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「がんじがらめの愛」第一章-24

「お前の気持ちはどうなんだ」
 左の腕を掴み、発作的に叫んだ。このように大きな声を学校で出したことは無かった。腕を掴まれた事が原因か、叫ばれた事が原因か、彼の身体はビクンと跳ねた。
「オレの気持ちは関係ない。ただオレを構っていると、お前の御両親がご立腹なさるだろう。憂慮しているのはそれだけだ。それに、オレの家のかつての家臣は貧窮している。オレだけの気持ちで動くわけには行かない。だから、オレには構わないでくれ」
 そう早口で言うと、片桐は立ち去って行った。呆然と見送っていると、一瞬だけ片桐が振り向いた。大きな瞳が複雑な色を浮かべて揺れている。唇は笑みの形をしていたが、笑っては居なかった。ただ、寂しそうな様子に見えた。が、自分の想いに引き摺られてそう見えただけかも知れないと思う。
 頭が真っ白になった状態で教室に戻った。人数は大部増えている。片桐はいつもと変わらない様子で黒田と話していた。
『そういえば、黒田家もかつては賊軍と呼ばれた大名家出身だった、な…』
 やはり、自分のような人間が彼に近付くのは迷惑なのかもしれない…。そう思った。
 そこへ三條が登校してきた。
「あれから大変だったのではないか」
 眉間にしわを寄せて囁く。
「ああ、父母に叱責された」
「そうだろうな」
 吐息が洩れた。
「昼休みにでも聞いて貰いたい話が有る」
 強張った顔を見て、察したのだろう。
「彼の件か」
 ちらりと黒田と話している片桐に視線を送る。
「ああ、そうだ。しかしこの場では不都合だ。」
「中庭はどうだろうか、あそこなら人は来ないのは承知の通りだ」
 中庭と聞いて今朝の件を思い出してしまい、動揺したが、顔には出さずに言った。
「弁当を使ってから、中庭の楠の木の所に居る」
「ああ、分かった」
 昼休み、約束の場所に行った。三條は先に来ていて楠の木に凭れていた。奇しくも片桐と同じだった。三條ではなく、片桐の表情を思い出してしまった。
「彼と話した。彼は『オレとは関わらない方がいい。今まで有り難う』と言った。だから困惑しているし混乱している…心がな。」
 苦笑を浮かべて言った。三條は眉間に皺を寄せて、
「僕には、お前の事を思って片桐君がそう言ったように思える。彼の背負って来たものの大きさを考えると、お前の事は目の仇にするのが普通だろう。それなのに『有り難う』と言う気持ちがあるなら、お前の置かれている立場を慮っているのではないか」
「…そうかも知れない。昨日の件は我ながら突然のことで唖然としたが…。彼の事を大事に想っているのなら近付かない方がいいと思う」
「僕は思うのだが、冷却期間を置いてみた方が良いのではないか。もしお前の気持ちが本物でないのなら、自然に冷めてくるだろうし、そうでない場合は、思い切って心情を吐露すれば良い」
 いつもながらの的確で親身な忠告に、
「彼の事はしばらく考えてみる」
 感謝を感じながらそう言った。
「僕も色々と情報収集してみるし、お前の相談ならいつでも受け付ける。その代わり宿題は写させてくれよ」
 愛嬌のある笑顔でそう言った。三條は鋭い。多分、自分に負担を掛けないために、宿題と言う交換条件を出して来たのだろう。
「そうそう、情報収集と言えば、片桐君は熱心に英語の勉強をしているそうだ。僕らの学校の授業以外に、家庭教師を付けている」
「何故、知っている?」
「偶然だ。昨日僕の屋敷に家庭教師の先生が来られた。園遊会の話を英語で話しているうちに、片桐君のことも話したら彼も同じ先生に教えを請うていると分かった。僕なんかよりずっと流暢な英語を話すそうだ。先生が僕に向かってそう仰った」
「英語?」
 晃彦は、自分と片桐の接点を見つけたようで嬉しかった。好きな人間が同じ興味を持って居る事が分かるとこんなにも胸が躍るとは思わなかった。



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Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
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