スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「がんじがらめの愛」5章-16

 柳原伯爵のお屋敷に訪問する日が来た。母の話しによれば、御令嬢が学校を終えて御屋敷に戻られた時間に訪問して欲しいという要望だそうだ。
 シズさんは華子嬢と三條の屋敷に文遣いに行って不在だった。
 気が進まないが、部屋着を学生服に着替え、外出の支度をする。気に入られない為には本人を褒めず、的外れな事を申し上げるしか考えられなかった。
 自分の屋敷の車で柳原邸に向かった。
 門番に運転手が来意を告げると、門が開き、玄関先まで車を乗り入れる事が出来た。自分の屋敷とは建築様式は違うがミルク色の外観に、茶色の屋根を付けたなかなか趣味の良い屋敷だった。
 主人用の応接室に通される。
 立ったまま暫く待っていると、柳原伯爵が悠然とした様子で現れた。
「君が加藤家の御子息かね。噂は聞いている。学業成績も人柄も申し分無い人だと聞いておる。実は、今日訪問して貰ったのは他でもない。娘にどうしてもと頼まれたのだ。
 こちらで話して貰っても一向に構わないが、娘の部屋でゆっくりと話し給え」
 ――御令嬢と二人きりになるという事は案の定、御見合いなのだろうか――
 失礼にならない挨拶の口上を述べてから一礼し部屋を出て、使用人に案内されている間にそう考える。華族の令嬢と二人きりになると言う事は、そういう事なのだろう。
 絶対に気に入られないようにしなければと思った。
 令嬢の部屋の応接室に案内され、深呼吸をしてから扉を叩く。
 中からお出ましになられたのは、季節に相応しい薄い赤色の紫陽花を描いた京友禅をまとった方だった。目の形は先帝の皇后陛下のような切れ長の目ではなく、今上陛下の皇后を偲ばせる、澄んだ大きな瞳の美人だった。どこか舶来の猫を連想を連想させる瞳の小柄で華奢なお方だった。
 入出の許可を得て、応接室に入った。
「わたくしは、柳原鈴子と申します。お目にかかる機会は御座いましたが、お話しするのは初めてですわね。わたくし楽しみにしておりました」
「加藤晃彦です。御着物は、綺麗ですね」
 鈴子嬢も綺麗だったが、それには敢えて言及しない。相手にうっかり気に入られでもしたら大変だ。
「お褒め戴いて有り難う御座います。加藤様にそう仰って戴けるのは光栄ですわ」
 話しの流れからすると、鈴子嬢は自分に好意をお持ちの様だ。それは有り難い事ではあるが、今の自分には迷惑でしかない。
「加賀友禅ですね」
 母は洋装も好むが和服も着る。京友禅と加賀友禅の違い程度は自ずから耳にする。
「いいえ、京のですわ」
「そうですか。私はあまり詳しくはないもので失礼しました」
 無表情で平淡な声で答える。
 彼女は、気を悪くした風も無く、おっとりと微笑んだ。
「わたくしの自室へいらして下さいませんか」
「それは余りにも畏れ多い事なので、ご遠慮致します」
 自室に入って仕舞えば、取り返しが付かない事になると思い、謝絶する。
「是非いらして下さい」
 彼女が大きな瞳で懇願する様に言い、席を立った。矢張り、高貴な猫を連想させる瞳だった。その瞳には不思議な魔力を秘めていて…しぶしぶ彼女の後に続く。
 彼女が自室の扉を開いた瞬間、意外さの余り目を見開いた。
 どうして此処に。


ブログランキングに参加させて戴いています。宜しければクリックお待ちしております~!とってもとっても励みになります!!!コメントも熱烈歓迎中です!!!
 ポチっとお願い致します!!!

スポンサーサイト

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。