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「がんじがらめの愛」5章-20

 このような立場に居る自分が手紙を出す場合、今では二つの方法しかない。シズさんに動いて貰って非公式で華子嬢や三條に出すか、それとも公式にマサなどに預ける場合だ。郵便などは不確かな方法と聞いている上、郵便配達は「屋敷の主人」に近い者に手渡すのが習慣だ。
 今日、柳原伯爵の鈴子嬢は協力を申し出て下さった。彼女は宮中でも顔が利く。絢子様と連絡を取る為には彼女に直接頼むのが最良だが、シズさんの顔もご存知ない方だ。マサを使って手紙を出すとおそらくは何もご存知ではない柳原伯爵は縁談の進行と取るだろうし、父母も同様だろう。やはり華子嬢経由で手紙を届けてもらうしか無い。
 皇后陛下とは直接御言葉を交わした事は無かったが、噂によると大層御賢明な上、他人の痛みを我が事の様にお考えになられるお人柄だとのことである。畏れ多いことではあるが皇后陛下が我が家や片桐家の両親を諭されるのであれば、両家ともその御内示に逆らう事など有り得ないと予測した。
 明るい兆しが見えて来た今、三條からの手紙が思い出される。片桐の精神状態の悪化だ。華子嬢も案じて居たが、友人兼婚約者の兄の三條が見てもやはり、片桐の苦悩は分かるというのは、――彼は敏い男だが、片桐も取り繕うのが上手な人間だ――彼の懊悩は深いのでは無いかと案じられた。
 片桐家に忍んで行こう。そう決意した。
 危険な事では有ったが、今の自分は昔ながらの座敷牢に閉じ込められているわけではない。夕食後はシズさんが寝台の用意に来た後は誰も来ない。シズさんは協力者だ。彼女に頼めば、夕食後は自由に動ける。母も滅多に来ないので、大丈夫だと判断した。片桐家の造りは知っているし、彼の部屋も知っている。華子嬢に訪問の日にちを書いて置けば、彼女も兄の状態を案じて居るので協力はしてくれるだろう。
 片桐へは、万が一自分が不慮の出来事で訪問出来なかった場合、期待させた分、更に追い討ちを掛ける事に成るので黙って置く。
 朝食の時間までに戻れば、マサや家族に露見することはあるまいと思った。
 華子嬢に絢子様との対面への依頼と、片桐家への訪問日時――こうなると早い方が良いだろう――をしたためる。三條には礼の言葉と引き続き片桐の様子を知らせて呉れる様にとの手紙を書いた。
 マサは両親が宮城に行く為の支度の準備に追われているのだろうか、シズさん1人が夕食を運んできた。
「お心遣い有り難う御座います。片桐様へのご恩返しにとせめてもの事をさせて戴いているだけで御座いますので戴ける筋の金銭では有りませんが、晃彦様のお志と思いますので有り難く思って居ります」
 一瞬、何の事かと思ったが、以前皿の下に忍ばせた紙幣の事を言って居るのだと思いついた。
「ほんの気持ち程度なので、心置きなく使って呉れれば有り難い。そして、これをいつものように」
 手紙を差し出した。いつものように受け取る彼女に、頼みがあるのだが…と切り出した。







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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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