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「気分は、下克上。」第十六章-22

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 先ほどから祐樹の左手はギアチェンジが必要のないオートマチック車のせいで空虚感を持て余している。まぁ、それは左足も同じことだが。信号が赤になったのを良いことに、彼の手首を引き寄せて5本の指の付け根と、祐樹の指の付け根とを密着させた。彼の冷たい指が祐樹の性感をわずかに刺激する。
「いや、会ってはみたい…が、会わせる顔がない…というのが本音だ…な」
 指の付け根の薄い皮膚も性感帯の一つだ。そこを彼自身の先端を愛撫する要領でゆっくり動かす。チラリと彼の顔を見た。手の愛撫に甘やかで薫るような表情を浮かべつつもやはり青い雰囲気だ。
 実は昨日母に連絡を取っている。仕事のついでに見舞いに行くことと、時間が許せば上司が挨拶に行くということを。母は何かを感じたのだろうか?普段よりももっと嬉しそうだった。母は祐樹の忙しさについても理性では分かっているものの1人息子を見たいと思っていたのだろうと…その時痛感した。
 そんな母のことを祐樹よりも最愛の彼の方が慮ってくれている。個室に移った母に感想を聞いてみたら、昼はよもやま話をする人が居なくて寂しいけれども、夜は他人の気配に煩わされることがなくて良く眠れると。そしてナースさんや先生の態度がさらに親切になったと喜んでいた。これも最愛の彼が手術をする代わりに祐樹だけではなく母のことも配慮してくれた結果だろう。これほど情の細かい配慮をしてくれている彼に愛おしさがますます募る。祐樹にとっては生涯で一人の人だと想いがさらに強くなる。
「躊躇する気持ちは分かります。だったらさりげなく挨拶をするだけと思って下さい。それなら大丈夫ですよね?」
 握り合った彼の指の力が強くなる。
「ああ、そうだな…努力してみる」
 走行する車内というのは独特の雰囲気がある。特に恋人と乗っている時には。密閉されて二人きりだが、運転をする方は恋人には集中出来ないわけで。ただ、同じ空気を共有する親密感と静かに流れるクラシック音楽のせいで以前から気になっていたことを聞く気持ちに傾いた。
「同棲を始めてから…同居人になったことで…気になったこととか嫌なことなどは有りませんか?もしあれば遠慮せずに言って下さい。改めますから」
 祐樹自身は申し分のない彼との生活だったが。彼の方では違うかも知れない。横目で見た彼は驚いた顔をしている。
「私は祐樹も知っての通り一人暮らしがとても長かったから、いくら愛しているといっても他人が家に居るという状況は初めてで最初はとても不安だった。同居を始める前からずっと一緒に居たい気持ちは有ったのだけれども…。祐樹と暮らし始めて…何というかもっと気を遣うかと漠然と予想していたのだが、一緒に居るのがとても自然で安らげる気持ちになる。私の部屋に祐樹が居ないなんて考えられない状況になってしまっている。居てくれるというのが当たり前で…それでいてとても有り難いと思える。まるで空気のような存在になっている。それに…」
 その言葉を聞いて驚いた。祐樹自身も同じことを考えていたのだから。握った左手に力を込めた。
「私も同じことを考えていました。貴方は私にとって空気のような存在だ、と。いらして当然だし、居なくなったら生きてはいけない…」
 助手席に座った彼は、体ごと祐樹の方を向いて真摯な眼差しを向けていた。その視線が頬や目を掠めるのがとても快感だった。指の戯れはずっと続いていた。
「本当に?一緒に暮らして幻滅されたらどうしようかと思っていた。良かった」
 彼の涼やかな瞳が暖かい安堵の光を放っている。
「では、気になる点はないのですね?気を遣い過ぎて疲れるといったことは?」
 適度の緊張は恋愛には不可欠だが、度を越せば心が疲労してしまう。特に職場も一緒で住まいまで同じというのは相手に密閉感を与えかねない。彼を失うことは避けたかったので。 
「全くない。想像していた以上にとても楽しいだけだ」
「私も全く同感です。ただ、嫌なことが有れば遠慮せずに言って下さいね。貴方の愛情を失うことが一番怖いですから」
 彼の指の力がより一層強くなった。
「ずっと憧れていた祐樹にそう言われるととても嬉しい。まさかこんなにも愛してくれるとは想定外だ。出来るならこの幸せが続けばいいと思っている」
「続けましょう…ね?」
 彼は力強く頷いているのを横目で見た。
「私は至らない点が多々有ると思うが…容赦なく言ってくれたら、とても嬉しい」
「至らない点なんて思いつかないです」
 彼は安堵の色に染まった溜息をついた。その後、しばらくは沈黙が続く。が、それは決して不快なものではなく、むしろ居心地の良さを感じさせるものだった。絡めた指は磁石のようにお互い離せなかった。
「医局人事なのだが、やっと決まった。柏木先生が助手に決まった」
「それが順当でしょうね。まだお若いという点で反対も有ったのでは?」
 柏木先生なら適役だと思う。が、如何せん若すぎるという点で上層部は良い顔をしないだろうな…とも思った。
「有ったが、今回のトラブルでの良心的な身の処し方をしてくれたので…結果的には上層部を押し切ることが出来た。本当なら一番の功労者なのは祐樹なのに、何も報いることが出来なくて申し訳ない」
「いえ、まだ研修医ですから仕方ないですよ。それに私が動いた一番の理由は貴方が被害を受けていたからです。恋人の窮地を救えないなんて、そんなのは嫌ですから」
 チラリと見た彼の頬に紅の紅が散っている。その頬を赤らめる様子がとても初々しい。 彼は何回身体を重ねても凛とした雰囲気を持ち続けているのも好ましい。その後、医局長や講師の名前も彼は教えてくれたが。祐樹が岡目八目で考えてもそれ以外には考えつかないほどの人事の妙だった。
 M市に入ると手頃なファミリーレストランに入り食事をした。車に近づき黙って後部座席のドアを開けた。彼はくすぐったそうに笑って仕方なさそうに乗り込む。その後彼は自分で――本来ならば祐樹の役割のハズだが――大体の到着時間を病院に知らせていた。
 病院に着くと、正面玄関に医療関係者の人だかりが出来ている。その大仰な出迎えに唖然とした。正面に立っている初老の威厳のある人物は恐らく病院長だろう。そういえば佐々木前教授と同年代だ。キャリアは分からないが。
「すごいですね。あの方たちは多分教授の出迎えですよ?」
 彼は少し迷惑そうに眉を顰めた。
「あんなに玄関に居たら、患者さんに迷惑がかかりそうだ」
 車を停めてエンジンキーを切ってから、素早く後部座席のドアを開ける。彼は出迎えの人達の視線を全身に受け止めてはいたが、すれ違いざまに「有難う」と囁きを零す。
「香川教授でいらっしゃいますか?」
 その威厳に満ちた人が歩み寄ってくる。その背後からは30代と思しき男性が祐樹に丁重に挨拶をしてからキーを恭しく預かってくれた。正面玄関からどこかへ移動するらしい。
「はい。どうか宜しくお願い致します。こちらは第一助手を務める田中と申します」
 そう紹介されて慌てて頭を下げた。
「この度はこんな僻地にわざわざご足労戴き恐悦至極に存じ奉ります。当院の院長を務めさせて頂いております松田と申します。以後お見知りおき下さると望外の幸いで御座います」
 どうも松田病院長はこの病院叩き上げの人らしい。最愛の彼とは親子ほども年が離れているようだが、まるで時代劇のような大げさな挨拶だった。しかも、延々と挨拶が続いている。
 が、この世界では肩書がモノを言う。多分この院長は教授職を経験していないのだなと推測がついた。多分教授というポジションの人間には無条件・反射的に遜った態度で接してしまうのだろう。祐樹は母を見舞ってはいても会ったことがなかったが…まあ、一患者の前に病院長はわざわざ姿を現さないのが普通だろう。
 病院の主なスタッフなのだろう、出迎えの人々の視線は憧れに満ちた、そして雲の上の人を眺めるどこか眩しげな視線で松田病院長と話している彼の姿を眺めている。
 彼は丁重な態度で院長の大袈裟な挨拶を受けている。
「とり散らかっておりまして誠に恐縮ですが、まずはこちらでお寛ぎ下さい」
 やっと挨拶が終わって祐樹はほっとした。大勢の視線にさらされて所在無げに立っているというのも結構気を遣う。出迎えの中には祐樹の母の主治医の先生の姿を認めていた。先生は目をまん丸にしてしげしげと祐樹を見ていたが。祐樹がこっそりと会釈すると弾かれたように丁重にお辞儀をしてくれた。祐樹が一人で見舞いに来た時とは180度は異なる態度には笑うしかないが。


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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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