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「気分は、下克上。」第六章-23


    

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 教授室を、後ろ髪を引かれながら辞して白衣に着替えるためにロッカーに行く。教授回診まであと僅かだ。この医局に属する医師や看護士は殆ど全て同行しなければならないのでロッカールームには人の気配がしない。皆準備を終えているのだろう。大急ぎで白衣を羽織り、回診が開始される3階のエレベーターホールに階段を使って上がった。
 黒木准教授を筆頭に順序良く教授がエレベーターから降りてくるのを待っている。
 その一番後ろ、看護士の前で待機する。プライベートはともかく祐樹は研修医、この中では下手をすれば看護主任や看護士長よりも実権は下だ。それでも医師なので医師のグループの末席に位置することは出来る。祐樹は今のところ、受け持ち患者が居ないので気楽なものだが、他の医師は自分の受け持ち患者のカルテを見て教授につつがなく返答出来るように最後の予習に余念がない。
 前の方に長岡先生の姿が見える。その隣に畑仲医局長や山本センセも居るが、長岡先生とはガラスでも貼られているように言葉を交わさない。
――それも大人気ない態度だな…――
 そう思う。表向きは外科医だが、実際は香川教授直属の内科医でしかも教授に対する忠誠心は筋金入りだということは彼らにも分かっているのだろう。
 その時、エレベーターの扉が開き、香川教授が端整な姿を現した。計ったように澄んだ女性の声でアナウンスが流れる。
「香川教授の総回診です」
 人波が割れて、教授を通す。一番先を颯爽と歩く彼には昨日の容態が嘘のようだ。
 1人1人の患者さんに真摯な微笑を浮かべて話しかけ、担当医にテキパキと指示を下していく。診断が終った患者さんは皆満足そうだった。
――手術だけでなくこういうところも見習わなければならないな――
 この前の回診では祐樹も受け持ち患者がいたのでそちらの方に気を取られていたが、今回は客観的に眺めることが出来た。
 3階には一番病状の重い患者さんが集まっている。黒木准教授と、仕事だけは出来る長岡先生と相談しながら手術の順番を微調整しているのだろうか?長岡先生は白衣のポケットからメモを取り出し、教授の発言を書きとめているようだった。
 長岡先生は昨日の転倒で怪我をした足は白衣に隠されて見えない。足の運びも重傷を負った人のようには見えないので、阿部士長が言ったように大した怪我ではなかったのだなと安堵した。
 患者さんのベッドを回るたびに担当医が呼ばれ、報告している。祐樹も早くあの立場に就きたいと思った。黒木准教授の話では祐樹も数人の患者さんを任される身の上になるハズだ。そう思うと今日の教授の話を傍で聞きたいが、医師や看護士が教授を取り巻いているためそんなことは叶わない。
 せめてよく聞いておこうと身を乗り出す。
 4階に上がると、重篤でない患者さんが多いので全体的に少し気が抜けた雰囲気になった。香川教授は相変わらず真剣に患者さんと向き合い、その人の訴えに耳を傾けている。
 とあるベッドに来た時に黒木准教授は教授に耳打ちをした。珍しいな…と思って見ていると、カルテを見た教授も頷いた。
「田中先生、こちらへ」
 患者さんの前だからだろう、「先生」という呼称が付けられ、黒木准教授に呼ばれた。周囲の医師達が怪訝そうに自分を見ているのを自覚しながら教授達に近付く。
 香川教授が一切の感情を廃したような表情で祐樹に言った。
「後ほどでも良かったのだが…ちょうどいい、鈴木さんだ。カルテはこの通り。この方の担当医になってもらいたい」
 平坦な声と共にカルテが渡される。パラリと見て、重篤な患者さんではないことを確かめる。前任者は黒木准教授だったので、格が違うとも思ったが確か教授室では黒木准教授の患者さんが回ってくるという話だったのを思い出す。
 祐樹にはポーカーフェイスを崩さなかった教授だが、鈴木さんには微笑を浮かべて話しかける。
「担当医の変更をお願いしたいのですが…。こちらは田中先生です。黒木先生からの推薦を受けまして」
 黒木先生が准教授だと知っているのだろう。入院患者は娯楽が少ない。患者同士の会話には当然医師の噂が付きまとう。准教授から普通の医師に担当を変更された鈴木さんはどことなく不安そうだった。それも当然だろうな…と思う。祐樹が患者だったとしても多分不安だろうから腹は立たない。
 不安そうだが、曖昧に頷いて祐樹に頭を下げる鈴木さんに教授は言った。
「田中先生は若いですが、優秀です。それに私が指導をしますのでご懸念には及びません」
 その言葉に反応したのは周囲の医師と看護士だった。指導という言葉で香川教授はぼかしたので患者さんは気付かないが、この大学病院に勤務している者なら誰でも分かる。祐樹の指導医が香川教授になったということが。
 患者さんの前なので誰もが声を出さないが、周囲の空気が微妙に変わる。チラチラと教授と自分を見る複数の視線を感じた。
「田中です。これからは私が主治医ということになりましたので、何事も私にご相談下さい」
 そう挨拶すると、鈴木さんは半身を起こした状態でかしこまり「宜しくお願い致します」と挨拶した。
 カルテには鈴木さん、52歳男性と書いてある。どこぞの重役のような雰囲気だった。
 あと1人か2人担当を任せられるかと思っていたのだが、黒木准教授が先ほどのように教授に耳打ちしても祐樹が呼ばれることはなかった。
 回診が全て終り、遅い昼食を食べがてら杉田弁護士と連絡を取ろうと思った。星川看護士の件と、阿部士長の件同時に聞いてみるつもりだった。

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このお話は、



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 偏頭痛は治まったのですが、イマイチ体調がぱっとしないです…


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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