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「がんじがらめの愛」第二章-7

 1人で脱力して座っていると、三條が部屋に躊躇いがちに入って来た。部屋が明るくなる。
「何だ、灯りも点けずに。…その顔は、断られたな」
 心配そうな顔をしている。片桐が屋敷を辞去したのは当然耳には入っていただろう。それななのに時間を置いて入って来たのが彼らしい。黙って頷いた。
「では、懸念した通り彼は絢子様とご交際する積もりか」
「いや、それはお断りすると言っていた」
 なるべく平静な声を出そうと努力した。
「成る程、しかし解せないな。片桐家にとってはこれ以上は無い程の良縁なのに」
 怪訝そうな顔をして三條は言った。
「妹君から聞き出したそうだ。絢子様は自由恋愛に憧れていらっしゃるだけだと。たまたま自分が選ばれたのだと言っていた」
 ますます三條が意外そうな顔をした。
「絢子様は確かに自由闊達な方だが、先程母上に伺ったところ御宮家でも乗り気の様だとか。何でも使者が私的な内示をお伝えに行ったが、本人から断られたと。自由恋愛の相手が他に居ると言っていたそうだ」
 話が微妙に食い違うので思わず怪訝な顔をしてしまった。
「しかし、俺にはひっそりと生きて行きたいと言っていた…」
「話が見えないな。片桐君はお前を意識していると思って居た」
 思慮深い顔をして三條は言う。紅茶を差し替えに女中が入って来た。構わずに話を続けた。
「断られたのは事実だ。家の事情を考えれば無理の無い話だが」
 苦笑するしかなかった。女中は礼をして部屋から出て行った。
「こればかりは片桐君の気持ち次第だからな。仕方の無いことだ。愚痴なら聞く」
 思い遣ってくれているのが分かる顔に少しだけ気持ちが浮上した。
「それは有り難い。では一言だけ。彼ともう話せなくなるのが只只無念だ」
「今まで話せたのだから、良かったと思え。人に惚れると人間は成長するという話だ。しかも失恋はさらにそうだとか。もっと大きな人間になれると言う」
 揶揄の様に言っているが、三條の目は真剣だった。溜息を吐いて言う。
「初恋は実らないと言うが本当なのだな」
「そういえば、お前は恋愛の話はしないと思っていたが、初恋だったのか」
「今思えばそうだ」
「そうか、気にするなと言っても気に病むだろうが…、恋愛ばかりは上手くいかない。しかもお前達の家の事情が事情だ」
「…そうだ。元々実らないとは思って居た」
 三條邸の夕食の時間が来たのを機に帰宅する。言うべきことは言ってしまったという充足感と、もし、自分の心が存在するなら振っても無音だろうと思える、虚ろな気持ちを抱えながらあえて徒歩で帰宅した。

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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