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「がんじがらめの愛」第三章-3

 御言葉が出る前に、思い付いて抱擁を解いた。しかし、片桐は自分の手を握ったまま、離さない。
 遠くから聞こえる筈の音楽や、招待客の声などは全く耳には入らなかった。
 ただ、やんごとなき血筋に相応しい薄く形の良い紅色の唇が動くのを待っていた。
「つまりは、御二人は相思相愛という事でございましょうか」
 悲しげな眼をなさって、絢子様は仰せになる。
 <そうです。と言ってしまえば、最悪の場合、加藤の家に知らされてしまう。そして引き離され、片桐は絢子様と婚約するかも知れない…>
 その恐怖に、躊躇していると、片桐が硬い表情で断言した。
「その通りです。加藤君は私の唯一の存在です」
 片桐の手を繋いだまま、晃彦は片桐を庇うように一歩前に出た。
「私も片桐君が最愛の人間だと思って居ります。絢子様。しかし、私の熱意に彼は引き摺られているだけだと愚考しています。責任は私に有ります。」
 紅色の唇が少し緩められた。
「加藤家と片桐家の確執は風の噂で存じて居りますわ。それでも、御二人は睦まじくなさっていらっしゃるのですか」
 流石に自由恋愛に憧れていらっしゃる宮様だけ有り、社交界の事にはお詳しい御様子だった。普通は内親王殿下に醜聞を耳打ちする方は居ない。
 絢子様の微笑が少し深まったが、複雑な顔をなさって居る。
 その微笑は慈しみのようだった。そこに活路を見出すしか無い。
「最初は、確かに片桐君に感じていたのは憎悪です。しかし、彼を知る内に想いは深まるばかりでした。家の問題よりも、彼の存在の方が私に取って大切になりました。
 そして、彼に自分の正直な気持ちを伝えたのです。片桐君はそれに応えただけですので、どうか彼に責めは負わせないで下さいませんか」
 懇願口調で申し上げた。
「家の問題は、重々分かっています。そしてこの恋情が他の方に漏れたら私はともかく、加藤君は窮地に立たされる…それは分かって居ました。しかし、それでもこの想いは捨てる事が出来なかったのです。
 この恋情は私にとって一生に一度の物だと、そう思っています。漏れたら、加藤君の迷惑になる…そうなった場合は、出来るだけ彼に迷惑が掛からないように身を処する積もりです。漏れるまで時間は限定されると予想しています。それまでは、加藤君と一緒に居たいと思っております。
 何時別離が来ても良い様に心の準備だけはしています。しかし、出来るだけ長く彼と一緒に居たいと思う事は罪でしょうか」
 一言一言自分の想いを確かめる様に片桐が言った。彼の顔を覗き込んで、驚愕した。普通に話していたにも関わらず、彼の大きな瞳からは涙が一筋流れて居た。
 絢子様は優雅に吐息をなさり、扇で顔を隠された。
「御二人共、そこまでの御覚悟でいらっしゃったのですね。わたくしは片桐様の事はとても気に入って居りましたが、その様な御顔をなされるとは、予想外でしたわ。御二人で御幸せに。わたくしの想いなどは、御二人には到底敵いませんもの。勿論軽蔑も致しませんし、罪などとも思いませんわ。…口外も致しません。そして、わたくしは御二人の恋の御味方を致しますわ。わたくしで出来る事が御座いましたら、遠慮なく仰って下さいませね。では、ごめん遊ばせ」
 悄然とした足取りで絢子様は庭園から離れて御行きになった。最後に寂しげで潔い微笑を二人に投げ掛けたのが印象的だった。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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