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「気分は、下克上。」初詣編-2





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 2人して「幕の内弁当」とお茶を買う。ついでに下心の赴くままに昔ながらのガムを買った。イマドキのガムは1人で――というか一本の手で――食べられるが昔ながらのガムは両手が必要だ。祐樹が運転するのはミッション車で、両手は絶対に塞がる。信号待ちの時以外は。
 年末の京都駅は観光客が多い。そういえば彼はあんなに拘っていたのに、花もメロンも持っていないことに気付く。が、祐樹は別に母の見舞いの品までせっつくつもりはなかったので敢えて突っ込まなかったが。
「道路…混んでないといいですね。渋滞だとイライラしますから…」
「帰省のラッシュはピークを超えたとニュースでは言っていたが…渋滞だと確かに困る…な。祐樹は意外に短気だから…」
「私が短気なら、貴方は恋愛に短絡的過ぎる…勝手にLAに行こうとしたクセに」と言いそうになったが。彼の顔がほんのりと微笑を浮かべていて、その花を含んだ微笑に見惚れてしまい、言葉は宙に浮いたままで発するまでには至らなかった。
 予想に反して渋滞はなかった。BGMは以前彼がリクエストした通り、クラシックの合唱なしの曲を選んだ。今は(多分)モーツアルトのアイネ・クライネ・ナハトム・ジーク(だったと思うが、記憶はあやふやだ)が穏やかな空気に調和している。
 彼も曲に相応しいリラックスした表情を浮かべている。
「祐樹は運転が上手いな…普通、ミッションだとシフトチェンジの時に身体が反対側に押されるような余計なGが掛かるものなのに…ごく自然にギアチェンジをしている…」
「ああ、それは最初に乗った車のせいですよ。入学祝いにポルシェ911を買って貰った学部の友達が居て、あの車はギアチェンジの時のGがハンパじゃないんです。身体が思いっきり後ろに押されるんですよね…それで工夫を…」
「そんな車を入学祝いに買って貰えるなんて凄いな…それに高価な車を借りて乗り回せる祐樹も尊敬する」
「しかし、同級生にいらしたでしょう?外車しか車じゃないと思っているような人達は…それに金持ちほど鷹揚なんで助かりました」
「居た…とは思うが、あまり付き合いは無かったから…一番親しかったのは柏木先生だったような」
 そういえばこの人はあまり同級生との付き合いをしていなかったっけと失言を悔いた。
「柏木先生と言えば、今や医局になくてはならない存在になりましたね。先生も水を得た魚のように楽しそうにお仕事をされていますよ。医局も活気が出てきて…医局改革も順調ですよね」
「ああ、不幸中の幸いだった。私も後顧の憂いなく手術が出来るようになってとても心強い」
 赤信号で停まった時にガムを渡した。不思議そうな眼差しで受け取る彼に極上の笑みを贈る。ステアリングに両腕を預けて、助手席に座る彼を見詰めて言った。
「眠くなった時はガムが一番です。眠いと言ったら食べさせて下さい」
 素直に頷く彼は下心に気付かなかったらしい。食べたいのはガムだけではないことに。
 こういう点は以前と変わりなく初心でそそられる。カマトトぶっているわけではないことは良く分かっている。気付いたら頬を染める程度のリアクションはあるだろう。
「祐樹、青だ」
「すみません」
 彼の表情に見惚れて信号を見るのがおろそかになっていた。道路は渋滞とは無縁で…昼食もレストランで摂れたくらいだ。ただ、「道の駅」のベンチで食べるのも新鮮で良いと思う。山に囲まれた「道の駅」が一番雰囲気も良さそうだったので、車を停めた。奥まった木のベンチとテーブルが空いていたので2人して座る。後ろには帰省だろうか家族連れが賑やかに座ってお弁当を広げている。男2人というのは確かに不自然だが、大阪とか神戸に勤務しているか大学院に行っている同郷の2人が同じ車で帰省するというのはそんなに無理な設定とも思えない。前髪を下した彼は祐樹と同世代に見えるし、祐樹もどちらかと言えば若く見られるほうだ。お嫁さんを連れて帰省する年齢にも見えないだろう。彼の左手に慎ましやかに光っているリングさえ見られなければ。
「風は冷たいが、却ってその方が気持ちは良いな…」
「そうですね。山の風は身体にも良いようですし。それに車内は暖房が良く効いているので冷たいくらいがちょうどいいですね」
 他愛のない会話と山の爽やかな空気に食が進む。彼もそうだったらしく普段よりも箸の進みが早い。昼食を済ませて早々に出発する。何しろ露天風呂付き個室…しかも天橋立が見下ろせるという部屋はとても魅惑的だ。早く2人きりになりたいと思うのは人情だろう。彼も天橋立には特別な感慨を持っているようなので。
 旅館は3時からチェックイン可能だ。この調子でいけば3時には着けるに違いないとほくそえむ。旅館の食事は7時頃でそれまでは2人きりだ。食事には仲居さんが来るのでそれまでに露天風呂を楽しむと…。食事を終えてからも初詣に行くまでには時間が有るし、初詣後にも…と、最近のすれ違い生活――と言ってもいつものことだが――の思いの丈を彼の白い肢体に…と思うと楽しみでならない。
 心は既に旅館に飛んでいるが、安全運転を心がけることにする。こんな場所で事故ってしまっては全ての楽しみがフイになる。しかも職業が――祐樹は研修医とはいえ――医師だ。ニュースにでもなればとても恥ずかしい。
 彼はしなやかな動作で分別ゴミをキチンと分けて空の幕の内弁当とお茶のペットボトルをゴミ箱に捨てているのを目で追いながら喫煙エリアで煙草を吸う。祐樹の几帳面さは仕事のみ発動されるもので…こういった日常生活では彼に任せておいた方が世のため人のためだ。彼は自然体で几帳面なので。これが無理をしてしていることならば祐樹も手伝うが。
 車を走らせてしばらくしてからおもむろに言った。そろそろ目的地が近いので彼の性感を高めるためにも。
「ガムを食べさせて下さい」
「ああ」
 助手席でガムのパッケージを開ける気配がする。綺麗な長い指が丁寧に紙を剥がしているのが目に見えるようだ。
 銀色の包み紙を清潔な感じのする短いが形の良い爪先と共に差し出される。
「聡の手はとても清潔なのは分かっているので、ガムから包み紙を全部剥いてから下さい」
「そう…か?」
 怪訝そうな声にここに至っても全く分かっていない彼に微笑を誘われる。彼の無垢な言動と情事の際に見せる貪欲な妖艶さのギャップがとても好ましいが。
 ミントのガムの緑色をした薄い長方形に白く長い指が添えられて口の前に差し出された。
 しなやかな親指と人指し指ごと唇の中に入れる。ガムと一緒に弱い力で指を噛んだ。彼の指は驚いたのか一瞬強張った。ガムと指を別にしてから二本の指を絡めた舌で愛撫する、強く弱く。歯で胸の突起を扱くのと同じ要領で甘噛みしてから、少し強く噛んだ。歯の跡が残らない程度に。
「あ、運転中…に…危険…だろ…う」
 抗議をする声も甘く潤んで艶やかだ。口では異を唱えるが指は引かれる気配はない。それに気を良くして舌を指に沿って下に下していく。親指の付け根にたどり着いたのを舌だけで感じる。流石に運転中なので顔は正面を注視していた。
 指の付け根も性感帯の一つだ。舌でちろちろと舐めると、幽かに震えている指がゆっくりと開かれる。愛撫を誘っている仕草で。親指の付け根を唇で挟み力を加えるのと同時に舌でアイスキャンデーを舐め上げる感じに動かす。
 隣であえやかなで艶めいた吐息を零す彼は、詰る気配もみせないどころか人差し指と中指の付け根も扇を開いた感じで誘っている。先行車のバックミラーが気になるところだがそれもスリルになって情感を高めている。同じ動作で彼の指を味わった。心行くまで指と舌の戯れを続けると、名残惜しげに唇を離す。
 助手席に力なく沈み込んだ彼は紅色の吐息を零している。
「ご馳走様でした。ガムよりも聡の指の方が美味だ。あ、ちゃんと前を向いて運転していました…よ?それにちゃんと信号も停まったでしょ?」
 多分、彼はそちらから反撃してくるに違いないと機先を制する。ちらりと見た彼の細い肩は情欲のせいか大きく震えていて答えはなかった。
 そういえば人が見ているかもしれない場所でのこうした触れ合いは彼の性感をよりいっそう高める役割を果たす。この高揚感のまま旅館へ行けばいつも以上に乱れた彼が見られると思うと運転にも熱が入る。天橋立までもうすぐだ。

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 本編最終回で、皆様からのリク「R指定を!」と多く寄せられました。で、こちらで頑張ろうと思ったら何故だか私は長くなる悪癖が(TT)「初詣」なんで、なるべく早く更新致します。スミマセン(TT)
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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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