スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「気分は、下克上。」旅行編-17



凸凹画像を二つクリックして別窓から読んで下さると嬉しいです。感涙の涙が川となります~!凸凹
____________________________________________________

「すみません。やはり2人だけのプライベートな旅行に、いくら教授の部下であるとはいえ、長岡先生に飛行機の時間まで漏らしたのは軽率でした。今後は公私混同しないように気を付けますから…」
 祐樹はかすかに強張った彼の顔を見て、自分も箸を置くと頭を下げた。彼は祐樹の顔を凝然と見詰めたままだった。
 そういえば彼の怒った顔を見たことがないな…と思う。今まで様々な顔を見てきたが、山本センセや木村センセの不祥事の際ですらいつもよりは険しい顔をしていたものの怒った表情は浮かべていなかった。
 いっそのこと椅子から立ち上がって頭を下げようかと思った。怒った顔よりも彼の凍り付いた顔の方がある意味怖い。
「いや、長岡先生もプライベートで見送りに来てくれるのだろう?それなら別に構わないが…」
 口ではそう言っているものの、どこか浮かない表情だった。
「そう…ですか?」
「見送り自体は全く構わない。ただ長岡先生は職場ではとても優秀な内科医だ。ただ、致命的な欠点がある」
 あまり人の悪口を好む人ではない。言いづらそうに言葉を紡ぐ。
「つまり、職場を離れるととんでもないミスをする…とか」
 数々の出来事を思い出す。阿部士長を星川ナースに仕立てるために印鑑を買いに行ってもらった時の彼女のとんでもない思い違い。
 今日も高そうな――あのブランドが作っているバックだ、高くないわけがない。祐樹はシャツを一枚買っただけだが、あまりの値段にゼロの数の印字間違いかと思ったくらいなので――白いバックをこともあろうに真っ赤な口紅がべっとりと付いた手で触ろうとしていたくらいだ。そういったエピソードは教授の方が詳しいだろう。
「そう…本人も気が張っている時にはあまりミスは仕出かさないのだが、油断すると途方もないことをする…傾向がある」
「しかし、教授が長岡先生と帰国なさった時にはとても綺麗で大人びた振る舞いの女性だと思いましたが…」
 凱旋帰国する教授を関西空港まで迎えに行ったのはついこの間のような気もするし、随分と時間が経った気もする。今ではとても慕わしい思い出だ。
「あの時は、彼女も新しい職場の人間が迎えに来ているから…かなり緊張していたみたいだ。彼女がコーヒーを飲みたがる時はいつもそうだから。彼女が緊張するのは、職場で内科医としての職務を果たしている時と、婚約者と居る時…若干だが緊張するのは私と居る時だ。それ以外をしても私はもう驚かない」
 溜め息交じりに教授は言う。その吐息すらも色っぽい。
 今日祐樹を前にして緊張していなかったのは、仲間だと思われたのだろうか?まぁ、長岡先生にどう思われようと祐樹の知ったことではないが。
「ちなみに、長岡先生の素晴らしいエピソードをお聞かせ願えませんか?」
 彼は少し躊躇ったが、祐樹が続きを強請るような目をしているのを見て諦めたように話し出した。
「LA時代のことだ。向こうでも医師の親睦会のようなものがある。大体は日本と同じでスピーチを頼まれる者と単なるパーティの出席者に分かれる。私はたまたま恩師の代わりでスピーチを頼まれていたので出番が来るまで演壇の傍で控えていたのだが」
「向こうでもやはり会場はホテルなんですか?」
 外国にすら行ったことのない祐樹にはアメリカの医師がどういうところで親睦会を開くのか全く見当も付かない」
「大学の大講堂を借りることもあるが、その時は、LAのフォー○―ズンズ・ホテルだった。長岡先生はカクテルドレス――ドレスコードがそうなっていたので女性は皆そうだったのだが――しかも彼女はそういうドレスも着慣れていると言っていたので心配はしていなかったのだが…
 演壇の傍で見るともなしに長岡先生が男性に声を掛けられているのを見ていた。すると、彼女は会場の熱気に当てられたのか、それとも男性達に次々と勧められるシャンパンに酔ったのかは分からないが、パーティ会場の真ん中でドレスの裾を自分のヒールに引っ掛けて転倒してしまった」
 フォーシー○ンズ・ホテルは祐樹でも知っている超高級ホテルだ。そのパーティ会場ともなると、かなりの人数が収容出来るだろう。
「しかし、そういう女性は皆無というわけではないのでは?」
「その通りだ。我々からすればあんなに細いヒールを履いて良く歩けるものだと感心するからな。ただ、転倒の仕方が派手極まりないものだった…」
 彼の顔が笑っているような泣いているような複雑な表情になる、それもとても魅力的だったが。視線で促すと彼は話し始めた。
「彼女は彼女なりに転倒しまいと必死だったのだろう。ハイヒールでどうやって出来るのかは私も分からないのだが、俗に言うケンケンで会場を突っ切った。会場には密かにクスクス笑いが漏れ始め、その後決定的な大爆笑となった…」
「何故ですか?」
「彼女は目の前の白い布に掴まって身体を元の状態にしようとしたのだが、あいにくそれはテーブルクロスだった。その布を力いっぱい引いてしまったから、その上に置いてあっワインやウイスキーのボトルやグラスも彼女の頭上に降り注いだ。それこそ土砂降りの雹や雨のように、それも色付きの…だ。彼女の薄い青色のドレスがアルコールまみれになってしまって…」
 状況を想像して笑いたくなったが、教授はどこか辛そうな顔をしていたので思いとどまった。
「それからだ、他の病院の医師に会うと、『灰かぶりならぬ、酒かぶりシンデレラ姫は元気かい?』と冗談のつもりで聞いてくるようになったのは…」
 もともとジョークを好む人でないと知っているだけに、彼の返答に窮しただろう。
「……過去の話です。忘れましょう。あ、この賀茂茄子と肉の炒め物、とっても美味しいです。それに素麺の出汁は素人離れしていますね、貴方の料理はいつ食べても美味しいです」
「それは…祐樹が買って。ウチに持って来た本を見て作ってみたのだが」
「では出汁の取り方なども本で読んだだけなのですか?」
「ああ、書いたことをそのまま実行すればいいだけだから。本を見て、実際にしてみただけだ。あとは…高校時代の技術・家庭の実習を思い出して」
 やっと穏やかな顔になった教授を見て、食事を再開する。
 彼の記憶力なら写真が多い料理の本など、数秒見ただけで頭に入るだろう。そして手先の器用さは折り紙つきだ。
「美味しいですよ。貴方の料理を毎日食べたいくらいです」
 お世辞抜きにそういうと、彼が笑みを深くする。内面に桃色の電灯でも入っているのではないかと思うほど光り輝く笑顔だった。
 長岡先生の婚約者が旅行当日、空港に現れてくれればいいなとフト思った。そうなれば抑止力にはなるだろう。
 旅行までもう直ぐだった。見送りには若干心配が残ったが、彼と海外へ旅行することが出来るのは祐樹にとってこの上もない幸せだ。


_____________________________________________________

下の画像(。゚ー゚)σポチッ凸(。゚ー゚)σポチッ凸っとお願いいたします~!







 体調心配して下さって有り難うございます。連休(といっても世間様よりは短いのですが)に完治させることと、少しでも小説を書き溜めておくことが目標なのですが、どちらも達成出来そうにないような…。忙しい時は、仕事と雑用とブログ更新しか目に入らないのですが、なまじ暇があると、小人閑居してしまいます。。
 いつも、読んで戴いて有り難うございます。長岡先生出すと言っておきながら、回想シーン、それも酷い…しか出せませんでした。
 次回は飛行機、乗りますので。なるべくお待たせしないようにしたいなぁと思っております。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。