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「気分は、下克上。」旅行編-21



凸凹画像を二つクリックして別窓から読んで下さると嬉しいです。感涙の涙が川になります~!凸凹
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 肩に掛かる彼の頭の心地よい重さと祐樹の顔を幽かに掠める彼の安心しきったような安らかな寝息、そして毛布の下で握り締めた彼の細く僅かに冷たい指先をずっと感じていたかった。
 よほど寝不足だったのか、彼は良く眠っている。起こすには忍びなくて、フライト・アテンダントが食事を運んで来たが断ることにする。何でも時間内に食べてしまわないとトレーは下げられるらしいので、彼が目を覚ます気配を全く見せない今、自分1人が食べるのも彼に悪いような気がした。
 彼の身体が凭れかかっているので、祐樹は身動きすらままならないが。それでも彼の体温や安らかな寝息を聞いている方が幸せだと感じる。
 そっと首を回して彼の端整な顔を見た。目を瞑っているので年よりは幼く見える。そんな彼を飽かず眺めていたが。
 突如、機体がガクンと揺れた。祐樹は飛行機に乗るのは初めてなので少し驚いたが。
 ただ、長岡先生のハタ迷惑なお餞別の荷物が割れてしまっては彼が悲しむかもしれないと荷物を足で支えた。
 無事な方の手は彼に繋がっているし、もう片方の手はまだ痛みを少しは訴えているので。彼は、機体の揺れは感じていないのか眠りの国に滞在中だった。よほど疲れているのだろう。
 周囲の乗客の様子をそっと窺う。が、他の人間はごくごく平静な表情だ。このような揺れは別に珍しいことではないらしいな…と思ったが。飛行機に乗るのが初めての祐樹は少し恐怖だった。握っている彼の指の力を強くする。起こさないように細心の注意を払って。 
 足で支えていたお餞別の紙袋の口が開いていた。一番上には書類が置いてあった。長岡先生特製の薬が良く効くことは祐樹も良く知っている。普段はどこかずれたところのある彼女だが、内科医としては極めて優秀だ。
 その彼女の作成した特製アンプルの説明書を読むことで少しは恐怖を紛らわせることが出来るだろう。身体は動かさないように足とまだ痛みのある手を使って紙袋を開けた。驚いたことにオレンジ色の紙袋は三重になっていて、これなら滅多なことでは千切れないだろうな…と思う。ちなみに祐樹も東京に行った時に同じブランドの紙袋にシャツを包んで貰っていた。紙袋の耐久性に驚いた記憶がある。そこいらの店の紙袋とは全く異なっていた。使用している紙や手提げ部分も上質で贅沢なものを使っている。
 長岡先生は内科医らしい緻密さで特製アンプルの使用法を書いていた。書類仕事なら外科の専門医よりも内科の専門医の方が――もちろん例外は有るが――優れている。
 彼の寝息をBGMに説明書を読むと普段よりも内容が頭に入りやすいような気がした。 もちろん惚れた欲目だろうが。飛行機の揺れが気にならないほどには熱中して読んだ。 祐樹は乗り物酔いのないタイプの人間なので、揺れる飛行機の中でも書類は読める。
 殆ど読み終えた時に彼が身じろぎをした。目蓋も僅かに震えている。彼とは時間の許す限り一緒に眠っているので、これが目覚める前兆であるのが分かる。書類を座席の前のラックに突っ込み、彼の顔を覗き込む。自然に笑顔になっていくのはもう条件反射のようになっている。
 目蓋が開き、彼の澄んだ眼差しが祐樹の視線と絡まり合う。一瞬、不思議そうに目を瞬かせていた彼が、周囲を見回して納得したように祐樹の瞳を凝視した。幾分照れたように微笑んだ。その微笑も咲きたての花のような清らかな艶を纏っている。
「お早うございます。良く眠れましたか?」
 そう言いながらブランケットの中で絡めた指を優しく動かす。指も性感帯の1つだ。彼の瞳の中に八重桜のような妖艶な艶が朱を散らしたかのように加味されるのを満足げに、愛しげに眺めた。
 彼は機内に表示されている現在の飛行位置を一瞬確かめて残念そうな顔をした後、寝起きの少し掠れた声で言った。
 ただ、完全に覚醒した瞬間に彼は祐樹の肩に載せていた頭を離してしまっていたが。懐かしい重みが消えて残念ではあるものの乗客の目があるので止むを得ない。
「済まない。飛行機に乗ったら安心して眠ってしまって…。一回目の食事の時間は終ってしまったようだな…祐樹は食べたのか?」
「いえ、朝食は空港内で済ませましたし…そういう貴方はどうなのですか?お腹、空いていませんか?」
 彼の表情に申し訳なさが滲んでいる。彼が心配しないように笑みを深めた。
「空いていないと言えば嘘になるが…空腹には慣れているし…大丈夫だ」
 彼は朝食も摂らずに空港に駆けつけてくれたのだと思うと嬉しいことは嬉しいが、しっかり食べて欲しいと思う。
「もう少しすればまた食事の時間ですから、それまでは飲み物で誤魔化しておいて下さい」
 そう言って通りがかったフライト・アテンダントに紅茶を頼む。アルコールでも良かったのだが、胃に何も入っていない状態でアルコールを摂取すると胃に悪い、コーヒーも。
 フライト・アテンダントが、紅茶を二つ持って来てくれた。彼女は愛想笑いにしては熱心な笑顔を見せて彼に「ブランケットを取りましょうか」と丁寧に申し出たが、彼の長い指に力がこもり祐樹の指と絡み合いを深めてきて…「いえ、少々風邪気味なので、このままで」と丁寧に断っていた。しかも微笑付きで。
 その笑顔に彼女の頬が僅かに紅潮する。すこぶる面白くない気持ちに苛まれたが、彼は彼女の様子の変化には全く気付いていないようだった。
 彼は左手を器用に使って、砂糖とミルクを入れた紅茶を飲み干した。
 機内アナウンスが掛かる。
「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんでしょうか?」
 内心では、ゲっと思った。ドラマでは何回か観たことがあるシーンだが、まさか本当にそんなアナウンスが掛かるとは思って居なかっただけに。長岡先生の餞別に始まって、休暇中だというのに職務からは離れられない運命らしい。特に最愛の彼は祐樹などよりも真面目で仕事熱心だ。彼の反応など、わざわざ聞かなくても分かる。
 通りかかったフライト・アテンダントに自分達が医師であることを告げる。通路を隔てた乗客の男性が怪訝そうな顔をして祐樹達を眺めていたのが印象的だった。恐らく「医師がどうしてエコノミーに乗っているのか」が不思議だったのだろう。医師は高収入という先入観に囚われているらしい。教授はともかく、祐樹はそれほど潤沢な収入はない。
「お寛ぎのところ誠に申し訳ございませんが、ご足労願えませんか?」
 彼女はそう言って彼と祐樹の顔を交互に見た。懇願の表情で。
「長岡先生の荷物は私が持つから、行ってみよう」
 彼なら呼び出しが掛かったら必ず駆けつけるだろうな…と予想していたので驚かなかったが、荷物を持ってくれるのは想定外だった。祐樹は先ほどマガジンラックに押し込んだ長岡先生特製の説明書だけを持って座席を立った。フライト・アテンダントの後に続く最愛の彼の後を追いかけた。
 
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 何だか、疲れすぎていて、眠れないので、「旅行編」-健全編もアップしてしまいました。楽しんで戴ければ幸いです~!

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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