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「気分は、下克上。」第七章-19


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 一介の研修医である祐樹があまり教授室に入り浸っていることを知られては、格好のウワサの餌食になる。佐々木前教授から引き継いだ秘書は香川教授にも好感を持っているようなので多分口外はしないだろう。
 しかし、そろそろ通常業務のためのスタッフが通勤してくる時間帯だ。――もちろん、当直の医師や、複雑なローテーションのナースなどはこの限りではないが――
 大学病院の恐ろしいところはナースのネットワークを始めとして、ちょっとしたことでもウワサになることだ。教授の椅子に座っている人は香川教授や北教授のように自分の医療を極めるため…というよりも、K大医学部教授という肩書きが欲しい自己顕示欲の塊のような人間が多いのは周知の事実だ。教授になれば、次は病院長や、医学部長などのより一層高いポジションを虎視眈々と狙っている。そのためにはどんな手段も選ばないと聞いたことがある。ドラマのようなことが本当に起るのだ。
 斉藤医学部長もそうした権謀術数で勝ち抜いた勝者であり、この病院の実績や収益を上げるために香川教授を招聘したと聞いている。
 祐樹に取っては憤慨モノだが、斉藤医学部長が「香川教授は役に立たない」と判断すれば切り捨てられる可能性すらある。阿部士長情報ではそれほど失望はさせていない。が、香川教授を斉藤医学部長のお嬢様と結婚させようと下心が有ったらしい。
 まぁ、斉藤医学部長の読みは正しいと客観的には、祐樹も思う。あくまでも客観的な読みで、主観的には「言語道断!」だ。
 幸い、長岡先生という妙齢の(かなりズレたところは多々有るが)美人をわざわざアメリカから伴ったという点でその話は立ち消えになったと聞いているが…。
「そろそろ、医局に行きます。手術は拝見していますから…」
 祐樹の部屋で過ごした数日間で、彼はさまざまな表情を見せてくれるようになった。最初に会った時の氷のような視線は皆無になった。何より自然な笑顔が多くなった。
 後ろ髪を引かれるようにそう告げると、無言が室内を支配する。彼は怒ったような、未練があるような…不思議な表情をしている。
「手術が済んだら、昼食を買ってまた来ます…」
 そう言って立ち上がり、重厚なドアの近くにまで歩んだ。不意に手を掴まれて驚いた。少し下にある教授の顔を見ると、怒ったような顔をしているが、頬の紅さは隠しきれない。 
 彼の希望を察知して、身体を反転させて薄紅色の唇に祐樹の唇を重ねた。
 今度は扉に体重をかけて誰も入って来られないようにして、彼の唇を割って舌を重ねる。口の粘膜同士で会話するようなキスだった。あるいは、唇と舌で行うセックス…。
 しばらく教授の口孔の湿度と熱さと舌が絡まりあう時に立てる湿った水音を堪能した。
 名残惜しげに彼の唇が離れていく。彼も時間がないことは分かっているのだろう。
「手術、拝見しています。不測の事態になったらスグに駆けつけますから」
 キスの名残りの銀糸を手でそっと拭う。そしてその水分を舐め取る。
 教授は居たたまれないように目を逸らしている。
「では、また後ほど…」
 そう言って部屋を後にした。いったん医局に顔を出す。山本センセが我が物顔で皆に何かを喋っていたが、祐樹が部屋に入ったのを見た途端、山本センセの口が閉ざされる。祐樹に同情気味の視線が集まるのを感じ、「自分のワルクチでも言っていたのだろう」と思った。が、彼はそういう人間なので腹は立たない。鈴木さんの容態を見て来るか…と思った。
 病棟の廊下で内科の内田講師に会った。何でも外来の診療も担当しているので内科から外科に病棟が移った鈴木さんの容態を確かめに来るにはこういう時間しか取れないのだと言う。
「香川教授は、私が鈴木さんを診るのを許して下さいましたか?」
 不覚にも昨日は色々有ったのですっかり聞くのを忘れていた。だが、教授は他科の先生に診断されても何も言わないだろうと、曖昧に頷いた。
「鈴木さん、この田中先生はとても良い先生ですから…遠慮なしに不安な点などを聞いて下さいね。香川教授も出来れば手術しない方向で考えて下さっているそうですよ」
 内田講師は温和な口調で諭すように鈴木さんに向かって言った。鈴木さんの顔がみるみる明るくなった。
「田中先生、どうか内田先生と相談して下さい。お2人のご意見になら従いますので」
 そう言って頭を下げられた。
 病室を出てから、教授の血液検査などの数値を言って意見を求めた。
「直接拝見していないので断言は控えますが…この数値は健康体ですね。
 私には関わりのないことですが…この患者さんの回復の速度は早すぎる。保険適用外の薬剤を色々と使っている…と判断するしか説明が付かない…」
 内田講師のお墨付きが貰えた…と内心では快哉を叫ぶ。ずっと自粛してきたが、今夜は彼のさらりとしているが熱を秘めた身体に溺れてもいいのだから。
 内田先生の追及には曖昧に微笑んで誤魔化した。彼は別に気を悪くしたふうでもない。
 フト聞いてみたくなった。
「そちらの今居教授はどんな方ですか・・・?」
 内田講師の優しげな顔が困惑というには強すぎる表情を浮かべた。それだけで見当が付いてしまう。
 1人で手術室上階の見学室に行った。香川教授の手術回数が増えるにしたがって、お偉いさんの見学は減り、熱心な学部生が見学に通ってくる程度まで減っていた。学生とは異質な人間を見つけてギョッとした。白衣を着ているのでかろうじて医師だとは分かるが、ボサボサで寝癖の目立つ半白髪の男性で、無精ひげも濃い。その辺の路上でダンボール箱に入っていても違和感は感じないだろう。眼光だけは鋭く聡明そうだ。
 だが、祐樹はその人物のことは噂で聞いていたのですぐ分かった。
「初めまして。香川外科の研修医の田中祐樹です。お噂はかねがね」
「どうせ、『あいつは医師じゃない、職人だ』とでもいうウワサだろう…医局には行かず、手術の時だけ出没するから…な。
 桜木だ。専門は悪性新生物。そのオペだけに興味がある。が、今居のおっさんから頼まれて、アメリカ帰りの腕ってヤツを拝ませてもらうことにする。ゴットハンドの名前が泣くような手術じゃないことを祈るぜ」
 桜木先生は昇進も何も興味がなく、悪性新生物(癌)の手術にだけ情熱を燃やしている変わり者だった。心臓外科の祐樹とは接点がないが、手術の上手さにかけては、皆の意見は一致している。曰く、「あの腕は悪魔とでも取引をしたのではないか」と面白おかしく取りざたされている。手術以外に興味のない変わり者だった、それも癌の。今居教授は香川教授の腕前を知るために何らかの手段を使って「手術室の悪魔」を心臓手術の見学に寄越したのだろう。
 ガラス張りの手術室に患者さんが運び込まれ、スタッフやナースが忙しく動いているのが見える。もちろん、星川ナースの姿も有る。香川教授が姿を現し、術者の位置に付く。
 手術が始まった。開始十分後、祐樹は驚愕の余り息をするのも忘れていた。

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このお話は、




から始まっています。興味の有る方、読んで戴ければ嬉しいです。

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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