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「がんじがらめの愛」第一章-20

「意識とは…どういう意味だ」
 意外な言葉に些か面食らった。「自覚してもいなかったのか」と言わんばかりの、ほくそえんだ笑みを浮かべて三條は言う。
「園遊会の時に思った。片桐君は学校でも笑みを浮かべるが、あんな嬉しそうで、しかも内心の喜びを隠すような微笑はしない。そう園遊会でも僕は言った。何時もは笑っていてもどこか虚ろな様子が垣間見る感じの微笑だ。そんな事も気づかなかったのか」
 記憶を辿る。色々な事が有り過ぎて今まで記憶の隅に眠っていた会話が徐々に脳裏に蘇る。
「ああ、確か『あの時の笑顔は僕の見た事が無い笑いだった』と言っていたな」
「そうだ。僕の記憶では片桐君は誰にもあんな微笑を浮かべて居なかった、それは確かだ」
 断定するように言った。人間観察の鋭い親友の意見だ、信用は出来る。その上、自分が親友にと見込んだだけのことはあり、彼は信頼出来る人間だ。全てを打ち明けたいと思ったし、彼の意見を聞いて置きたい。
「彼は俺の事を意識しているとお前は言うが、それは彼も俺と同じ気持ちでいるという意味か?」
 しばらくの間が有った。思慮を深い顔を浮かべた三條の顔をしばらく見ていた。
「そこまでは…分からない。それは本人にしか分からないだろうな…。ただ、お前は片桐の特別だと思う」
「…特別…か」
 正鵠を得た答えだと思いたい。ただ確かに本人に聞いてみるしか分からないだろう。 
「お前が部屋に来る前、確かに俺は片桐に触れてみたいという欲望を感じた。それは変だろうか」
 頤に手を当てて三條は言った。
「精神的に惚れているのではなく、か?」
 確かに、学校では同性愛は珍しく無い。しかし、それは精神を重んじるものだった。どちらかと言えば尊敬とか敬愛とかの感情の交流で満足している生徒が多い。女子部は別の場所に有るので男子部は実質男子校だ。その為か噂をされている生徒達は居たが、肉体的な関係を持つ者は稀だという話だ。
「ああ、初めて話した時から彼に興味を抱いた。そして今日の園遊会では二人きりになりたかった。彼が令嬢達に囲まれているのを見て、独占したいという気持ちが起こった。遠くから眺めて居ても彼の姿だけははっきりと意識していた。二人きりになった時、すんでの所で抱き締めたく思った」
 思いつくままに語ったので時系列がばらばらな事に自分でも苦笑する。三條もその事に気付いたのだろう、少し頬を弛めた。
「そう感じたのなら、僕は真実お前が片桐君に惚れているという事だろうな…しかし、」
 そう言って表情が厳しくなった。しかし、の次に来る言葉は予測が付く。先に言う。
「ご家族の問題・・・だな」
「そうだ。今日の加藤侯爵や夫人の態度も僕は間近で拝見していたが、矢張り片桐君の存在は許せないと言った感じだった」
「そうか…彼も言っていた。『オレの家族もああいう態度を取るだろう』と」
「御家族に知られたら、大変だろうと僕も思う。その点は熟慮を要するな。ただ、僕はお前や片桐君の味方だから、信頼して呉れて構わない。」
 そう言って微笑んだ。
「片桐君と話してみて、彼のことが今まで以上に気になった。僕で協力出来ることが有れば、何でも言ってくれ。」
「恩に着る」
 自発的に頭が下がる。
「お前がそうやって、片桐君や、彼の家の事を知るだけでもいい経験にもなると思う、だから全面的に協力する」
 適切な御礼の言葉が見つからない、これも稀有な出来事だ。ただただ深く頭を下げた。
「親友の悩みを聞いているだけだ。親友とはそういうものだろう…。お前が納得するまで僕は片桐君の件に付き合う」
 真摯な表情でそう言う三條の顔は何時になく真率だ。



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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

こんにちは ^▽^)

すみません、勝手が分からず、ヤフブロのほうへコメしてしまいました。
コピペ交じりでスミマセン。
本当に美文で美世界に巻き込まれて、興奮状態です!
こんな素晴らしい文豪様に参加いただいて、観潮楼立ち上げの甲斐が益々出てまいりました!(何もしないくせに、ですが・笑)
どうぞよろしくお願いいたします!
↓以下コピペ
 
今日はここまでに♪
とっても引き込まれています!
堅そうな世界観に舞込んだ恋愛の情が、なんとも熱いような、ドキドキしてしまいますっ
また明日お邪魔します~(〃▽〃)

Re: こんにちは ^▽^)

WISHLESSさん

> すみません、勝手が分からず、ヤフブロのほうへコメしてしまいました。
 いえ、こちらこそスミマセン~!
 あちらは返信コメが出来ないので。。

「観潮楼」は皆様の交流の場って感じなのでしょうか~?


>  
> 今日はここまでに♪
> とっても引き込まれています!
> 堅そうな世界観に舞込んだ恋愛の情が、なんとも熱いような、ドキドキしてしまいますっ
> また明日お邪魔します~(〃▽〃)

 えっと、「がんじ」なのですがこちらでは、2章の終わりくらいまで、加筆して(見るも無残な文章がいっぱいあるので)連載というか、時間が有る時に修正して載せています~^^
 表紙に第二章ー○と書いてあるのが修正済みなので、そちらを読まれるほうが良いかと思います~^^
プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
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