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「がんじがらめの愛」第一章-15

「絢子様もいらっしゃっていたとは祖父も光栄です。紹介します。こちらは片桐君です。私の学友です」
「まぁ、お目にかかれて嬉しいですわ。わたくしは絢子<あやこ>と申します。苗字はございませんの」
「絢子様と仰るのですか。お目にかかれて光栄です」
 片桐は内親王に優雅な微笑みを浮かべて挨拶した。絢子様は頬をお染めになられた。そのご様子に苛立ちを覚えた加藤だったが、いつもの冷静な顔は崩さない。
「片桐様も加藤様も女子部では評判の方ですもの。今日は参って良かったですわ。片桐様とお近づきになれたのですもの」
 絢子様がお話しになられたのを切っ掛けに、令嬢達が寄ってくる。マホガニーで統一された重厚な屋敷の中で、年長者は奥の方で主催者である鮎川公爵を囲んでいる。そして、若い紳士淑女はその外側に居た。当然加藤も片桐も外側に居ることになる。加藤に挨拶した令嬢たちは、待ち構えていたように片桐に話し掛ける。微笑を浮かべ、そつのない会話をしている片桐を見ていると、安心すると同時に何故か不快なものが込み上げてくるのを自覚した。ふと、目を転じると三條の姿があった。
「失敬します。三條君が来たようなので」
 会釈をし、三條の方へ行った。
「今着いたのか。遅かったのではないか。招待の時間から大分経っているぞ」
「それが、車が故障してしまって。まあ、鮎川公には後でくれぐれもお詫び申し上げるつもりだ」
 そんな会話を交わしながらも、加藤の目は片桐の姿を追っていた。加藤の視線を感じたのか、片桐は微苦笑を浮かべた。三條も加藤の視線の先を気にしてちらちら見ていた。
「ああ、片桐君か。令嬢方に取り巻かれているな。僕やお前と違ってあまり社交場に顔を出さないので格好の話し相手になっている。あの顔では令嬢達も無視は出来ないだろうな」
 その言葉に心が疼く。
「そうだな。楽しそうだ」
「楽しそう?僕にはそうは見えないが」
 そう言ってボゥイからシャンペンのグラスを給仕させ、加藤にも勧めた。
「あの顔には見覚えがある。君たちのような武家華族、まあはっきりと言わせて貰うと政府軍に味方したという意味だが…そんな連中と話す時と同じ表情を浮かべている。あれは心底楽しんでいる顔ではないと僕は思うのだが」
「…そうか、それは気づかなかった。俺の目は節穴らしい」
 シャンペンを飲む。極上品のはずだが味は感じられない。見目麗しい令嬢が多数目につく中でも、片桐の存在がそこだけ光を当てたように際立って感じられた。
「では、片桐訓をこちらへ連れてくることにする」
「その方がいいだろうな。だが、先程片桐君がお前に笑いかけただろう。あの時の笑顔は僕が目にしたことのない笑顔だった」
 きっぱりと言い切った。

「絢子様もいらっしゃっていたとは祖父も光栄です。紹介します。こちらは片桐君です。私の学友です」
「まぁ、お目にかかれて嬉しいですわ。わたくしは絢子<あやこ>と申します。苗字はございませんの」
「絢子様と仰るのですか。お目にかかれて光栄です」
 片桐は内親王に優雅な微笑みを浮かべて挨拶した。絢子様は頬をお染めになられた。そのご様子に苛立ちを覚えた加藤だったが、いつもの冷静な顔は崩さない。
「片桐様も加藤様も女子部では評判の方ですもの。今日は参って良かったですわ。片桐様とお近づきになれたのですもの」
 絢子様がお話しになられたのを切っ掛けに、令嬢達が寄ってくる。マホガニーで統一された重厚な屋敷の中で、年長者は奥の方で主催者である鮎川公爵を囲んでいる。そして、若い紳士淑女はその外側に居た。当然加藤も片桐も外側に居ることになる。加藤に挨拶した令嬢たちは、待ち構えていたように片桐に話し掛ける。微笑を浮かべ、そつのない会話をしている片桐を見ていると、安心すると同時に何故か不快なものが込み上げてくるのを自覚した。ふと、目を転じると三條の姿があった。
「失敬します。三條君が来たようなので」
 会釈をし、三條の方へ行った。
「今着いたのか。遅かったのではないか。招待の時間から大分経っているぞ」
「それが、車が故障してしまって。まあ、鮎川公には後でくれぐれもお詫び申し上げるつもりだ」
 そんな会話を交わしながらも、加藤の目は片桐の姿を追っていた。加藤の視線を感じたのか、片桐は微苦笑を浮かべた。三條も加藤の視線の先を気にしてちらちら見ていた。
「ああ、片桐君か。令嬢方に取り巻かれているな。僕やお前と違ってあまり社交場に顔を出さないので格好の話し相手になっている。あの顔では令嬢達も無視は出来ないだろうな」
 その言葉に心が疼く。
「そうだな。楽しそうだ」
「楽しそう?僕にはそうは見えないが」
 そう言ってボゥイからシャンペンのグラスを給仕させ、加藤にも勧めた。
「あの顔には見覚えがある。君たちのような武家華族、まあはっきりと言わせて貰うと政府軍に味方したという意味だが…そんな連中と話す時と同じ表情を浮かべている。あれは心底楽しんでいる顔ではないと僕は思うのだが」
「…そうか、それは気づかなかった。俺の目は節穴らしい」
 シャンペンを飲む。極上品のはずだが味は感じられない。見目麗しい令嬢が多数目につく中でも、片桐の存在がそこだけ光を当てたように際立って感じられた。
「では、片桐君をこちらへ連れてくることにする」
「その方がいいだろうな。だが、先程片桐君がお前に笑いかけただろう。あの時の笑顔は僕が目にしたことのない笑顔だった」
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テーマ : 自作BL連載小説
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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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