スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「がんじがらめの愛」5章-12

 夕方、母が自室へやって来た。見られてはまずい手紙は鍵付きの引き出しに仕舞ってあるので心配無い。また説教か愚痴かと思ったが、其れにしては明るい顔をしている。
「晃彦さんも部屋に籠もってばかりだと気鬱ですわよね」
 猫なで声に近い声を出す母に、今度は何を仰るのだろうかと身構えながら言った。
「ええ、しかし私の場合は自業自得ですから。学校を休む表向きの口実は何ですか」
 知っていたが、敢えて尋ねた。
「お風邪をこじらせて…という事に致しましたのよ。それよりも、先ほど柳原伯爵からお電話が有りまして」
 話の飛躍には少々驚いた。父母が社交界の交際範囲が広い事は知っている。柳原伯爵家とも付き合いがある事も。しかし、何故このような時に自慢話をするのかが分からなかった。
 柳原伯爵家は三條家と同じく公家華族で、爵位は自分の家と同じだが、格が違う。
 今上陛下の御生母の実家なのだ。先帝陛下は皇后陛下とのお子様には恵まれず、官女としてお仕えになられていた柳原家ご令嬢が寵愛を賜り、懐妊なされた。現在の国母でいらっしゃる方を出した家柄だ。
「柳原伯爵家と私とどの様な関係がありますか」
 面識は辛うじてあるが、それ程記憶には無かった。親しく声を掛けられた事も無い。
「それですのよ。何故だか分かりませんが、是非近日中に晃彦さんをお屋敷にお招きしたいとの事です。お風邪は全快した事にしていらっしゃったら如何ですか。伯爵家には妙齢の御令嬢もいらっしゃいます」
 息子が同性と不適切な関係に有るのは、周りに女性が居ない為と判断された様だった。事実ではないが。暗に見合いでも勧めようとしているのかと思った。
「しかし、私は父上のお怒りを買って謹慎中の身の上ですので」
「ご許可は戴いております。是非ご訪問なさるようにとのご命令ですわ」
 母の声が次第に強張ってきた。これ以上心証を悪くしてはならないと判断する。
「分かりました。ご命令に従います」
 内心、気は進まなかったが仕方が無い。柳原邸に伺おうと思った。
「そうですか。晃彦さんがその気になられて良かったですわ。
 あくまで御内密にというお話しですので、お召し物も気を遣わずにいらして下さって結構だとのお話しです。制服でも構わないかと思いますわ。しかしそれでは失礼でしょうか」
「いえ、制服で結構です。車で参りますから」
「まぁぁ、本当に制服で宜しいの。それにお車でいらっしゃるの」
 車で行くという事は、運転手の監視付きということだ。勝手な行動は出来ない。どうせ運転手にも何かしらの命令を出しているに違いない。今屋敷を抜け出してこれ以上の自由を拘束されては敵わない。案の定母の顔が喜色に輝く。「はい。それで、いつ伺えば宜しいのですか」
 未知の屋敷を訪ねるのは、片桐の事で頭が一杯の今では余り歓迎出来ない。しかしこの位の妥協は必要だろう。
「柳原家では、可及的速やかにとの事ですのよ。明日にでも伺うと返事をして宜しいかしら」
「分かりました」
 仕方なくそう言った。自分を過信するわけでは無いが、見合いだったら厄介だと思った。
 自分は一体何をしているのだろうと自嘲する思いだった。








ブログランキングに参加させて戴いています。宜しければクリックお待ちしております~!とってもとっても励みになります!!!コメントも熱烈歓迎中です!!!
 ポチっとお願い致します!!!

スポンサーサイト

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。