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がんじがらめの愛 蜜月編ー14

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「次は三等デッキだから…煙草を買って来る。そこでゆっくりと考えていてはどうだ」
 笑みを含んだ声でそう言い、歩いて行く片桐のベルトを締めた細い腰を見ていた。
――天狗と「おかめ」や「ひょっとこ」のお面との違い…。敢えて言えば天狗は真っ赤で他は淡い色で彩色されている。それと天狗には長い鼻が有るが、他のお面には無い。他にも色々考えていたが、思い浮かばない。
 しかし、正解を告げれば望みが叶う。今の希望――交情の後に自分の愛情の証を彼の内部に指で清めたい――は切実な願望だ。何とかして考えなければ。
 片桐が戻って来るまで立って脳裏を掠める解答を探していた。彼は見た事も無い煙草の箱を三つ持って居た。
「先ほどのとは違う銘柄なのだな」
「ああ、これは三番目に安い物なのだ。三等の客は多分一番安い煙草を吸っているに違いないから…」
 三等の客の事を考えたのだろう、彼の顔が僅かに曇る。
「二等デッキの客に気付かれない様に三等デッキに下りよう」
 片桐の腕を掴んで歩き出した。頭の半分は「お面の謎」を考えて居たが。
 誰にも見咎められずに三等のデッキに降り立つ事が出来た。三等のデッキには日本人ばかりではないかと思う程だった。
「二等と違って、殆ど皆、和服だな」
「そうだな…着物を着ていない人も、どこかの古着店で買って来たのだろう。身丈の合わない洋装だし、ズボンを穿いていても下駄だ」
 心のどこかが痛そうに片桐が言った。
 着物にしても、自分達とは縁が無い膝丈で切って有る実用的なものだった。酷い人は下着姿のままだ。
「つまりは、履物まで手が回らなかったという事か。しかし草履ではなく何故下駄を」
「下駄の方が長持ちすると聞いて居る」
 成る程と思った。二等デッキでは、曲がりなりにも皆ベンチに座っていたが、こちらでは、ベンチに寝そべって居る人も多い。
 その1人に片桐が近付いて声を掛けた。
「大丈夫ですか」
「病気じゃねぇんだ、多分、船酔いとかってやつだろう。船室でも、吐いたりしているやつが多いんだ。船室は空気が悪いからここに逃げて来た」
 まだ日本の領海内なので、波は高く無い。それなのに船酔いで苦しむ人が多数居るという。三等が個室であるわけは無い。吐瀉物の臭いは船酔いを誘発する。それでこの人はここに居るのだろうと思った。
「船酔いは、無理に立つと余計悪化します。出来ればベンチに横になったまま目を閉じて何も考えずに船の揺れに任せた方が良いですよ」
「おお、兄ちゃん、ありがとな」
 片桐に礼を言った男は素直に目を閉じた。
「色々物知りだな」
 心底感心して耳元で囁くと、少しこちらへ顔を向け、はにかんだ様に微笑した。
「外国へ行きたくて色々な本を読んでいたからだ」
「そうか…。それはそうとお前の謎を是非解きたいのだが、ヒントは有るか」
 少し考えてから片桐は言った。
「オレの答えは正解ではないかも知れないが…それでも良いのか」
「お前の答えが俺の正解だ」
 断言すると、彼は嬉しそうに唇を弛めた。
「お面の形だと思う。鬼には有って、他には無い物を探せば良い。それに英吉利人は日本人と全く違う使い方をするために買っていると思う。だから沢山売れた」
「鼻か…」
「そうだ。しかしヒントはここまでだ」
 悪戯な微笑を浮かべた彼はそう言って、ベンチで煙草を吸って居る男に近付いて行った。彼は暫く話しかけて居たが、また戻って来た。
「晃彦、言葉が通じない。晃彦の分かる言葉か」
 片桐が困った顔をして居る。彼の言う言葉は外国語ではない筈だ。お互い英語しか話せないのだから。
「方言か」
「ああ」
 自分の家の旧領国と彼の家のとではかなり離れて居た。二人とも帝都育ちだが、旧家臣の前ではお国言葉で話すので忘れては居ない。
 片桐と一緒にベンチへ行き、国訛りで話しかけた。すると、男は嬉しそうに答え始めた。片桐の関心が何処にあるのかも分かっているので、質問を続ける。煙草が切れたら片桐から一箱貰い、一本を勧めながら話をした。正しくは自分の故郷の言葉では無かったが地域的に似ているのだろう、話は出来た。
 片桐に説明した。
 曰く、英吉利に渡ろうとしているのは、日本人の手先の器用さを見込まれた為で大量生産をしている工場でも人間の手作業が必要だ。始めは英吉利人に任せたがどうも上手く行かないので試しに日本人にさせたところとても上手だった。だから、「専門職」として雇う条件で英吉利に行かせる様に英吉利の会社が手先の器用な人間を集めて向こうで働かせるとの事だ。中には家族を連れて海を渡る人も大勢居る。
 おおよそがこんな内容だった。
 片桐は頷きながら聞いて居た。そして自分に感謝の笑みを浮かべると、説明した男性に煙草の箱を失礼にならない様に差し出している。
 気が付くと、そろそろ夕食の時間だった。
「戻るか…」
 そう水を向けて見ると彼は素直に頷いた。何か考えているらしかったが、敢えて話し掛ける様な事はせず、片桐の出した謎を考えて居た。三等は通路も狭いのでお互いの身体が触れ合う事が多い。片桐の体温が身近にに有る。そんな事にすら幸せを感じる。
 三等のデッキのカギを開けて、二等に移る。二人とも考える事は違って居たと思うが、それぞれの物思いに沈んで居たが、二等のデッキを歩いていると、異変に気付いた。
「片桐、その女の子は何だ」
「えっ」
 片桐が振り向くと、膝下まで有る子供用の着物を着た5歳位の中々可愛い女の子が片桐の後を嬉しそうに付いて来ていた。
「迷子だろうか…しかし、夕食の時間が迫っている…。このまま特等に戻って、船員に親御さんを探して貰おう」
「兎に角、船員に知らせなければ」
 片桐は言ったが生憎近くに船員は居らず、仕方なく特等のデッキに戻った。特等には船員が沢山働いている。勿論女中も。彼らに事情を話し、可及的速やかに親御さんに戻さなければと思うのだが、女の子は片桐が差し出す手を嬉しそうに握っている。
 少し、ほんの少しだけだが、人前で手を繋ぐ女の子を見て羨ましく思った。




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まだ、引っ張っている「天狗のお面」ですが、管理人の不徳の致すところか、、思わず笑ってしまった「恒例」内緒コメ。。「天狗の鼻」がヒントと今日書きましたが、これを良からぬ←(苦笑)コトに使う…という書き込みでした。管理人が腐っていると、健全な方にも悪影響が(笑)
その内、解答は明かします。ただ、加藤君に解かせて、片桐君を思いのままにするか、それとも解けなくて片桐君に説明させようかと悩み中です。

これで「蜜月編」の登場人物は揃いました。
楽しんで戴ければとっても嬉しいですし、ブログ村ランキングをクリックして下さった方、本当に有り難うございます!!

リコメ…本当に申し訳ありません!!新しい読者様もいらしたというのに、ご挨拶が出来なくて心苦しいです。




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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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