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がんじがらめの愛 最終章ー13

「片桐、本当に良いのか」
 急き込んで言った。
 幾ら異国での不自由な生活ではあるが、自分も片桐も1人の部屋で育って来た人間だ。その習慣が変えられるのだろうか。自分には大歓迎ではあったが。
 その口調を片桐は別の意味で取ったに違いない。視線を下に向ける。
「矢張り、1人部屋の方が良いと、あ…加藤は思うのか」
 他人が居る事に気付いたのか名前で呼びかけて居た口調を若干変えて苗字で呼んだ。相変わらず視線は床に落としたままだ。長い睫毛が頬に影を作る。
「いや、片桐が嫌で無ければ、一つの部屋が良いと俺は思って居る」
 強い口調で言い切ると、やっとこちらの方に視線が動いた。その瞳には明るさが戻って居た。
「それでは、一部屋の手配をお願いします」
 そう言って、絢子様が紹介された男に二人で頭を下げた。
 男は書類に何かを書き込んだ後、
「船の手配や荷物の梱包も承って居ります。出国のご準備など、公的な事も代行させて頂きます。御皇族方も良く弊社をお使い下さっておられますので、その点はご心配なさいません様に・・・十全に手配をさせて戴きます。
 ただし、八月末には倫敦ご到着となりますと7月2日に横浜港出港の船しか空いて居りません」
 この言葉に慌てて片桐の方を見ると彼も予想外だと言った表情を浮かべて居る。もう少し余裕が有ると思っていたのだが…現実はこの様なものらしい。
 これでは、送別会どころではないかもしれない…そう思った。
「他に準備すべき事はありますか」
 片桐は、流石に留学に憧れていただけの事は有って呆然とする自分と違い、的確に男に質問している。
「いえ、船の倉庫室に積み込む物と、客室に置かれる物の区別だけして頂ければ、後は当方で致します。一週間以内に準備して頂けますと手前どもは助かります」
「分かりました。荷物と言っても書物と衣類位な物ですから、大丈夫だと思います」
 片桐はそう言ってこちらに視線を当てた。自分は頷くしかない。
「船室はいつも通り、特等客室をお取りさせて頂きます」
「特等は値段が高いと聞いて居ましたが…」
 片桐が遠慮がちに言った。
「私どもの会社では特等しか手配出来ないので御座います。それに畏き辺りからも『そうせよ』と承って居りますもので…はい…お代金の方もそちらから畏れ多くも戴く事に成っております」
 絢子様の事は御名前で御呼び申し上げていた男だ。指示はもっと上、多分皇后陛下から出て居るに違いない。
「そうですか。それでは、宜しくお願い致します」
 片桐がそう言うと、男は「後ほど、社の者が押さえた切符を渡しに参ります」
 出された茶菓に手を付けないまま、深深とお辞儀をして男は帰って行った。
「明彦は一部屋で本当に良いのか」
 片桐が聞いて来た。本当に心細い表情をしている。
「俺は大歓迎だ。お前こそ、何か有ったら眠れなくなるのに・・・、一部屋で良いのか」
 真摯な眼差しで問うと、片桐は頬を僅かに上気させて言った。
「晃彦が居る方が良く眠れる…。それに…」 
 言いさして、下を向いた。
 言いたいことは分かったので、彼の細い顎を掴んで上を向かせると、瞳が潤み、目蓋が紅色をしていた。
 口付けしようとした瞬間、扉が叩かれた。
 慌てて離れると、片桐は早足で扉へ向かった。
「先程の方からの封書で御座います」
 そう言う女中の声がした。片桐は封書を受け取り、銀のペーパーナイフで丁寧に封を切った。中身を見た瞬間、あたかも息をする事も忘れたかのごとく硬直している。






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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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