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「がんじがらめの愛」第二章-21

 食後の珈琲が出された。マナァではこれを機会に帰宅しなくてはならない。別れを惜しむ気持ちが残り時間と共に増してきた。何かを考えている風情で片桐が静かに口を開く。
「晃彦、幾何の宿題で分からない所がある。食後に教えてくれないか。晃彦の答えとオレの答えが合っているかを確かめたい」
「まあ、晃彦様も明晰でいらっしゃるのね。わたくしなど、学業は苦手ですもの。せいぜいが御本を読むのが楽しいくらいですわ。早くお兄様に教えてあげて遊ばして」
 そう言って退出を促してくれた。
 彼女は、夕食の最中も口数の少ない片桐に代わってゲストである自分をもてなしてくれた。付いて来ようとする使用人は居たが、華子は「わたくしの用があります。皆、残りなさい」と言ってくれた。
 片桐の部屋に入った。片桐は辺りに人気が無い事を慎重に確かめて扉を閉める。
 彼の部屋の様子を眺めていた。先程入った時は見る余裕など無かった。片桐の存在に魅了されていた為に。
 彼らしく落ち着いて几帳面な雰囲気のする部屋だった。装飾画も掛かっていない。本棚には英語の本が目立つ。
「座らないか」
 そう言って西洋椅子を指差した。片桐も卓を挟んで座った。
「大丈夫なのか。オレや華子を加藤家の園遊会に招待出来るわけがないだろう」
「ああ、俺の家では確かに無理だ。だが、三條家の園遊会なら招待出来ると思う。三條には後で頼んでおく。華子嬢もその積もりで話されていたと思う」
 安堵したような溜息が漏れた。
「そういう事か。聞いていて動悸がした。だが、また三條君に借りが出来る…な」
「…実は、もう一つ借りを作った。今、俺は三條の屋敷でレポォトの手伝いをしている事になっている」
 今度は深刻な溜息が漏れた。
「三條君には迷惑を掛け続けているのだな」
「三條は気にしないと思うが」
「それは、親友の晃彦だからだろう。オレはただの級友の1人に過ぎない」
 彼の顔の整った顔が困惑の表情を浮かべる。身体で愛を確かめ合った後だからだろうか。その表情も舶来の砂糖菓子の甘さを感じてしまう。
「三條もお前の事を気に入っている。親しくなれば良い。そうだ…彼は英語が苦手だ。教えてやれば良い」
「その位の事で借りは返せるのだろうか」
 深刻そうな口調だった。
「ああ、そういう男だ。お前も気にするな」
 笑いかけると、唇に手を当てて、「そう…だな」と言った。
 その動作に誘われて、テェブル越しに身体を乗り出し、口付けをした。彼も目を閉じた。指が絡む。
「名残りは尽きないが、そろそろ、屋敷に戻らなくてはならない」
 唇を少し離してそう言った。
「そうだな…。オレもお前と居たいが…そうも言ってはられない。あと六日間は両親が屋敷にいらっしゃらないから」
「ああ、では、出来るだけ訪ねて来る事にする。夕食までに屋敷に戻れば問題は無い」
 握り締めた手の力が強くなり、唇が重なった。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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