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がんじがらめの愛 最終章ー19

 「光陰矢の如しだな…」
 準備に追われ使用人に指図して荷造りをしていても、柱時計に目を遣って仕舞う。今日はシズさんの御見合いの日だった。相手の男性が1人で来るという事なので、シズさんも1人で出掛けて行った。片桐が気にして誰か付けようかと云って来たが、彼女が謝絶したのでそういう事に成った。三時の約束だったので今頃は逢えているだろうかと懸念してしまう。三時半だった。変則的な御見合いだったが…先方が忙しい身の上である事、そして古式床しい御見合いには拘泥していない事から、彼女も普段着と大差ないような身なりで出掛けて行った事は承知している。
 シズさんには随分と世話になったので彼女の未来が明るい様になるのを祈らずには居られない。
 随分と彼女の事を気に入って居る様子の先方の態度だったが、実際会ってみて気が変わるかも知れないと少々不安だった。片桐も気にしている様だったが、彼も荷造り等で多忙な筈だった。自分の懸念を彼に云った処で何も変わるわけではないので、シズさんが帰邸するのを待つしか無い。彼女が先方を気に入らなければ、自分が断る積りだった。彼女が縁付く事を望むのなら、出来る限りの助力は惜しまない積りだった。今回のこの話が流れれば、自分も片桐も倫敦へ行ってしまうので協力は物理的に不可能な事は分かって居る。 何とか今回の縁談で決まって欲しい物だと思って居た。
 柱時計が五時を告げるのと同じ時にシズさんが屋敷に戻って来た。確かに彼女は使用人では有るが、それ以上に恩人でも有る。気安く尋ねるのは憚られた。自分の方が年下なので尚更だ。
 ただ、彼女が部屋に入って来た時の表情を見て安堵した。彼女の顔が満足げだった。これは良い感触ではないかと自然に聞いて見る気に成った。
「どうだったのか聞いても構わないだろうか」
 帰邸の挨拶を述べている彼女に声を掛けた。
「はい、わたくしなどには立派過ぎる方だと思いますが…先方様が気に入って下さいましたなら、お話を進めて戴きたく思います。ただ、わたくしで宜しいのかが不安で御座います」
 シズさんが慎ましげに言う。
 先方の返事は片桐の屋敷に入る手筈なので、彼からの連絡が待ち遠しい。先方が断って来ないのを祈るばかりだ。
 若い女中が扉を叩き、「片桐様からお電話で御座います」と知らせて呉れた。自分の事の様に心配に成った。まだ、部屋を下がって無かったシズさんも心配げだ。
「直ぐに行く」
 そう言って電話室に急いだ。
「晃彦、良い知らせだ。先方は是非ともこの話を進めて欲しいと言って来た。ただ、シズさんはどう言っているだろうか」
 彼も心配らしく、語尾に懸念を感じさせる声だった。先方も彼女の事を気に入って呉れた事に肩の荷が下りる様な気分だった。
「シズさんも先方の事が気に入った様だ。なので、この縁は纏まったのと同じだな」
「…そうか。それは良かった。仲人等は先方で手配するから身一つで来て欲しいとの事だった。しかし、そうも言っては居られない。オレも手伝いたいのだが、物理的に無理だ。晃彦もそうだろう…。なので、華子に頼んだ。華子では心許無い気はするが、あれはあれで、三條家への嫁入り支度を母と行って居る。その経験が役に立つだろう。通常だと数ヶ月で嫁入りだが、出来れば加藤家でも援助して呉れればと…」
「勿論だ。ただの使用人に暇を出すのとは訳が違う。然るべき手当ては支払う様に父に直談判する積りだ」
 父と言って仕舞ってから、病床に伏していらっしゃる片桐の父上の事を思い起こす。
「御父上の御容態はその後どうだ」
 ずっと気に掛かって居たが、中々聞けずに居た質問だった。
 片桐は明るい声で言った。
「オレの留学が決まってからは、『オレの留学中は自分がしっかりと片桐家を守って行かねば』と仰って、家長の務めを少しずつだがこなしてらっしゃる。オレは時々補佐をする程度で済むので助かって居る」
 自分は留学の手配だけで忙しいのに、片桐は家の事もして居る事に気付いた、今更だが。
「無理だけはするなよ」
「ああ、別に無理はしていない。晃彦と逢えないのは寂しいが、そういう時は鎖骨の上を見る事にして居る」
 最後の方は呟く様な声だった。
 鎖骨の上、それは自分の付けた情痕だった。一つだけと言うのも物足りなくて、もっと彼の身体中に付けたいのは山々だったが、お互いに如何せん時間が無い。
「次に逢えるのは…矢張り、帝国ホテルか」
 

___________________

    

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現在夏の仕事は一段落着きましたが、年なんで、疲れが溜まってます><成るべく毎日更新したいのですが…リコメも頑張りたいのですが…リアル生活もありますので、ちょっとどうなるか分からない状況です。誠にスミマセンです。



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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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