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「がんじがらめの愛」第二章-19

 取り合えず、服を着ようと思って、握っていた手を離した。両手は粘着質の分泌液ですっかり濡れそぼっている事に今更ながら気付いた。左手の方はまだましだったが。
「浴室は、どの扉だ」
 彼の目が自分に向けられる。晃彦の掌の様子を見て頬を赤らめる。その表情が今までよりも甘いやかに変化していることに気づいて笑みを深くする。彼は案内をしようとして、身体を起こした。その瞬間、辛そうに眉間に皺を寄せた。
「矢張り酷くした…のだな。お前が辛くないようにとは心がけていたのだが」
「これくらい、大丈夫だ」
 片桐の強情さは良く分かっていた。強い力で、しかし片桐の傷を悪化させないように配慮しながらうつ伏せにさせた。
 そっと、自分を受け入れていた場所を開く。少し出血がある。
 眉を顰め、慎重な動きで中指をそっと入れた。
「痛い所に当ったら、言うのだぞ」
 片桐は枕に顔を埋めていた。流石に恥ずかしいのだろう。
「多分、そこだと」
 枕越しに告げた。指の第一関節よりも先だった。これなら薬を塗布する事が出来そうだった。そう思い指を抜き出すと、片桐の血液と共に自分の欲情の証が付いていた。白と赤…祝儀や結婚式で用いられる色だ。片桐も枕から顔を離してこちらを見ている。
「紅白か…目出度い時の象徴だな」
 彼はそう言って、ゆっくりと身を起こした。自分の方に指を引き寄せ、半分ほど舐めた。その様子を見て同じようにした。
 二人の視線が優しく愛おしげに絡み合う。衝動的に唇を重ねた、一瞬の間だったが。
 寝台の下の方ですっかり皺だらけになってしまったバスタオルで手を拭って、浴室の扉はどれかを聞いた。顔の向きで片桐は教えてくれた。手を洗い、汚れた部分だけをざっと流すと、制服を着て寝台に戻る。
「この部屋には薬箱は…ないだろうな」
 屋敷に住んでいる者はそのような物まで部屋には置いてない。使用人に持って来させるのが常識だ。
「有る」
 その言葉に驚いたが、片桐は以前老人を助けるためとはいえ喧嘩までした男だ。喧嘩をすると怪我を負いやすくなる。片桐の部屋に薬箱があるのはそのような理由だろう。どこに有るかを口で説明して貰い、切り傷に効く薬を塗布し、痛み止めを飲ませた。部屋には当然、水差しと共にグラスが置かれていたが、グラスを使わず、口移しで水を飲ませた。 少しでも片桐に触れていたい一心だった。
「30分程、休め。俺が起こしてやる。食事の時間、制服でも構わないのか」
「ああ、両親がいらっしゃらないから、オレもそうすれば問題ない。シャツを貸してやれずに済まない」
 確かにサイズは違う。片桐の制服のシャツは自分には小さい筈だった。
「いや、別にシャツは汚れていない筈だから構わない。それよりもお前は少し休め」
 そう言って、目蓋に唇を落とした。
 疲れていたのだろう、すぐに寝息が微かに聞こえてきた。起こさないように、そっと彼の身体を拭き、タオルを剥ぎ取って浴室で洗った。
 洗濯など初めてのことだったが、片桐のことをしているのだと思うと全く苦にはならなかった。それから三條の家に電話するためにはどうすればいいのだろうと思った。父母も心配しているだろう。部屋を静かに出て廊下を歩く。自分の屋敷と比べて幾分小さめとはいえ、同じような建築様式だった。これなら電話室の在り処も分かりそうだった。見当を付けて歩いていると、電話室が有った。
 三條に電話をし、そちらに行っていることにしてくれと頼んだ。彼は微笑を含んだ声で了承してくれた。屋敷に電話をした。母を呼び出して貰う。
「実は、三條君が明日提出のレポォトがどうしても間に合わないと言うもので…ですから、帰りは遅くなります。ええ、何時になるかはレポォト次第です。食事は三條君の屋敷で済ませますから」
 母は疑いもせず、「三條様には宜しく仰って」とだけ言って電話を切った。
 丁度30分後、片桐は自分で目覚めた。彼の書斎に移動する。薬が効いたのか彼はさっきよりは明るい顔をしていた。片桐が制服を纏うのを手伝っていると、扉の向こうで華子嬢の声がした。すっかり身支度は出来ている。
「お食事の時間が参りましたわ。お迎えに参りました」
 食事用のワンピィスを着た華子は優雅に微笑んだ。自分に向かって。



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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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