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「がんじがらめの愛」5章-21

「はい、何でございましょう」
「実は片桐君の事が心配なので、自分の目で確かめたい」
「左様で御座いますか」
 シズさんは僅かに引き締まった表情で静かに頷いた。
「俺が屋敷を抜け出した場合、家族に露見してはまずい。この部屋の監視はどうなっているか、シズさんが知っている限りで良いので教えて欲しい」
 彼女は考えを纏めるかのように少しの時間が経ってから滑らかにに話し出す。
「左様で御座いますね。特に監視はされていないと存じます。お庭にも書生などが見張っている様子は御座いません。私が寝台の用意をして下がってからはどなたもこのお部屋には近付きません。晃彦様は表向きご病気とされておりますので、近付く人間は居りません。
 特に今は、御屋敷ではご主人様が宮城に参られる準備で大忙しの様ですので…。 前回の様に予想外にもマサさんが居残ると言った話も聞いて居りません。その上マサさんも宮城へのお召し物の衣装を準備しています。それは確かめたので本当らしく思えます。ですから、伯爵夫妻が宮城に参られる日が適当なのでは御座いませんか」
 冷静沈着な彼女の言葉を聞いて、決意した。やはり、使用人には使用人しか分からない事も有る。特にシズさんは前回の騒動の事を自分の責任の様に感じて居る節が有る。その為にあまり縁の無い使用人まで調べて居てくれたのだろう。第一、彼女は他の使用人とは出自が違う。誇り高い士族出身だ。
「前回の事は、全ては俺の責任だ。シズさんのせいでは無い。
 今回は、夕食もシズさんが食べて呉れないか。一刻も早く片桐家に行ってみたい。
 そしていつもの様に寝台の用意をして、他の使用人が近付かない様にして欲しい」
「承りました。今回は失敗の無いように心して務めます。」
 彼女も蒼い緊張の面持ちで断言した。冷静で賢明な彼女の事だ。信頼は出来る。
 華子嬢への手紙に「両親が宮城に参る日にそちらの屋敷に忍んで行く」旨を書き添えた。ただ、片桐には内緒にしてもらうように…との事も。
 シズさんに手紙を託し、彼女が出て行ってからも、片桐の事を考え続けた。
 今回は絶対に失敗しては成らない。そう思うと、色々な不測の事態に対応すべく、必死に考えた。マサを筆頭に両親に忠誠を誓う人間の動向を自分も考慮に入れ、シズさんの協力も欠かせない。
 片桐家では、当主代理をしている片桐の部屋には監視は付いていないだろう。父母が抗議の手紙を出すのは宮城での晩餐会以後だ。宮城の晩餐会は他の華族の晩餐会と違って気の遣い方も違う筈だ。翌日はのんびり過ごされるだろう。書くとすれば、晩餐会の翌日では無く、その次の日だろうと思った。
 それまでには、華子嬢や柳原鈴子嬢も何らかの動きをし、どの程度かは未知数だが収穫が上がっているのではないかと予想した。
 早く片桐の顔が見たい。自分の顔を見て、彼に安心を与えたい。切実にそう思った。三條からの手紙、「片桐君と少し話したが、お前の事を話した時だけは少し顔が明るくなった」と書いてあるからには、片桐は自分に失望しているわけではない事に安堵していた。
 一番の恐怖、それは彼の愛を失う事だったからだ。
 彼の瞳に映った自分の顔が切実に見たい。




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素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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