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がんじがらめの愛 最終章ー20

 暫く沈黙が続いた。彼も算段をして居るのだろう。
「…誠に残念だが、ゆっくり逢えるのはその時だな…。ただ、出来るだけ逢いたいので時間が有れば、屋敷に来て欲しいのだが…」
 吐息交じりの声だった。
「ああ、また忍んで行く。僅かな時間しか取れないのは残念だが」
「何時でも待って居るから…」
 そう言ってから語調が変わる。
「シズさんの件は、先方に伝えて置く。彼女が縁付くのを見る事が出来ないのはとても残念だが、これで殆ど心残りが無くなった。英吉利に行っても心配は無い」
「それはそうと、お前はどの学問を専攻する積りなのだ。夏目先生の様に英吉利文学か」
 電話での長話は忌まれる事だったが、少しでも彼と話して居たいという願望が抑えられない。
「それも考えたのだが…、昨今の世界情勢を考慮に入れれば各地で戦争が起りそうな雰囲気だ。だから国際関係を学ぶ方が半ば国費で留学させて貰って居る以上、有益だと思うのだが、晃彦はどう思う。今は文学に耽溺して居る場合では無いと思うのだが・・・」
 確かに彼の言う通りだった。各国は各々の国益の為に何時戦争が起るかも知れないというのは知識人が盛んに主張して居る。
「お前が、特に文学を特に学びたいと思わないのなら、その方が実効性の有る学問だろうな…俺には向いて居ないが」
「そうか、ならば、矢張りそちらを学ぶ事にする。また、屋敷に来て欲しい。時間があれば…だが」
 そう言って電話が切れた。
 何時もの彼女と違い、部屋で落ち着き無くシズさんに片桐の電話の内容を話すと、彼女の顔が輝いた。
 挙式が何時になるのか分からないが、自分達が帰国する頃には彼女は縁付いてきっと良い医師の妻と成っているに違いない。彼女なら良妻賢母に成るだろう。
 自分の屋敷の家令は高齢過ぎて当てに成らないので、事実上の家令の仕事をして居る心効いた者を呼んで、シズさんの結婚を告げて「くれぐれも加藤家として恥ずかしくない様な支度をする様に」と命令した。この男は次期当主である自分に敬意を払って呉れている人間なので、よもや命令に背く事は有るまい。

 忙しい中片桐の屋敷を訪ね、つかの間の安楽と、彼の唇と鎖骨に情痕を残す事をして居る内に、三條が準備してくれている送別会の日がやって来た。
 失礼の無いように、燕尾服を着用し…これは片桐とも話し合って決めていた…帝国ホテルの玄関を潜る。大谷石の玄関と贅を尽くした散歩道が迎えて呉れた。船便の手荷物だけは自家用車で運んで来たので、それをフロントに預けると、「片桐様からのご伝言です」と手紙を託された。
 それには「もし、定刻以前に到着しているならグリルで待つ」としたためて有ったのでそちらに向かう
 グリルに向かうと片桐の姿は直ぐに探す事が出来た。皆の視線が失礼にならないように彼に集中していたからだ。
 久しぶりに見た、彼の正装姿は禁欲的な雰囲気を放って居る。
 その端整に整えられた正装の下に隠された素肌に、自分の痕跡が残っている事など誰も知らない。その事に優越感を味わった。

 自分に気付くと、愛しげな視線で出迎えて呉れた。
「呼び立ててしまってすまない。ただ、送別会が始まると二人きりの会話が出来なくなるので、来て貰った。晃彦は家族に出港よりも前にホテルに泊る事をどう説明したのか気に成って」
 席に着き、料理を注文した後に片桐が聞いた。
「本当の事は言い辛いので、送別会が三日有る事にした」
「そうか、実はオレもそうだ。家族の者は出港時に見送りに来る事で話は着いた。華子には流石に誤魔化せないので本当の事を話したが」
 仏蘭西料理が運ばれて来た。主賓なので、食べる時間が無いかもしれないという危惧の念からだった。片桐も同じ思いだった様で同じ料理を食べて居る。その食欲は以前とは比べ物にならない程、旺盛だった。
 彼は今、とても精神が安定している事を確認出来たので彼の為に喜びの気持ちが湧く。
 食べ終わると、片桐は時計を見、「そろそろだな」と呟いた。頷いて二階に有る宴会場に移動した。
「加藤君・片桐君の留学を祝う会」と書かれた宴会場に足を運ぶ。
 その麗々しい様子に片桐は恐縮したように肩を竦めた。しかも一番大きな宴会場らしい。これだけの人間が果たして集まるのか、ふと不安に思った。
 そこに目敏く三條がやって来た。
「御二方のお出ましか。専用の控え室が有るのでそこで待機していて欲しい」
 挨拶を済ますと、気になって居た事を聞く。
「こんなに大きな会場に人が集まるのか」
「ああ、鮎川公爵もお出でに成られている。勿論絢子様もな。中は人いきれで暑い位だ」
「そんなに大勢の人がオレ達の為に」
 片桐も唖然とした表情で言った。
「ああ、我が三條家の威光のお陰と言いたいが、そうではない。皆がお前達の留学を寿いで集まってくれて居る。ぜいぜい、お礼を言うべきだな」
 先に食事を済ませて居て正解だったと思った。
 室内には名簿以上の人々が集まって居る様だった。
「会の進行などは任せてくれ。控え室はあちらだ」
 そう言い置いて指で指し示すと。慌しそうに立ち去った。




___________________

    

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 現在夏の仕事は一段落着きましたが、年なんで、疲れが溜まってます><成るべく毎日更新したいのですが…リコメも頑張りたいのですが…リアル生活もありますので、ちょっとどうなるか分からない状況です。誠にスミマセンです。

 私の尊敬する作家さん(BL作家さんでは無いのですが)その方達が口を揃えて仰るのは「パソコンで文章を書くと長くなるし、手書きが一番」との事ですが、私もすでにヤバいです><
 一章を24話で揃えようとしていたのですが、、、、「送別会」「二人だけの夜」をあと4話で書くのは無理です(TT)「蜜月編」だけで「二人だけの夜」をパスするか、それとも「二人だけの夜」はおまけで入れるか考え中です。
 
 ご意見・ご要望が有りましたら、いつものように(苦笑)内緒コメでお願い致します(
ペコリ)




この話(随分長くなりました…)は下記リンクから始まっています。暇で仕方の無い時にでも読んで下されば嬉しいです!!






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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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