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「がんじがらめの愛」第三章-1

 三條邸の園遊会当日が来た。親友として三條の屋敷は散々訪れているが、やはり園遊会ともなると、飾りも食事も、そして、音楽も違う。今上陛下に縁の有る宮様方も招待していると聞いていたので、三條家でもかつてないほど賑やかでは有るが、厳重な警戒振りだった。三條家の一番見事な大庭園が今回の上席のようだった。
 三條の親友として、また、自分の両親が三條の御両親と親しい事もあって、上席が用意されていた。家族総出で早めに行った。それが三條家の意向だったからだ。
 モオツアルトの曲が流れている。演奏している人間は音楽留学から帰国した者や外国人だったが、客からは見えない様に巧みに隠されていると、三條からは聞いて居た。
「片桐君は、そろそろ到着しても良い頃だな」
 そっと、三條が言った。勿論、父母には聞こえない音量だった。
「そうだな。一般のゲストはこの時間が適当だろう。彼は約束を違えるような人間では無い。もう直ぐ来る筈だと思うが…」
 その時、玄関の方からざわめきが波のように押し寄せて来た。
 <もしかして…>
 思った直感は正しかった。いつものように微笑の形を作った表情の片桐が燕尾服を着て姿を現した。華子嬢がその後ろに居た。社交には出た事が無いと彼女が以前言っていたように、ドレス姿ではなく振袖だった。しかし、この園遊会はドレス姿の令嬢が多く、逆に華子嬢の姿は目立っていた。先ほどのどよめきも、華子嬢の日本人形の様な容姿と…そして、片桐の燕尾服姿だったのかも知れないと思った。
 兄に続いて華子が三條夫妻に招待の礼を述べている。三條は、片桐に笑い掛けた。
「僕の招待を受けてくれて嬉しく思うよ。妹君を紹介してくれないか」
 片桐が華子嬢に耳打ちすると、彼女は恥ずかしそうに頬を染めて三條に挨拶した。彼もいつも以上の快活さで挨拶を返している。その後三條は満足そうにそっと耳打ちをする。
「お前の言った通りだな。とても可憐な令嬢ではないか。しかも、あの初々しさ。片桐君と似てはいるが、それ以上だと僕は思う」
「いや、俺には片桐の方がずっと魅力的に思える」
 真面目に返すと、三條は面白そうに笑った。
 自分の両親の様子を窺うと、片桐には冷酷な眼を向けていたが、華子嬢にはそれほどでも無かった。矢張り片桐家嫡男の彼には風当たりが厳しいのだろう。
 そこへ、絢子様の到着が告げられた。彼女がこの園遊会の主賓だとは聞いていた。
 皆がこの気さくな内親王殿下には好意を持っているようでたちまち人だかりが出来た。しかし、彼女も主催者である三條夫妻の元に近付いて来られた。そして近くにお座りになる。絢子様も振袖姿でいらっしゃった。
 気が付くと、彼女は華子嬢に話し掛けになっている。扇で口元を隠すようにしていらっしゃるので何を仰っているのかは分からない。片桐の方へも時折笑顔を御向けになられる。それを畏れ多い事だが不快に思ってしまった。
「片桐君は僕の学友ですから、離れた場所で話しても宜しいですか」
 三條が見計らったように言った。
 両親の許可を取ると三條は、片桐と自分そして華子嬢まで連れ出して、裏庭に向かった。
「僕は華子嬢と特に話しがしたい…。片桐君、君とは、学校でも話す機会があるからね。加藤、僕の屋敷はよく知っているのだから、片桐君を連れて邪魔者は退散してくれないか」
 戯れのような、本気のような不思議な言葉だった。華子嬢の表情を確かめると頬を紅く染めている。片桐も笑顔で居た。問題は無いだろうと、片桐だけを伴って昔良く遊んだ中庭の奥に行った。片桐も後に続いて来る。そこは誰も来ないであろう場所だった。丁度人目から隠れている。
 <彼の燕尾服姿は、絶品だ>
 そう思うと辺りの様子を見回し人気の無いのを確認してから、彼の身体を抱き締め唇を奪った。彼も背中に腕を回して来た。腕の力が強くなる。接吻に夢中になっていると、不意に仏蘭西香水の仄かな香りと衣擦れの音がした。

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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