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「気分は、下克上。」旅行編-23



凸凹画像を二つクリックして別窓から読んで下さると嬉しいです。感涙の涙が川になります~!凸凹
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 杜の都の准教授は少し離れたファースト・クラスの座席に座っている。やはり、准教授ともなるとこのクラスを選ぶのだな…と思った。
 幸い患者さんの容態は落ち着いている。が、狭心症の発作はいつ起るか分からない。特に飛行機という乱気流に巻き込まれる可能性ある場所では機体の揺れが発作を起こす要因にもなりえる。
 患者さんの近くに座った祐樹は、生まれて初めて座ったファースト・クラスのソファーの快適さに驚く。
 誰にも聞こえないように隣席の彼に囁いた。
「貴方が名刺をお持ちでないというのは嘘ですよね?だって職場から直行されたのですからスーツのポケットには名刺入れが入っているハズ」
 彼は仄かに祐樹に向けて笑う。その笑顔を患者さん専属のフライト・アテンダントがたまたま見ていて…視線が釘付けになっているのを視界の隅で捕捉した。いささか面白くない気分だ。
「その通りだ。けれども、患者さんの治療は医師としての義務だ。しかしこの旅行はプライベートなのでそれ以外の業務をするつもりは全くない。それはそうと、私が眠っていた間に祐樹は起きていたのだろう?患者さんは私が見ているので少し眠ったらどうだ?」
 祐樹の睡眠を案じてくれる彼の気持ちはとても嬉しいが、准教授は感心した視線でこちらを見ている。
「…教授に患者さんを任せて眠ってしまう研修医なんて居ませんよ。それこそ、教授の沽券に関わります。教授こそゆっくりお休み下さい」
 准教授の視線が気になったことが第一の原因だが、祐樹が眠ってしまって長岡先生のアンプルの説明書きを最愛の彼が読んでしまい、祐樹の処方――決して間違ってはいないが、こっそり他の薬剤も混ぜてしまったこと――に几帳面な彼は気付くだろう。それだけは避けたい事態だった。
「空港に救急車両の待機を要請します。設備の整った病院で手当てを受ける必要がありますので」
 フライト・アテンダントは、彼の顔を見て営業用でない笑みを浮かべる。すこぶる面白くない。彼の表情を盗み見ると何も感じていないようだったので少しは安堵する。きっと彼は自分がどのように見られているかを一度も意識していなかったのだな…と思わせるような無関心さだった。
「畏まりました。ところで先生方、お飲み物は如何ですか?」
 彼女はマニュアル通りの微笑で2人を交互に眺めた。
「ホットコーヒーをお願いします。ゆ…田中先生は?」
 横を向いて聞いてくれた。フライト・アテンダントからは死角になるので、彼は祐樹を魅了して止まない薔薇色の微笑を浮かべる。
「私も同じものを」
 彼に微笑みかけてからフライト・アテンダントに言った。微笑の片鱗が残っていたらしく、彼女は祐樹の顔を見て先ほど彼に見せたのと同じ笑みを浮かべた。
「畏まりました。直ぐにお持ち致します」
 コーヒーを持って来たのは別の女性だったが。飛行機の床に膝を付き恭しげにコーヒーを…献上という言葉が相応しい態度で差し出す。先ほどのエコノミーのシートとは雲泥の差だった。が、祐樹としてはシートが離れている分、彼と身体が離れているのが恨めしい。
「あとどのくらいでチャンギ空港に着陸ですか?」
 彼女は祐樹を見て、幽かに頬を染めると――祐樹にとっては別に珍しいことではなかったが――直ぐに頬を引き締めて答えた。
「予定通り運航しておりますので一時間でございます」
「それまで患者さんの発作が起らないと良いですね」
 無難に答えた。祐樹の密かな祈りの効果があったのか、患者さんは発作を起こさずに無事着陸した。救急車に搬送されるまで付き添って、一般搭乗者用の税関に行く。
 出入国エリアからはシンガポールのシンボルの一つである蘭の花が沢山飾ってある。
「綺麗だな…本当に外国に来たという実感が湧く」
 彼が呟いた言葉に――長岡先生特製アンプルはかなり減っていたので、祐樹もそれほど荷物に悩まされることはなかった――そっと呟く。
「貴方の方がずっと綺麗です…よ?」
 祐樹の賞賛の言葉に大分慣れた彼は嬉しそうにそして面映げに微笑を浮かべ祐樹を横目で見た。その眼差しは蘭の色香よりも清楚かつ妖艶だった。患者さんから解放されて彼も旅行気分を取り戻したようだった。
 チャンギ空港の出入国エリアや税関を抜け――ここでも祐樹の持参している薬は問題視されたが、例の厚労大臣の印璽が葵のご紋の役割を果たし、つつがなく空港の外に出ることが出来た。
 建物を一歩出ると、南国の重さがあるかのごとき湿度が2人を包む。
 が、彼の佇まいからは涼しげな雰囲気が伝わってきて…この人は暑くないのだろうか?と思う。
 が、彼の白く広い額に汗の雫が数滴南国の強い太陽光を反射している。その様子は健康的な色香を漂わせている。彼のふとした動作や指の動きは相変わらず、いやここが外国だという解放感からかいつもよりもひときわ鮮やかな色香を纏っている。
「タクシーでホテルに行こう。祐樹の荷物が大変そうだ…」
 彼の声は祐樹に対する労わりが溢れていて、気温と関係なく祐樹の心を熱くさせる。
 空港の前に停まっているタクシーに乗り込んだ。もちろんスーツ・ケースもきちんと入れてもらう。
 彼は流暢な英語でタクシーの運転手に行き先を伝えている。が、運転手さんは怪訝な表情だ。祐樹は職業上、英語の読み書きは出来るが発音はサッパリだ。だが、彼のアメリカ風のとても丁重で完璧な発音の英語が通じないとなると、日本の観光客が多いこの街では日本風の発音の方が通じるかと思った。
 ホテル名と、go!だけ告げると、運転手さんは「OK」と告げ発車させた。
 彼の滅多に聞くことが出来ない情けない声がした。
「せっかく、祐樹の通訳をしようとしていたのに…出来なかった」
 心底、気落ちしているのが分かる。祐樹はそんな彼に力付けるように唇を弛めた。
「この街は英語があまり理解されないようですね。初めて貴方の英語をお聞きして流石だなと私は思いましたが…あ、あれを見て下さい」
 白昼堂々と男性同士が手を握って歩いている。この街ではそういうことも出来るのか?と旅の高揚感とは別の期待にワクワクした。


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 本編がシリアスになってしまったので、必死で睡魔と戦いながら書きました。途中で意識が途切れそうになったので…(推敲はしたつもりですが)間違いが有る可能性高いです。
 間違いを発見された方、内緒コメでお教えくださいませ><



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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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