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「がんじがらめの愛」第二章-24

 教室に戻ると、何故か先に部屋に戻っていた三條が屈託の無い顔をして片桐の席に近付いている。一瞬、片桐の視線がこちらへ向けられたが、その後は三條と話し込んでいた。他の級友達と話しながら様子を窺っていたが、片桐の顔にも微笑が浮かんでいた。いつもと変わらない様子だった。
 華子嬢に報いる為に半ば強引に三條邸での園遊会に招待して、片桐が不快な思いをしないだろうかと懸念したが、彼の正装姿をもう一度見たいという気持ちも有った。片桐の気持ちに任せようと思う。
 華子嬢は公の社交場に姿を現さないので、彼女自身は気付いて居ないだろうが彼女自身は片桐と同じく魅力的な存在だ。きっと彼女に目を留める人間も多数居るだろう。その様な場所に連れ出す事で彼女の世界が広がって呉れれば良い、そう思った。しかし、それを片桐が望んでいないのなら、それはそれで彼に任せようと思った。
 授業が終わる度に三條は片桐の席に英語の教本を持って行き、何かをしきりに質問している。自分も近付きたかったが、学校では話さない方が片桐の為だろうと思い、我慢をした。今までの忍ぶ恋情に比べるとこの程度の忍耐は容易い。
 片桐邸に行く約束は生きている。その時までの我慢だと思っていた。自分達の家の事情を知っている者も多い。学校でも屋敷でも軽率な行動は慎まなければ…どこで漏れるか分からない。
 意外と狭い社会に生きて来た自分達の恋は、真実信頼出来る相手しか知られてはならなかった。その意味では、三條と華子嬢だけに留めておく方が賢明だと判断した。多分、片桐もそう思っているのだろうと理解はしていた。両親に露見する事が有ってはならない。そうなれば、この恋は破滅する。それが一番の恐怖だった、全身の血液が冷たくなる程の。
 放課後、片桐は待ち兼ねたように教室を出て行った。三條が話しかけて来た。
「屋敷への招待は、華子様の意向を確かめてから返事をすると、彼は言って居た。彼の御両親が屋敷に居ない事も知った。僕は行かないけれど、お前は行くのだろう」
 意味深に笑った。
「ああ。その積もりだ。お前こそ、英語を習うのでは無かったのか」
「ああ、習う積もりだ。しかし、御両親が留守で無くても僕なら彼の屋敷に行っても何も問題は無い。ああ、そうか、お前は片桐家では三條の名前で通っているのだろう。
 僕が行くとややこしくなるから…片桐君に来て貰う事にする。別に我が家では片桐家の人間が来たからと言って何の問題もないからな。」
 その言葉に、自分が加藤家の嫡男として生まれた事を後悔していた。自分が三條家に生まれていたならばこの様な煩悶は生まれて来ない。両親の事を大切には思っているが、今一番大切なのは…片桐の事だった。
「ああ、大切な事をお前に伝えるのを忘れて居た。三條家は今上陛下と姻戚関係に有る。そのせいで、絢子様も園遊会には招待申し上げている。もうそれは忽せには出来ない事項だ。その事は含んで置いてくれ」
「……ああ」
 矢張り絢子様が片桐に御懸想遊ばされて居るのであれば、自分は我慢出来るのだろうか…。そう自問自答する。片桐の気持ちは昨日聞いたが、絢子様の御気持ちは分からない。 
 今上陛下の御意向ともなれば片桐家も拒む事は許されない。それも気掛かりだった。居ても立っても居られなくなった。三條との話しを打ち切って、学校を後にする。片桐の屋敷に行く積もりだった。
 昨夜は無理をさせてしまったので、彼の体調も気に掛かる。
 屋敷に着くと、華子嬢が直々に迎えてくれた。彼女とは話をしたかったが、それ以上にも片桐の顔が見たい、話をしたい、そう思って彼の部屋に向かった。使用人達は居たが、華子嬢が片桐の部屋まで案内してくれた。
 扉の前で声を掛けていると、華子が耳元で囁く。
「わたくしが使用人を近づけませんので、お茶はお出し出来ませんが許して下さいませ」
 そう微笑んで去って行った。
 片桐の部屋に入ると、彼はとても嬉しそうな顔をしている。その笑顔に魅入られて接吻をした。彼も素直に身を任して来る。
「昨夜は無理をさせて済まない。傷の具合はどうだ」
 真剣な声で囁く。
「もう、大丈夫だ」
 明るく微笑んで言った。しかし、彼の強情さは良く知っている。額面通り受け取る事は出来ない。それに、昨日の片桐の怪我が一日で治るものではない位、素人でも分かる。
「俺が原因の怪我だ。確かめたい。其れに他の人間には見せられない場所だろう」
 片桐の顔が羞恥に染まった。暫く躊躇していたが、ほとんど聞き取れない声で囁いた。
「確かめて…欲しい」
 手を握ったまま、彼の寝室に入った。寝台の横のナイトテエブルには、昨日塗布した薬がポツンと置かれていた。片桐が自分で、制服のベルトを引き抜く。その手をそっと押さえて、強く抱き締めた後、彼の下半身を露わにした。彼は頬を染めたまま、されるがままになっていた。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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