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がんじがらめの愛7-11

 久しぶりに、俊敏に動く片桐の腕の中に居たい気持ちは有ったが、此処は宮城の中だ。それは出来ないと、ゆっくりと彼の腕を押し戻した。感謝の微笑を込めて微笑みつつだったが。それを察したのか微かに微笑んで片桐も直ぐに支えていた腕を解く。
 その様子を皇后陛下や絢子様、そして片桐夫妻は暖かい目つきで見守って下さって居た。
 しかし、自分の両親の瞳は冷たかった。
 それを目敏く御覧になったのか、絢子様が皇后陛下に促すような視線を送られる。
「そうでしたわ。危うく失念しかけておりましたが、此処にわたくしの書類が有ります。これに署名と捺印…無ければ拇印でも構いませんが…を家長に書いて戴きます」
 そう仰って、一葉の書類を卓の上に広げられた。皆が卓の廻りに集まった。
 拝見して驚いた。皇后陛下の御紋も入った正式な文書だった。勿論、菊の御紋章も入っている。それも、各宮家で使用する菊の御紋章と異なり、天皇陛下しか使う事の出来ない花びらの数だった。宮家では花びらの数が違ったり、花びらを裏返しに使用したりするのが普通である。つまりは、「天皇陛下が内々に許可して居る」というお墨付きの文書だ。
 御家紋を確認して、母は、「まあぁ」と絶句して居る。
 父が拝読して、顔を引き攣らせて居る。片桐夫妻は淡々とされていらっしゃる。
 内容は「加藤家と片桐家は過去の確執を乗り越えて、親戚の様に付き合いをする事を約束する。また嫡子は今まで通りとする」
 おおよそこの様な文面が御家流の筆跡で書かれて居た。

 両家の確執は恐らくは陛下もそれ程深くご存知ではいらっしゃらないだろう。何しろ明治の初め…50年も前の事なのだから。
 跡取りの事で自分が廃嫡の動きが有る事もさり気無く触れていらっしゃるのは…絢子様に三條が申し上げた結果では無いだろうかと推量した。
 三條は自分と片桐の件を全て知っている人間だ。片桐の妹の華子嬢という婚約者も居て、片桐家との縁も深く成った。
 それで絢子様に、廃嫡の恐れありと報告したのに違いない。

 色々考えを巡らしていたので直ぐには反応出来なかったが、片桐伯爵が、覚束ない手つきながら、署名と昔ながらの花押を書き込んでいらっしゃった。
 父は躊躇する素振りは見せていたが、皇后陛下の前で、しかも今上陛下の書類に「承諾」以外の書き込みは許されない世界に生きて居る。
 その躊躇いを目敏く見つけられた皇后陛下は、少し揶揄するように唇を弛められた。
「強制ではありませんよ。お気が進まないのでしたら…」
 そう仰って、紙片を卓の上から取り上げようとなさった。
 皇后陛下、しかも書類は今上陛下の御使用になる紙だ。これを無視すれば、忽ち社交界では噂は駆け巡るだろう。そうなれば、父母は社交界では完全に爪弾きにされる。
 絢子様はそれをお考えになっていらっしゃるのだなと思った。

 母も真っ青な顔をして震えながら父を促す。母もこの書類に署名しなければどういう事態になるのか予想は付いているに違いない。
 父はしぶしぶげに筆を取った。いつもは万年筆を使っている父だったが、片桐伯爵に対抗するように筆を取り、名前と拇印を押した。その手が――恐らくは屈辱の余り――小刻みに震えて居た。
 母もハンケチを破けそうな勢いでもみくちゃにしている。

 絢子様は、素早く自分と片桐に意味有りげな微笑を投げ掛けて下さった。





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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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