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「気分は、下克上。」旅行編-16



凸凹画像を二つクリックして別窓から読んで下さると嬉しいです。感涙の涙で溺死しそうです~!凸凹
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 彼の息が首筋に当たっている。まるで春のそよ風のような心地よさだった。背中に回した右手を彼の後ろ髪に移動させた。左手は彼の腰に回したままだったが。
 髪の毛の感触を手のひらで味わう。細すぎず、太すぎずとても触り心地の良い彼の髪の毛。手で持ち上げるとはらりと上になびき、数秒後元の位置に戻る。しばらく髪の感触を楽しんでいると、彼がすっと顔を上げる。薄紅色の唇が誘うように少し開かれていた。
「お仕事お疲れ様でした。そして、食事の用意も有り難うございます」
 唇に触れるか触れないかの距離で囁く。その息が掛かったのだろう。彼はひくりとしなやかに身じろいだ。
 唇を重ねてお互いの唇の熱を奪い合う。ひとしきり唇を交わした後で、彼は唇を離した。淫靡な水音がまだほの赤い部屋には不似合いだったが。
 普段よりは仄かに紅みの増した唇が艶の混じった声を出す。
「祐樹…昼御飯はフランス料理か?」
 長岡先生と食事をしてから歯を磨いていなかったので、その名残りが口の中に有ったのだろうか?それとも、グラスで呑んだワインのせいかもしれない。
「ええ、実は買い物に…っと、その前に玄関のエントランス・ホールに守衛さんに見てもらっているスーツ・ケースを取りに行かないと」
「スーツ・ケースを買いに行ったのか?」
 どことなく嬉しそうな感情を込められている声だった。
 先に彼の服だけを運ぼうと、持ちにくいスーツ・ケースは、エントランス・ホールに常駐する守衛さんに託してきたことを思い出した。
「ええ、そうです。やっと、百貨店が開いている時間に身体が空いたので」
 不思議そうな彼の眼差しの先には紙袋が有った。
「ああ、それは、旅行用の服ですよ。現地に着くまでは内緒です」
「そうか。では私もスーツ・ケースを運ぶのを手伝う」
 楽しそうに言う彼に「お願いします」と言うしかない。何しろ惚れた弱みだ。
「夕食の支度は出来たのですか?」
「ああ、もう食べられる。祐樹がフランス料理だなんて珍しいな」
 彼らしく素っ気無いエプロン――というよりも、ただの油避けの布地のようだ――を外し白いTシャツに八分丈のベージュのスエット姿になる。そんな無造作な格好をしていても彼の肢体から漂ってくる爽やかな色香は色あせないのが不思議だった。
 このマンションは、いつぞや杉田弁護士がセキュリティのお墨付きを与えたのも頷ける造りだった。一階には居住スペースがなく、建物の玄関を開けると会社のオフィスのような受付嬢――と言っても夜は男性スタッフに交代するが――がまず訪問者をチェックする仕組みだ。そこを抜けると小道があり、しばらく歩いてから守衛さんがエントランス・ホールに必ず2人居る。外部からの侵入者はそもそも受付嬢の許可を貰えないと先に進めないし、各種の業者――例えば空調整備会社――もマンションと契約している会社しか許可されない。その業者が部屋で作業する時は守衛さんが必ず付き添うのが規則だそうだ。
 また、かなり広いマンションなのに1フロアには二軒しかないという贅沢な造りだった。
 エントランス・ホールに行くと、温和な顔はしているが柔道だか空手だかの訓練をしていると思しき屈強の守衛さんが祐樹の買ったスーツ・ケースの傍に立っていた。まるで美術館で有名な絵画の見張りをしているような面持ちで。
「有り難うございます。引き取りに来ました」
 礼を述べると、守衛さんはにっこりと微笑む。
「お役に立てて光栄です」
 そう言いながらエントランス中央の大きな花瓶に活けられた花の前に立っている教授にも丁重な挨拶をする。カサブランカ(だろう)の白い大きな百合がメインに活けられた花瓶の前に佇んでいた教授は丁寧な会釈をしてから祐樹に近付いた。
「スーツ・ケースの中も買い物で埋まっているかと思ったのだが、違うんだな」
「ええ、スーツ・ケースだけです。あ、包装で分かりました?」
「ああ、重たいのかと思って付いてきたが…」
 振動が全く無いエレベーターの中で会話をする。贅沢な造りに相応しく、乗り合わせている人間は居ない。
「いいえ。付いて来てもらって良かったです。百合の下に居る貴方を見て何度目かの惚れ直しをしていました」
 彼の顔が幽かに薄紅色を帯びる。こういう言葉には未だに慣れないらしい。そこがまた新鮮でそそられるが。
「ゆ…祐樹がフレンチなんて珍しいな」
 焦ったように話題を変える彼の初心な様子は、夜の妖艶さとのギャップが甚だしい。その意外性がますます祐樹を惹きつけるのだが。
「実は偶然長岡先生にお会いして…昼食をご馳走になりました」
「そう言えば彼女も今日は休みだったな…。どうしてまた、2人でランチを?」
 純粋な好奇心で聞いているのが分かる口調だった。その時、長岡先生のバックの中身が脳裏に蘇る。決して病的な几帳面ではない祐樹が見ても、彼女の小さなバック…といっても容積はそこそこありそうだったが…の中身はカオスだった。彼女の辞書には生理整頓と言う文字はないらしい。化粧品と本と筆記用具とスケジュール帖がああも滅茶苦茶に入っているとは。
「いえ、彼女は持っていたバックの開け方が分からなくて…それで開けて差し上げたらお礼にと」
 彼は心から面白そうに微笑した。その笑顔にドキリとする。このマンションに祐樹が引っ越して来てから彼の笑顔はますます内側から照り映えるように綺麗になった。前々から充分祐樹を魅了する顔と身体、そして性格の持ち主だったが。
「今日は暑いので、冷麦にしたのだが…ちょうど良かった。夕食も重いものだと胃に悪いだろうし」
 そう言いながら、彼は手際よく皿や小鉢を並べている。スーツ・ケースを仕舞い、手を洗って手伝う。祐樹などは冷麦だと、素麺を茹でて、市販の汁を掛けて食べるだけだったが。
 彼は出汁は勿論のこと、薬味も紅葉おろしだの、大葉やネギの細かく刻んだものや薄焼き卵まで手を抜かない。どこにそんな暇があるのかと思うほど手早く、何でも作ってくれる。ついでに賀茂茄子と牛肉の炒め物も用意されていた。これも唐辛子の辛味がスパイスとして絶妙なバランスで入っていた。
「それで、長岡先生に旅行の件を白状してしまったのですが、良かったですか?」
 彼の顔を恐る恐る見ながら言った。
「ああ、彼女なら問題ないだろう」
 事も無げな返事に安堵し、次のステップに進む。
「飛行機の時間まで言ってしまったら、見送りに来ると…」
 冷麦を取ろうとして伸ばされた理想的なフォルムの腕と指が止まった。しばらくそのまま固まっていた手が動いて、箸を優雅に置く。
「祐樹…」
 先ほどと違った幾分硬い声がする。やはりマズかったかと謝罪の言葉を必死で探した。


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 な、長岡先生、出て来ませんでした。こんなので良かったのかとっても不安です。
 次は飛行機に乗れたらいいのですが、空港でもちょっと長岡先生のお茶目ぶりが発揮されます。18禁を期待されている方、シンガポールに行ったら、もれなく18禁ですので、もう少々(って、いつ?)お待ち下さいませ。
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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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