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「がんじがらめの愛」第三章-5

 名残惜しげに唇が離される。間近に彼の瞳を見た。その瞳は深い湖の様に謎めいて居た。熱情と諦念が混ざり合った眼差し。あえて表現するならば、その様な感じだった。その瞳に隠された感情は切なさを呼び起こす。自分だけが許されている彼の内臓に分け入って隙間無く感じれば、この切なさなど、少しは和らぐのだろうか…とも思ったが、親友の三條の屋敷とはいえ他人の屋敷でその様な事が出来よう筈も無い。
「知れば知る程、尚知りたくなる。精神的にも、肉体的にも。そして、お前と一緒に居る時間を増やしたいと切実に思う」
 そっと囁くと、自分には吸引力の有る瞳が、数回の瞬きをした。
「オレだって晃彦に逢いたい。しかし、遭う機会が増えれば増える程露見の危険は高くなってしまう」
 大きな瞳が恥ずかしそうに伏せられた。
「オレだって、毎日逢いたいし、話したい。そして…晃彦を感じたいと、そう思って居る」
「屋敷しか、使えないな。お前を感じるのは。ただ、逢って話すだけなら…学校は無理だが、どこか逢引の場所を探そうか」
「そうだな…それが良い。神田のニコライ堂などはどうだろうか」
 暫く考えて嬉しそうに微笑しながら言った。自分達の学校の生徒は殆どが華族階級であり、キリスト教信者は居ない。華族階級も殆どが教会を忌み嫌って居る。その様な場所に近づく事は有り得ないだろう。
「いい考えだ。屋敷に父母がいらっしゃらない時はそこで逢おう。出来れば毎日」
 流石に片桐は行動範囲が広いだけ有り、考える事も幅広かった。彼の想いの深さを知り、改めて恋情が深くなった。
 自分も、片桐の様な考えや行動を見習わなければ成らない。そう思ったのは勿論だが、かつての華子嬢の言葉を思い出す。
 <1人で抱え込む傾向が有る>
 その言葉を脳裏に思い描きながら、彼を守りたい。そう切に思った。彼が悲しむ事や悩み事を聞いて自分も一緒に考えたいと思った。
 勿論欲情は有る。しかし、彼の肉体に惚れたわけではなく、彼の全てに恋情を抱いた。
 欲情の発露は、屋敷内で人目を気にして行うべきだ。それはともかく、彼の存在を身近に感じるのもまた尽きない喜びだった。人目を気にせずに逢瀬が出来るのなら、それだけで満足しなければ成らない。どちらかの両親にこの恋が露見すれば、引き離されるのは必至だったからだ。
 それまでに片桐の性格をもっと知って置きたかった。
 人目を気にしながらも、手を繋いだまま接吻し、中庭を後にした。現実に引き戻される様な、心が軋む様な気がした。

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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