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「気分は~」駆け落ち編ー3(通算2)



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 祐樹が見落とした患者さんの容態急変なら、彼は直ちに病室へ入り必要な処置を祐樹よりも手早く正確に実行するだろう。
 祐樹が見たことがない彼の取り乱しぶりと目のふちが枝垂れ桜の妖艶さに染まっているのは――それはそれで彼の清純かつ妖艶な雰囲気を纏っていて祐樹の視線を釘付けするには十分だったが。
 彼の途方に暮れた、かつドギマギしている表情を初めて見た。そんな表情ですら艶っぽいが。
 祐樹との恋愛の過程で神経質に手を震わせていたのとはまた違った感じだった。
 不審に思い患者さんの部屋の様子をドア越しに窺った。
 室内からは間違えようのない気配が漏れている。それは、同性同士のそういうシーンで…。祐樹よりも先に院長専用の特診患者さんの病室に到着した彼も当然、耳にしたに違いない。そうでなければ、かなり祐樹とのそういう関係が深まったとはいえ、まだまだ初心な反応を見せる――祐樹にとってはそれが嬉しいことだが――彼が部屋の外からも漏れ聞こえて来る親密な男性同士の交情を耳にして彼が驚愕したのはまぁ当然だろうな…と思う。
 祐樹が聞いていても、二人は激しくお互いを求めあっているように感じた。
 彼にも聞かせたくてそっと手まねきをした。彼は頬や耳たぶまで薄紅色に染めている。
 祐樹の手招きに、とんでもないと言いたげに強く首を振ったが、祐樹が「来てくれないのですか?」という悲しげな表情をワザと浮かべると、しぶしぶ祐樹の傍に長い脚をギクシャクと運ぶ。そんな様子も初々しげで、そそられるが。
 麻酔は友永先生の予測よりも早く切れたらしい。だいたい救急救命室の麻酔は日本人の臨床実験が乏しいものだったので、友永先生も目算を誤ったらしい。彼のせいでは全くないが。手術中でも麻酔が途中で切れかけることもあるのだから。救急救命室では処置が終わるまで麻酔を切れさせないようにすればそれで祐樹達の仕事は終る。覚めるまではナースが見守っているだけでいいのだから。
 そっと扉――流石に病院長の特診患者専用の病室だけのことはある。普通はスライド式の扉だが、こちらは普通の扉だった。――を気づかれないように僅かに開ける。もちろん音がしないように。
 この二人は祐樹と最愛の彼と同じ程度には愛し合っているのが分かる愛の営みだった。
 初心な彼は頬を濃い紅色に染めて、恥ずかしげな表情ながらも患者さんと付添いの愛情表現を――視線が離せないように――見詰めている。
 宝城君――カルテで見たが未成年だ。君でいいだろう。京都でも有名な名家の御曹司だ。祐樹も学生時代に合コンで知り合った京都市内の女子大生から噂を聞いたことがあるような…ただ、祐樹は市内出身でないため余りピンと来ないが――が積極的に誘っている様子がとても扇情的で綺麗だった。そして事故に巻き込まれかけた藤島さんも彼に対しては怪我を気にしながら宝城君を優しくかつ満足させるように抱いている。
 祐樹は、これは最愛の彼に是非とも実行してみなければ…と思った。どちらかと言えば彼が悦ぶので激しく抱いて来ていたので。
『あの、宝城家より私を選んで後悔はないですか?』
『どうして今更そんな事を…後悔してたら…こんなに感じたりしない』
という睦言が祐樹の耳に入った。ぎょっとして、祐樹の上で恥ずかしそうに聞いている最愛の彼の顔を見た。彼も濃い紅色を白皙の顔の下に宿した壮絶な色香を纏う表情に驚きの表情を浮かべている。
 名家の御曹司が許されざる恋に落ちて家を出たのだな…と。
 祐樹は他人の色ごとにはそこそこ免疫があるが、多分最愛の彼の免疫は皆無だろう。これ以上覗かせるのも気の毒だと判断して、耳元で囁いた。
「患者さんの怪我は骨折だけですから…行為も大丈夫でしょう。それよりも、二人ともあんなに激しい情事をして喉が渇いているハです。500mlのお茶かスポーツドリンクを買って来て下さいませんか?」
 彼は目蓋や目の縁を濃い桜色に染めた表情を浮かべている。二人の情事の時よりも羞恥心が勝っているのか、祐樹の指示に救われたような表情をした。普段から足音をさせない歩き方だったが。今回はさらに足音を殺して病室から遠ざかる。幾分心もとなげな歩調だったが。やはり他人の情事を垣間見たショックは初心な彼には酷だったらしい。
 室内ではソノ最中の音が絶え間なく聞こえている。どうやら宝城君が積極的に藤島さんを煽っているようだ。
 最愛の彼もそういうことをしてくれないかな…と不謹慎な思考が頭を過る。
 それに斎藤病院長は「名家には名家なりの秘密があるくれぐれもスキャンダルにならないように、ナースは付けない…君は口が堅いので見込んでお願いする」と言ったわけは二人の関係だったのか。と今更ながらに気づく。
「香川教授の巻き込んでいい」との病院長判断…あの狸親父の病院長は、この二人の恋愛関係を知っていて、その上で祐樹と彼を巻き込んだわけは…と勘繰ると恐ろしい解答が導き出されるようで、考えることを止めた。
 待てよ…ナースが居ないということは清拭――患者さんの身体を拭くこと――は祐樹の役目になるハズで…あの激しい情事の後始末も祐樹の役目なのかとげっそりした。
 最愛の彼の後始末なら楽しい作業だが、それ以外の人間のならまっぴら御免だ。やっと交情が終ったらしい。と、藤島さんが甲斐甲斐しげに後始末をしている。とても愛しそうに。祐樹は「これからも下半身は彼に押し付けよう」と心に決めた。祐樹だって、最愛の彼のそんな場所はみだりに他人に触らせたくはない。きっと藤島さんも同じだろう。
 二人が手を繋ぎ、髪を撫でているところに、最愛の彼の密やかな足音が聞こえてきた。表情はドリンクを買いに行ったせいか、眼尻に紅色は残っているが他は必死に理性で抑えたらしい。
「そろそろいいでしょう。入りますよ」
 彼の細い手首を持って入室を促す。脈拍がいつもより早い。
 彼は一歩後ずさった。
「主治医は祐樹だろう?私は…」
「斎藤病院長命令です」
 厳かに聞こえるように言った。笑いたくなるのを必死で我慢して。


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この話は「瞬殺、eveyday・・・」様とのコラボ作品です。ナゼ、教授が固まったのか詳しく知りたい方や余情に浸りたい方は 「気分は 駆け落ち編2(R-18)へ行って下さいませ~♪
 魅島様は、メイン小説がご多忙で、コラボの更新はまだですが、こちらのほうが覗いているだけ…という話運びから、先に更新を致しました~!お話しはこれからが本番で、これはおまけということで。

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最近、村ポチが下がって凹み中です。こ、更新の元気を下さいませ~!
画像クリックして下されば、滅茶苦茶更新の力が湧いてきます♪ 






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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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