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「がんじがらめの愛」5章-24

「貴女達は下がりなさい」
 絢子様のお言葉と扇での優雅な指図で官女が一斉に部屋を出た。絢子様の御殿の応接室に通された刹那の出来事だった。それまでは、丁重な挨拶を交わしただけだった。
 程好い上品さに囲まれた豪華な室内だった。
「お久しぶりですこと。ご機嫌は……御悪いようですわね」
 優雅に扇を弄びながら絢子様は仰った。
「お久しぶりで御座います。単刀直入に申し上げる無礼をお許し下さい」
 扇を口元に当て、紫色の振袖をお召しになった絢子様は、真剣な表情をなさった。
「わたくしにも心当たりが御座いましてよ。御両親に片桐伯爵の子息との関係が露呈した。そうで御座いましょう」
 ご存知でなければこんなに早く面会など叶わなかったに違いない。
「その通りです。しかし、良くご存知でいらっしゃいましたね」
「わたくしにも色々と耳打ちする者も、心痛の余り相談する者もおりましてよ。男子部にも通って居る縁の者が居ります」
 それはそうだろう。元来、学習院は御皇族の為に建てられた学校だ。
 心痛の余り…とは、華子嬢か柳原鈴子嬢に違いない。
「男子部ではそれ程、噂にはなって居ないと思っておりましたが」
「ええ、男子部では貴方が悪性の感冒に罹り長期ご欠席になった、その後片桐さんがお休みという事しか噂にはなっておりませんわ。一部の例外を除いては、ですけど」
 その言葉で理解した。
「三條ですか」
「その通りです。三條さんからもよしなにとのご伝言です」
 彼の事だ。何も言わないで自分の為に手を打ってくれたのだろう。もちろん、未来の兄である片桐のことも心配だったに違いない。
「以前も申し上げました様に、わたくしはあなた方の御味方をしましてよ。わたくしに出来る事は何かしら」
 親身な御言葉とご口調に一瞬息が止まった。
 全てを申し上げようと決意する。
「実は私の両親が片桐家に抗議の手紙を出すと申しておりまして。そうなれば両家の確執からすれば争いは必至なのです。ですからやんごとなき御方に御仲裁賜りたく…」
 絢子様は思慮深そうな瞳をされた。
「その御方とは、皇后陛下の事でございましょうか」
 少し眉を顰めて、扇を閉じて眉間に当てられた。お考えになる時の表情だろう。
 次の御言葉で、自分達の運命が決まる。失礼の無いように形の良い紅色の唇を眺めて、おもむろに申し上げた。「その通りです。御不快も御有りかとは存じますが、絢子様にお願いするしか私には方法が見つかりませんでした」
 御不快には違いない。かつては片桐を見初めた御方なのだから。下賎な言葉で言うと恋敵だった。
 絢子様の次の御言葉で自分達の未来も変わる。掌に汗が滲むのを感じた。



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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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