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「気分は、下克上。」旅行編-18



凸凹画像を二つクリックして別窓から読んで下さると嬉しいです。感涙の涙が川になります~!凸凹
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 その後は休暇中のための主治医所見や、その起り得る容態急変の際の具体的シュミレーションに対してのマニュアル作成や、今も続いている「救急救命室」勤務など多忙を極めた。
 自分などよりももっと多忙な彼は祐樹が部屋に帰っても、不在か、眠っているかのどちらかで…ロクに話しも出来ないのが恨めしい。が、旅行中は2人きりなのだと思い最愛の彼に唇だけにでも触れたいという熱望を宥める。同居を始めた時から気付いていたのだが、祐樹が夜中――というより明け方だ――にそっと仕事を終えて帰宅しても彼は必ず目を覚まして迎えてくれた。今、それが出来ないのは、よほど忙しいのだろう。そんな彼に目を覚ます恐れの有るキスなどとても出来ない。
 ちなみにこのマンションは祐樹が同居を決めた時に彼は賃貸から購入に切り替えた。
「どうして始めから購入にしなかったの?」
 とベッドの中で甘く責め立てながら聞くと、「祐樹に…振られたら――その可能性の方が高いと踏んでいたので、あっ――その時は…アメリカに帰る積りだった。そんな…私が分譲マンションなんて…買えないだろう?」と艶めいた声と色ついた吐息と清楚でいながらどこか艶かしい仕草で返事をしてくれた。
 そんな彼に胸がいっぱいになって…彼を貪る力がよりいっそう強くなったことを甘酸っぱく思い出す。
 その上、ソラ恐ろしいことにこのマンションは祐樹名義になっている。「祐樹に何も出来ない私のささやかな罪滅ぼしだ。いつも世話になっているし」と彼は嬉しそうに笑って言っていたが。
 彼の深い愛情に胸が詰り、彼の端整な顔が熟した桃の果実のような鮮烈な色と香りを放っているような感じを受けて、言われるままに署名・捺印をしてしまっていた。こんなマンションの部屋のオーナーになってしまっても祐樹の給料では家賃すら払えない。
 そう言うと彼は事も無げに「家賃は祐樹のマンションの家賃分でいい。私がこっちへ誘ったのだから」と言っていた。それは流石に悪いと、少し足した分を支払ったが、どうやら家賃を知っていたらしい。「差額分はお母様に送金してくれ」と返してくれた。
 ちなみにM市民病院へは最初の手術から全て祐樹が助手に選ばれて随行している。といっても月に一度あるかないかだったので数回だけだが。
 母との面会を勧めてくれたのは彼だ。祐樹としては公務で来ているので遠慮したかったのだが、「教授命令だ」の一言で面会が叶うこととなった。母が教授に会いたがったので、遠慮しつつ彼にそう伝えると気軽に個室に来てくれて挨拶を交わしていた。
 母は何も言わなかったが、祐樹を見る目が意味ありげだったので…大体のことは察したのだろう。ただ、一言、「至らない息子ですが、ご指導ご鞭撻を末永く宜しくお願い致します」と深く頭を下げていた母の姿が脳裏に蘇る。
 彼も神妙な顔で「承りました。私の出来る限りのことは致します」と母に負けないほど深々と頭を下げていた。

 教授の方が忙しいので荷造りは祐樹が海外旅行のガイド本を見てパッキングしてある。後は機内持ち込みの荷物だけだが、7時間ほどのフライトだ。彼も祐樹も荷物を余り持ち歩かない習慣だし、女性のように化粧道具が必要なわけもないので、小さな鞄にガイドブックに書いてあるものだけを入れている。
 大学へは旅行先の届出の義務があるので事務局には正直に申請したが、運が良かったのか、受け付けた女性は教授の秘書の友人で…教授と祐樹が同じ日程で同じ国に行くことを口外しないようにと頼めた。だから医局の人間は、教授はLA、祐樹はシンガポールに行くと信じている。唯一の例外は長岡先生だけだ。
 旅行前日、彼は「気になっている患者さんがいるので」とスーツ・ケースを持って病院に向かった。祐樹は1人で居るには広すぎるマンションに取り残されたが、旅行の期待から――もちろん下心も多分に含まれている――普段なら孤独さを感じるシュチュエーションだったが全くそんなことは感じなかった。シンガポール行きの便は早朝に出るので、余裕を見て朝一のリムジンバスに乗り込んだ。本来ならば彼も同じ行動を取る予定だったのだが、帰宅しないところを見ると患者さんの容態が悪いのではないかと思う。
 飛行機の時間に間に合えば…と切実に思う。彼も三泊四日の旅をとても楽しみにしていたが、患者さんの容態が悪化すれば飛行機に乗り遅れる。
 まぁ、彼のことだから飛行機に仮に乗り損ねても他の便に搭乗してシンガポールには来そうだが。
 時間に余裕を持たせすぎたらしい。仕方なく下の階で饂飩を食べた。シンガポールにもうどん屋さんはあるだろうが、わざわざ外国に観光旅行に行って和食を食べる気にもならないだろう。普段はコーヒーにトーストと卵料理とサラダといった朝食を食べている祐樹でも、数日間和食から離れるのかと思うと、喫茶店に入る気もなくなる。
 待ち合わせ場所はメールで決めていた。ちなみに――長岡先生の天下無敵のエピソードを聞いた時から気は進まなかったのだが――長岡先生にもその場所は教えてある。
「彼は、まだ来ていないだろうな…」と思いながら食後の一服を吸い時計を眺めた。
 しかし、万が一ということもある。それに初めて彼と旅に出るという期待感から待ち合わせの場所に先に行っていようと思った。
 スーツ・ケースを転がしながら約束の場所に行く。と、後ろから普段より少し高めの弾んだ声で名前を呼ばれる。最愛の人の声だ、間違いようがない。
「お早うございます。仕事は済みましたか」
 そう言って、満面に笑みを浮かべた。
「ああ、後顧の憂いのないようにキチンと処置してきた」
 眩しそうに祐樹の顔を見て微笑する彼がそこまで言うのなら完璧な治療を施してきたのだろうな…と思う。ラフな格好の自分と違い、彼は仕事場から直行してきたので、出張に出かける有能なビジネスマンといった格好だった。が、顔色は少し悪い。多分寝ないで仕事をしてここに駆けつけたのだろう。顔をじっと見詰めていると、「どうした?」というように長く細い首を傾げる。その姿も匂うようだった。
「教授。見送りに参りました」
 長岡先生の声がした。その声に幾分ギョッとして振り返る。彼女はこの前見たのと同じバック――色は違っていたが――に大きな紙袋を持っていた。服も彼女お気に入りのブランドのマークがボタンにたくさん付いている。オレンジ色の紙袋にも教授御用達のブランドのマークと名前が入っていた。まさか買い物のついで…というわけではないだろう。それにしては時間が早すぎる。
「これ、お餞別です。少しはお役に立つかと思いまして」
 笑顔で教授と祐樹を交互に見て、荷物役は部下の仕事と判断したのだろう。大きな紙袋――教授の上半身ならすっぽりと入りそうだ――を祐樹に手渡す。反射的に受け取ってその重さに驚いた。
「こ…これは何ですか?」
 餞別の内容を聞くことの無礼さは知ってはいたが、聞かずにはいられない重さに顔が歪んだ。頑丈そうな紙袋だが、取っ手の部分が手に食い込む。その部分にジンジンと痛みを感じるほどだった。

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 今日はお休みだったので、家でゆっくりしながら原稿を書こうと思っていたら、ゆっくりは出来たのですが、原稿を書かないで寝てばかりという…(TT)あぁ、少しでも体調が良くなればいいなと思っています。
 スミマセン、飛行機乗るのは次回となります。回想シーンを入れたら長くなったという…。でもいつか書きたいエピソードだったので、ま、いっかと(苦笑)
 さて、次回こそは飛行機の中です。18禁は遠いです…。
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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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