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「がんじがらめの愛」第二章-15

 片桐は、しなやかな肢体を自分に凭れ掛けていた。顔だけを見詰める。瞳が回顧するようにぼんやりとしていた。
「初めて晃彦に会った時は勿論憎悪しか感じなかった。それはあきひ…いや、加藤も同じだろう…」
「晃彦でいい」
 照れくさそうにする彼に、幾分水分を含んだ髪の毛を梳いた。気持ちがいいらしい。目を細めた。
「それからずっと目で追っていた。憎しみの気持ちから…な。気付かれないようにそっと。その内に気付いた。晃彦は、オレを除くかつての賊軍の子孫にも分け隔てなく快活に接している事を」
 汗が引いて来て、五月とはいえ、些か肌寒い。布団を掛けてやろうとしたが、自分の手と、バスタオルがどういう状態になっているかを自覚して、ただ、抱き締めた。お互いの体温を感じると、身体だけではなく心も温まって来る。
「オレの家は加藤家には仇に当る。それは知っていた。だから、黒田などの家とは違う、オレには話しかけてくるとは到底思えない。
 しかし、黒田と話をしているのをいつか見た時、オレは黒田が羨ましかった。片桐家に生まれなければ…何度もそう思った。まあ、平民の家に生まれていたら晃彦とは出会えなかったとは思ったが、な。
 それからはもっと、晃彦の事を見ていた気がする。お前の真面目さや天真爛漫な様子を見ている内に、顔も見るようになった。勿論細心の注意を払っていたから晃彦には気付かれなかったと思うが」
 その通りだった。片桐の視線は全く感じられなかった。稀に感じた時は憎しみの目で見られていたように思う。
「ああ、全く感じなかった。それで?」
 そう言って唇を奪った。
「顔とか身体も見るようになったのはいつだったかは覚えていない。黒くて澄んだ切れ長の目とか、高い鼻梁とか、眉の形が良いとか。グラウンドでオレよりも身長の高い晃彦の均整の取れた身体が俊敏に動くのを、教室の窓から憧憬を覚えながら眺めていた。
 勿論、オレの家の事は重々承知している。しかし、話してみたいと思った。話し掛ける機会が有ればと、ずっと思っていた。無視されても仕方の無い事も覚悟して。
 そう思って居ると絶好の機会が訪れた。あの冬の雨の日だった」
「勿論覚えている。傘を持たずに立っていた日だろう」
 髪を梳きながらそう言った。
「そうだ。周りには晃彦の友達は居なかった。だから声を掛けても変ではないと決意した。断られるのを覚悟して話し掛けた」
 それで、あんな顔をしていたのかと思った。その時は困っている人を見捨てる事が出来ない性格だろうと単に思っていた。









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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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