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「がんじがらめの愛」第一章-5

「だから、オレの家ではお前の家に恨みを抱いているし、お前の家も…だろ」
 動揺はしたが、加藤は冷静な表情を作ることは得意だ。
「俺の家のことはどれだけのことを知っている」
 そう尋ねた。
「鹿鳴館の時代が終わっても、どこかしらの屋敷で夜会がある。そこで聞いた。お前の祖父様はオレの父上が撃った鉄砲で戦死された…、と」
「ああ、その噂は真実だ」
「やはりそうか。だからお前はオレを見る時の目が、他の級友達を見る目とは違っていたのだな」
「…・・・」
 見抜かれていたとは予想外だったが、顔には出さない。
「オレの家とお前の家は敵同士だ」
 ぷっくりした唇を噛み締めてそう言った。
 話をしているうちに、下町に通りかかった。加藤にとっては、足早に通り過ぎたい場所だ。加藤の家では雑巾でももっと上等の物を使うだろうと思われるほどの擦り切れた着物を纏い、髪は碌に手入れをしていないらしい。
 銭湯にも行っていないのか、みな異臭を放っている、場所も人間も。
 歩いていると、1人の老人が派手な着物を着た数人の男に囲まれていた。老人は、ボロをまとい、物乞いで世を渡るたつきとしているような感じだった。
「だからよぉ、この辺りで物乞いするなら、おりゃ達に銭払えって言ってんだろ」
「そうだ、今日こそ銭払って貰おうじゃねぇか」
「溜まってた分、耳を揃えて払いやがれ、ばか」
 口々にそう言うと老人を足蹴にする。老人は小さな声で、
「そん・・・な・・・お足は、ない・・・ん…です。お見逃し・・・下さい」
 苦しげに呻きながら、言っているのが聞こえてきた。加藤は足を速めようとしたが、片桐は傘を加藤に預け、足早に騒ぎの方に向かって行く。驚いた加藤も後を追った。
「このご老人に暴力を加えるなど、もっての他です。直ちに止めなさい」
 大きな目にきっぱりとした光りを宿し、冷淡とも聞こえる口調で言い切った。
「お、こいつ、学生さんだぜ。いいトコのお坊ちゃまが喧嘩の仲裁かい。止めときな、怪我するぜ」
 頭分だろう、貫禄のある男が明らかに揶揄を含んだ声で言った。
「喧嘩では、ありませんね。お年寄りを苛めているだけではありませんか。老人を敬うのは当たり前のことです。その道理も分からないのですか」
 静かな口調で反論する。
「生意気な口きいてんじゃねぇ。野郎ども、お坊ちゃんに世間の怖さってものを教えてやんな」
 その言葉に数人の男は老人の傍を離れ、片桐を囲んだ。






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この小説はフィクションでありファンタジーです。一応、歴史上のことも出て来ていますが、作者の浅学不才により間違いもあると思います。なお、人名は、登場人物は全てフィクションで、ちらっと出てくる人物はノンフィクションです。風習なども調べましたが、至らない点がありましたらお教えください。



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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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