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「がんじがらめの愛」5章-22

 全く味のしない夕食を食べ、日課になってしまったベランダでの考え事をした。今までは屋敷を抜け出す事など考えになかったので、部屋の周囲の監視は有るかなどは考慮の外だった。
 しかし、今は状況が違う。人の気配が有るかどうかを敏感に感じ取ろうとした。学校にも行って居ない今、自由になる時間は充分に有る。今日と明日は夜の自分の部屋付近に近付く者が居ないかどうかを調べるには勿怪の幸いだ。
 部屋の電気を消し、寝た風を装ってベランダに居た。部屋の外にはシズさんに予め注意を払って貰って居る。
 ベランダに佇んで人の気配がしないかどうか注意を払っていたが、幸いにもそのような様子は無かった。これならば屋敷を抜け出したとしても露見はしまい。安堵感に力が抜けた。 
 そうなると、やはり考えてしまうのは片桐の事だ。
 以前、神経が緊張すると寝る事が出来ないと聞いた。今もきっとそうなのだろう。しかも食事もしないと華子嬢は言って居た。
 滋養の有る物を食べさせたいが、問題は方法だ。自分が用意させるのは簡単だが、持ち運びの事を考えると、それも出来ない。シズさんに頼もうかと一瞬思ったが、彼女は台所の女中ではない。彼女が外に出掛ける時は三條や華子嬢への文遣いの時だけだ。その時に買って来て貰うとなると彼女の時間がもっと割かれる。そうなるとマサから目を付けられる可能性が増す恐れが有る。それに何より、彼女には負担を掛けさせられない。
 華子嬢に依頼するのが最上ではないかと判断した。そして、片桐の母が宮城に招待されているかどうかも確かめる必要が有る。
 もう午前三時を回って居たが、机に向かいこっそりと華子嬢へ手紙を書いた。追記として明日シズさんに届けて貰うのが良いだろうと思った。
 以前、片桐は自分が居たら眠る事が出来ると言って居た。ならば自分が食べさせれば食事が進むのではないかとそこはかとないの望みを繋いで居た。
 食事も睡眠も出来ない有様の片桐など見たくは無かった。何とかして彼に平安を取り戻させたいと切実に願って居た。全ては自分が引き起こした事なのだから。
 責任を取りたいのではなく、彼への愛情故にそう思う。
 翌日、掃除に来たシズさんに手紙を託した。華子嬢からの返事が特に待ち遠しい。焦燥感に駆られながらも、仕方なく勉強をしているとシズさんが片桐家と三條家への文使いを終えて屋敷に戻って来た。夕食まで待たねばならないのかと溜息を吐いていると、こっそりと彼女が無言で部屋に入り、袱紗に包んだ手紙を手渡して部屋を出て行った。恐らく仕事が溜まっているのだろう。何しろ屋敷挙げての大騒ぎなのだ。宮城に招かれるというのは。関係のない使用人でも仕事が増えるのだろう。
 封を切るのももどかしく華子嬢からの手紙を読んだ。
――宮城への招待は父の病状の為かどうかは分かりませんが、我が家には御座いません。三條様が誘って下さいましたが、兄の様子の方が気掛かりですのでわたくしは屋敷に居ります。兄も晃彦様がいらっしゃれば食事もするかと考えますので、ご依頼の件承りました。わたくしが屋敷に入れるように取り計らいます。もちろん父母には内緒に致しますわ
 柳原様から御手紙をお預かりしました。同封いたします――
 このような手紙だった。安堵の思いで柳原嬢の手紙を開封した。絢子様と連絡は取れたのだろうか焦燥感にさえなまれながら。



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素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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