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「がんじがらめの愛」第二章-8

 一週間、心のどこかが壊れたような気はしていたが表面上は何事も無く経過した。片桐は自分の方を見ようともしなかった。その事に胸を締め付けられるように苦しい。
 朝、登校し、三條に挨拶をした。彼も何事も無かったかのように自分と接してきた。彼ながらの心遣いだと思っていた。自分の席に座って居ると、教室の扉が開き、片桐が入って来た。我ながら未練がましいとは思ったが、彼の気配を窺ってしまう。奇妙な感じがした。いつもの彼とは違う雰囲気だった。思い詰めた顔をしていた。
 そして、真っ直ぐ三條の席に行った。これも彼らしくない行動だった。三條から話し掛けた事は有ってもその逆はなかったからだ。暫くの間三條と会話をしていたが、生憎教室はざわめいていたため自分の席からは聞こえない。違和感を覚えてさり気なさを装ってはいるが凝視してしまう。三條に向かって片桐は頷き自分のノォトを取り出し、丁寧に切り取ると何かを書き込む様子が見えた。その紙片を三條が受け取る。頭を下げて片桐は自分の席に向かった。
 一限目の授業が終わると、見計らったように三條が足早に自分の方に近付いて来る。いつもの笑みとは違った不思議なというか、面白そうな笑顔を浮かべていた。何が起こったのかは全く分からない。狐につままれた気分だった。
 ふと片桐の方を見ると視線は下に向けていた。級友達と話す事を避けるかのようにテキストに熱中している。
「加藤、少し良いか」
 三條が顎で、廊下の方を指し示す。
「ああ」
 そう言って彼に付いて廊下に出た。
「片桐の事か」
「気になるか、矢張り」
 悪戯っぽい笑顔で三條は言った。動悸が高まる、期待とそれを上回る不安さで。
「勿論、彼の事は気になる。何か渡されていただろう」
「お前宛てだ」
 そう言って丁寧に折り畳まれた紙片を差し出した。微弱に震える手で開いて見る。そこには彼らしい綺麗で几帳面な文字が並んでいた。
<この間は済まなかった。もしも、気が変わっていないなら、そして今日空いているなら話がしたい。三條君には了解して貰ったので、三條君の名前で屋敷に来て欲しい。今日両親は不在だ。片桐武明>と。
 読み終わるのを見届けて三條は言った。
「片桐君の方からお前に用事があるとするなら、まだ希望はあるということだな」
 胸が詰ったようで言葉にはならなかった。ただ頷く。
「片桐君より優先させる用事なぞお前には無いだろう、行ってみろよ、『三條君』」
 自分の事のように嬉しそうに笑いながら三條は言った。
「何を言われるのかはまだ分からないが、とにかく伺う事にする」
 彼とはあれ以来口をきいて居ない。この手紙が突破口になるのは分かっていた。
「彼の屋敷は知っているのか」
「所番地は知っているので分かると思う」
「車で送らせようか」
 心遣いに感謝をしたが、謝絶した。歩きたい気持ちだった。もしくは走りたいような。



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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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