スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「がんじがらめの愛」第二章-5

 幾分緊張した様子で片桐が姿を現した。三條は彼にしか出来ない特有の天真爛漫な笑顔を見せた。
「来てくれて感謝するよ。ゆっくり寛いで呉れれば構わないから」
「招待有り難く思っている。いつも気を遣わせて居るのが申し訳ない」
「いや、僕も君と親しくなりたかったから全く構わない。今、お茶を用意させる」
 二人が話している間、片桐はこちらの方を見なかった。微笑もぎこちないのが分かる。声を掛けられる雰囲気でもなかったので敢えて冷静な顔を作っていた。女中が紅茶を運んで来た。それまでは、片桐と三條は四方山話をしていた。女中が姿を消すと三條は程よいところでこう言った。
「僕は、母上に用事が有ってね。呼んでいて済まないが…席を外させて貰うよ」
 自分の方へ顔を向けて力付けるような笑みを浮かべて出て行った。
 その瞬間、片桐の笑みも消えた。身体も心なしか強張って見える。
「オレにもう関わるなと言ったのに、何の…話だ」
 そう言いながら、人差し指を唇に当てた。晃彦は覚悟を決めて話し出す。
「絢子様と御交際するのか。恋文を貰ったとの話も聞いた」
 いきなり話す積もりは無かったのに、一番気になっていた事がするりと口から出た。片桐は、何故か身体の力を抜いたようだった。
「もう伝わっているのか。戴いたのは三日前だ」
 唇から指を離し静かに言った。否定して欲しかったのに、淡々とした口調だった。
「三條から聞いた。…それで…かたじけなくもお受けするのか」
 内心の動揺を押し隠す。
「お受けって何の話だ」
「だから恋文の御返事だ。御父上などはお喜びだろう」
「父上には告げていない。それに戴いた時にはやんごとなき方の戯れだと思った。だから御返事も出して居ないし、その積もりもない」
 安堵の吐息が洩れるのを自覚した。
「戯れ…なのか」
「妹の話はしただろう。女子部に通っている」
「ああ、華子嬢とか」
「そうだ。妹には話した。ああいった身分の方の話は女子部では直ぐに伝わるから、知っていた。鮎川公の園遊会で御相手を探すと仰っていたそうだ。あの方は自由恋愛に憧れていらっしゃるという話だ」
 自由恋愛、か…自分もそうなのだと思うと苦笑が零れた。
「それで、鮎川公の園遊会で毛色の変わったオレのような者にお目を留められたのだろう」
「毛色の変わった?」
「ああそうだ。お前も居たのにな。ただオレはああいった場所には出入りしないし…きっと珍しかっただけだ」
「俺が居た事と、お前が居た事に何か関係が有るのか?」
 純粋な疑問だった。再び唇に人差し指を当てて片桐が言った。
「…一番目立っていた。自由恋愛の相手を探すのならお前の方が適役だ。しかし、お前は以前から絢子様とは顔見知りなのだろう?だからオレにお鉢が廻って来たのだと思う」
 思わぬ言葉につい聞いてしまう。
「一番目立っていた…とは」
 しばらくの沈黙の後で唇を開いた。
「それは…オレから見て、あの場所でも一番目を引く存在だった」
 意外な言葉だった。


ブログランキングに参加させて戴いています。宜しければクリックお待ちしております~!


FC2ブログにこっそりと過去小説をアップしていますが(ところどころ、悲惨な表現変えています。本家のヤフーブログではお返事コメが書けないのですが、こちらではそんなにコメも戴けないので返信コメントも充分可能です。コメントも大歓迎です~!
スポンサーサイト

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。