から開封する。
(兄の様子をずっと案じておりました。最近、少しは明るい顔をしておりましたが、二日前からはずっと塞ぎ込んで居りました。此の儘では神経衰弱に罹ってしまうのではないかと心配していたのですが、あらましは三條様から伺いました。詳しい事は分かりませんが、私の親友に頼んでみますわ。私よりももっと絢子様とはお親しいご関係でいらっしゃるので、きっと、絢子様も連絡を取って下さると思います。私も出来るだけ絢子様にお願い致します。取り急ぎ)
 要約すればこの様な手紙だった。
 溜息が漏れた。二重の意味で、だったが。絢子様に働きかけてくれる華子嬢の気持ちは大変有り難い。その意味では安堵の吐息だったが、片桐の心痛が――華子嬢は普通の令嬢よりも敏い処が有るにせよ――そこまで重いとは。「神経衰弱」とまで表現される片桐の様子が筆舌に尽くしがたいほど心配だった。神経衰弱は病気だ。その為に自殺する人間も居る位なのだから…。一刻も早く彼を救い出さなくてはと思った。
 次に三條の手紙を急いで開封した。
(登校して驚いた。お前が病欠で、片桐君は誰も寄せ付けない雰囲気だと思っていたら、静さんとか言うお前の使いが屋敷に来た。全てが分かった。こちらも出来る限り動いてみるから短慮はよせ。華子嬢も心配している。二人で幸せになる事だけを考えろ。僕の方は心配無い。華子嬢との交際は至極順調だし、仮にこの件が公になっても華子嬢とは結婚する積もりだ。くれぐれも短慮は慎め。片桐君については僕の方でも様子をしっかり見て置くから)
 彼らしい、気遣いに溢れた手紙だった。彼ならば片桐の気持ちを少しは浮上させる事も出来るだろう。
 自分はどうやら病気という事にされているらしい。両親は学校にそう報告するのだから世間にもそう報告するだろうと予測した。



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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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