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「がんじがらめの愛」第一章-22

 屋敷に戻ると門番からの知らせが届いたのだろう。マサを筆頭に使用人達が出迎えた。マサは厳しい顔をしていた。一通りの挨拶が済むと切り口上で言った。
「晃彦様、お着替えがお済みになられました後で結構で御座いますが、旦那様奥様が居間の方にお待ちでいらっしゃいます。急いでお出で遊ばせ」
「分かった。急いで着替える」
 覚悟はしていたが、両親が表向きの表情ではなく内心を露にするつもりだろう。叱責は覚悟の上だが、一体どのような言葉でなされるのかが心配だった。自室へ戻り女中がいつも用意している屋敷内で着る服を急いで身に着けると、居間に行った。扉の前で深呼吸をする。
「晃彦です。入ります」
 父母の様子を窺った。父は厳しい顔をして葉巻を燻らしていた。水晶の大きな灰皿には葉巻の吸殻がおびただしく積んであった。途中で折れている葉巻も多々あり、相当おかんむりのようだった。母もちらちらと父の顔を見てハンケチを開いたり閉じたりしていた。おもむろに父が言う。
「そこに座りたまえ。今日の軽率な行動の件で申し開きがあるなら、聞く程度のは聞く積もりだ」
 威厳を込めた低い声だった。父母の向かい側に座った。
「軽率ですか…。ただ学友の片桐君と親しく話をしたいと思いました。ただそれだけです」
「それが軽率だと言って居る。学校の中なら誰と親しくしてもそれは晃彦の自由だ。しかし、公の場所では加藤家の跡取りとして相応しい振舞いがあるのを自覚することだ。忘れたのか、御祖父様の仇なのだぞ、片桐家の人間は。そもそもあの家の人間をあの場所に招待するとは聞いて居なかった」
 責めるように冷たい視線を母に移した。横に座って居た母はハンケチを握り締めうつむいた。
「加藤家との過去の確執の件は忘れては居りません。確かに母上にお願いしたのは私です」
 きっぱりと言った。しかし、こちらにも言いたい事は有る。父の事も尊敬はしていたが。
「ただ、片桐君の方にもこの家を責める理由は有ると思います」
 家長である父自慢の舶来の最上級の革張りのソファだったが、この時ばかりは木製の椅子よりも固く感じられた。
「それは、確かにそうだろう。ただ、晃彦が片桐家の人間と親しくする事は、親戚やかつての家臣が納得はするまい。次代の加藤侯爵がそのような事では困ると言って居る」
 母がそっと口を開いた。
「わたくしからも謝りますわ。晃彦さんも御父上に謝罪なさいませ」
「謝罪…ですか。罪を犯したとはどうしても私には思えないのです。軽率な行動と仰るならば、確かにその通りですが」
 父は長いままの葉巻を灰皿に乱暴に入れ唇を真一文字にした。母が狼狽した顔をしている。数分間視線が対峙する。先に口を開いたのは父だった。
「加藤家の跡継ぎとして、片桐家の人間と個人的に親しいという事は到底認められない。それが家訓だと思って貰おう」
 宣告する重々しい口調だった。
「…どうしても…です…か」
「そうですわ、三條様のような方とご親友になって戴けてそれだけで充分ではありませんか。何も片桐家の人間と親しくなさらなくても」
 母も父に迎合するように言う。
「三條君とも確かに親しいですが、彼は片桐君とも親しいですよ。同じではありませんか?」
「三條様と、片桐家では全く違います。三條様は御味方で、片桐家はいわば仇ですのよ」
「しかし、それは過去の話ではありませんか」
「まだ、言い返すのか…それならば、ワシにも考えがある。こちらは侯爵家で、片桐家は伯爵だ。こちらが上位だ。社交的にも政治的にも片桐家を葬ってしまう事も出来る。晃彦の返答次第では、な」
 父の声は冷酷な官吏の口調に似た口ぶりだ。
 確かに父と母の人脈なら片桐家を窮地に陥らせる事は可能だろう。断腸の思いで言った。
「……分かりました。彼とは、これ以上親しく…はなりません」



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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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