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「気分は、下克上。」旅行編-20



凸凹画像を二つクリックして別窓から読んで下さると嬉しいです。感涙の涙が川になります~!凸凹
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 搭乗手続きを全て済ませた。税関もくぐってしまったので、スーツ・ケースは手元から離れる。
 高級ブランドや、免税品――煙草やアルコール――を売っている待合室に二人並んで腰を下した。
 身体検査の時には案の定、長岡先生特製のアンプル類が問題になったが。香川教授が例のラミネート加工した書類を見せると係員は覚醒剤などの違法ドラッグを見つけてもこれほど驚かないだろうと思えるほど、目を大きく瞠り大臣の直筆の書名と印璽をマジマジと見詰めていた。多分こんな書類は初めて見るのだろうな…と思った。祐樹が初めてなのは当たり前なのだが、数多くの海外渡航者を見送っている係員ですらお目にかかることがない書類なのだな…と長岡先生とその婚約者の底知れぬ権力に驚くばかりだ。
 祐樹は店頭に並んでいる煙草の値段を見て、「税金をこんなに払っていたのか…」と少しだけ後悔する。根っからの貧乏性なので、この際買いだめを…と思うのだが、長岡先生のお餞別の重さは祐樹の手のひらの神経を完全に麻痺させていた。煙草を買いに行く気力も出ないほどに。
 プラスチック製の椅子に腰を掛けて、紙袋を床にそっと置いた。手のひらの痛みは治まらない。ただ、重量から解放された安堵感に浸っている。
 彼が憂いを帯びた深い眼差しで祐樹の顔を見る。
「祐樹…手は大丈夫なのか?」
 そう言いながら彼の白い指が祐樹の手のひらを持ち上げてしげしげと、まるで患者さんを診察しているように見た。彼の顔がたちまち曇る。
「大丈夫じゃ…なさそうだな。祐樹は煙草が買いたいのだろう?いつもの銘柄でいいのだな?」
 祐樹の返事を待たずにひらりと立ち上がり売店に向かう彼の後姿を眺めた。
 夏物のスーツの肩から首のラインがとても匂いやかだ。彼は細身ながらも肩幅は標準的なので、薄いスーツに尖った肩から背中、そしてウエストの絶妙なラインを描く肢体に祐樹の目が釘付けになる。掌の痛みも忘れるほどに。少し長めの後ろ髪が白く細い首に掛かっているのも艶かしい。あの白い首筋に唇を押し付けたいという欲求が擡げてくるのを止められない。彼の姿が店内に消える。祐樹の煙草の銘柄を買うだけにしては、時間が掛かっているな…と思う。彼は服こそブランド物だが、長岡先生に京都で遭った時の会話で、別にそのブランドに拘っているわけではなく、他の店に行くのが面倒なのでその店で全部買っているだけだと思う。それに彼御用達のブランドは祐樹が手の痛みでいつものように観察出来なかったが、確か一店舗だけ独立していた。彼が他の免税品を買っているとは――普段の生活態度から見ても、そして、怪我ではないが祐樹の手の悲劇的状況から考えても――到底有り得ないな…と思う。確かめに行きたいが、忌忌しい手荷物は祐樹の足元に置かれているし、と言っても無くなったら無くなったで別に痛痒を感じないが…それに入れ違いになって彼を見失う方が怖かった。お互い飛行機の座席は隣同士のチケットをそれぞれ持っているので、最悪の場合は飛行機の中で再会出来るのだが。
 彼の日本人男性の標準よりも少し高いすらりとした姿が祐樹の視界に入って来た。煙草のカートンが3つも入ったビニール製の袋を持っている。祐樹が微笑むと彼も爽やかな高原の風を思わせる微笑を送って来た。
「待たせて済まない」
 そう言って祐樹の隣に典雅に腰を下す。ビニール袋を開けて、中から別の袋を取り出した。
「手を出してくれ」
 彼の白く長い指が市販用の熱冷ましシートのパッケージを破っている。どうやらこれで掌の熱を冷ましてくれるらしい。
「済みません」
 頭を下げて手を出した。
「祐樹が謝ることではないだろう?私が持つと言っても断ったのは、私の手を心配してくれてのことだろうから…」
「そうです…こんな重たい物を持たせてしまって、筋を痛められたら心臓医学界の損失です。絶対に私が持ちます」
 キッパリと言い切ると、彼は諦めたように吐息を零す。彼の顔をこんなに間近で見るのは今日空港で落ち合って以来初めてだ。白皙の顔がさらに白い。目も少し充血しているようだった。
 祐樹の掌の大きさに合わせて熱冷ましシートを器用に調節して貼り付けている彼にそっと聞いた。
「もしかして…休暇の前はあまり休めなかったのでは?」
 祐樹も忙しかったが、業務量は圧倒的に彼の方が多い。寝ていないのではないかと危惧した。彼は言い辛そうに唇を噛んでいたが、ゆっくりと口を開く。唇を噛んでいたせいで血流が止まった白い唇に血液が急に流れ込んで…薄い桜色に染まっていく様子がとても綺麗だった、元からの形の良さも相俟って桜が咲き始める様子を早送りで見るような艶やかさだった。
「ああ、休暇中に想定される全ての対応策を考えて入力していたから…最後の3日間は、あまり寝ていない」
「大丈夫ですか?」
 折角の休暇中に倒れられても困る。彼の看病をするのが嫌なわけではなく、2人だけの異国での甘い時間が楽しみだったので。
「飛行機の中で眠るので、大丈夫だ」
 そう言いながら、彼は祐樹用の煙草の入っているビニール袋の中からさらに大きなビニール袋を取り出して広げた。
「この中に2人分の手荷物を入れて私が運べば少しは楽になるだろう」
 そう言って彼は祐樹の鞄をビニール袋に大切そうに仕舞った。
 機内に入り座席に着く。幸いなことに2人のシートは翼部分だったので、前にスペースが有った。そこに長岡先生の餞別を割れないように気遣って収める。
「もっと狭いのかと思っていましたが結構広いですね…」
「ファーストクラスなどではもっと広いが…私にはこちらの方が嬉しいな」
 語尾が掠れたかと思うと、彼の首が祐樹の肩に掛かりすぐに安らかな寝息が幽かに聞こえてくる。
 彼のシトラス系の香りが鼻腔をくすぐる。相当眠かったらしい。肩の重さを心地よく感じながら、旅行に出た実感を噛み締めた。フライトアテンダントの女性が仕事を始めると祐樹は1人を呼びとめて、毛布を持って来てくれるように頼んだ。
 彼女は、他の仕事に優先して祐樹の頼みごとを聞いてくれた。流石は接客のプロだと思ったものだが。
 毛布を彼に掛けて、シートの肘置きに無造作に置かれた彼の甲を上からそっと包み込んだ。もちろん毛布の下で。すると、眠ったまま少し身じろぎした彼は手を反転させ、祐樹の手を握ってくれる。無意識の動作だろうが、それだけ求められているのだと思うと胸が熱くなる。指を絡み合わせた。肩には彼の頭、手には彼の指を感じることが出来て…エコノミー・クラスにして良かったと心の底から思った。
 
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ヘロヘロの二本更新です。いつも以上に(TT)クオリティに自信がなく、正気に戻って読み返してみたら、絶対修正している悪寒が。
取り敢えず、二時間程寝ます><

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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