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「がんじがらめの愛」第三章-4

 絢子様が静々と立ち去って行かれた。その優雅な背中を見送っていると、遠くから招待客の笑いさざめく声と楽師達の奏でる音楽が聞こえて来る。握ったままの片桐の掌が冷たい汗に濡れていた。そして小刻みに震えて居るのが分かった。恐怖か興奮かは分からないが彼も動揺していたのが分かる。震えを止める為に強く握った。
「済まない事をした。いくら様子が分かっている三條の屋敷だからといって、人目も気にせずに居た事は不用意だった」
「いや、謝るには及ばない。オレも華子の為と言いながらも晃彦に遭いたくて三條君の招待に応じたのだから」
 彼の顔には涙の雫が残っている。改めて周囲に誰も居ない事を慎重に確かめて、唇で恭しく拭った。
「絢子様には申し訳無いことをしてしまった。ただ晃彦と逢いたかっただけなのに」
 片桐が手を握ったままで言う。内心は複雑だったが、彼の気持ちを確かめるように言った。
「絢子様にはお気の毒だが…。俺にはお前の言葉の方が嬉しかった」
「オレは真実を述べたまでだ。絢子様は気高く自尊心の強いお方だ。約束されたからには守って下さるだろう。・・・しかし、この様な関係は長くは続かない。その事は重々承知して居る。もし絢子様では無く、晃彦の母上がいらっしゃったら大変な事になっただろう」
 握った手の力が強くなった。彼の心情を吐露するかの様に。
「先程、お前は『自分は迷惑に成らない様に身を処する』と言っていた。あれはどういう積もりだ」
 僅かな表情の変化も逃さない様に凝視しながら聞いた。
「具体的には考えたく無い問題だから、先送りにして居た。しかし、もしそういう事態に成ったら、オレはお前に迷惑を掛けない積もりで居ることだけは事実だ」
 決意を秘めた強い瞳が雄弁に心情を物語って居る。自分の非力さが情けなかった。
「お前だけに負担を掛けさせたくは無い。これは二人の問題だ。しかも、俺の方がお前に惚れた。罪と言うのならば、俺の方に非が有る。もし露見したら俺が責任を取る積もりで居る」
 上手くは表現出来なかったが、正直な気持ちだった。彼の強張った顔が少しだけ緩む。
「取り敢えずは発覚して仕舞わない様にするしか無いだろうな。オレの家も晃彦の家も反目し合って居るのは事実なのだから」
「忌忌しいがその通りだ。だからお前と居る一瞬一瞬が尊く思える。いつもそう想っていた」
「オレだってそうだ。ただ、この関係は長くは続かないと覚悟は決めて居る積もりだ」
 静かに言う彼の姿が切愛しくて切ない、息が詰るほどに。
「…俺は長く続かせたいと思って居る。出来れば永遠に」
「オレもそう祈っては、居る」
 周囲を窺って彼は言うと淡く微笑んで唇を寄せて来た。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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